「先生、祖母の容態は……!」律がいち早く駆け寄って尋ねた。「心臓にかなりの負担がかかっていました。ですが、今回は搬送が早かったのが幸いしましたね。今はもう落ち着いており、大事には至っていません。後ほど一般病棟へ移し、一週間ほど経過観察を行います。問題がなければそれで退院となるでしょう」医師から告げられた言葉に、その場にいた全員がふっと安堵の息をつく。しかし、医師はすぐに険しい表情を作って念を押した。「ただし、ご家族はくれぐれもご注意ください。今後、二度とこれほど強いストレスを与えないこと。次に同じようなショックを受ければ、心停止を引き起こし、即座に命に関わりますからね」志津の心機能が低下していることは、もちろん家族の誰もが承知していた。だからこそ慎重に気を配っていたはずだったが……起きてしまった不測の事態に対しては、もはや悔やむほかない。「……分かりました。処置をしていただき、本当にありがとうございます」律は安堵と疲労の入り混じった声で、医師に深く頭を下げた。「以後は細心の注意を払います。二度と祖母を危険な目に遭わせないよう、固くお約束します」「では、患者を病室へお移しします」そう言い残し、医師はその場を立ち去った。「今日は僕が残って祖母に付き添います。もう遅いですから、皆さんはどうかお気を付けてお帰りください」律は腕時計に視線を落としつつ、親族たちへ向かって手短に告げた。時刻はすでに夕刻に差し掛かっている。それに、もし志津が目を覚ました時、ここにいる者たちがまた心ない口論を始めれば、彼女の心臓に負担がかかることは目に見えている。今はとにかく静かな環境が必要だった。「ちょっと律さん、いい人ぶらないで頂戴!お義母様がこんな目に遭ったのは、そもそもあなたの婚約式のせいじゃないの。看病くらい、私たちだってできますよ!」早苗がさっそく噛み付く。「……もういいだろう。これ以上、家の中をかき回す気か!」ただちに正人が語気を強めて妻を制した。「看病は交代でやればいい。今日はもう帰るぞ」早苗としてはまだまだ言いたいことが山ほどあったが、夫にこうまでぴしゃりと言われては引き下がるしかなかった。渋々ながら不満を飲み込み、そのまま夫と共に病院を後にする。親族たちが次々と帰路に就く中、紫音だけはその場に残り続けていた。彼女は帰る気など毛頭
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