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第203話

Auteur: 青葉凛
志津としては、これ以上二人に気を遣わせたくない一心だった。

「いいえ。家に帰っても心配で気が気じゃありませんから……どうか、もう少しだけおそばにいさせてください」

紫音がきっぱりとそう訴えると、隣で律も無言で頷いた。

「そうかい。二人ともそんなに私を甘やかすつもりなら……一緒にのんびり、おしゃべりでもしようかね」志津は目尻を深く下げ、穏やかに微笑んだ。

本当なら、今日は二人が正式に婚約した記念すべき日。若い二人の水入らずの夜を、病院のベッドから邪魔したくはなかったのだが――これほど真っ直ぐに気遣ってくれる二人の愛情を前にしては、根負けするほかなかった。

……

気がつけば、夜が明けて翌朝になっていた。

紫音はまだ病院にとどまり、志津の傍らに付き添うつもりだった。志津が完全に回復したと安心できるまで、ここを離れることなどできない。

「二人とも普段から仕事で忙しいのだから、ずっとここにいる必要なんてないのよ。自分のやるべきことをしなさい。ここにはお世話をしてくれる人だって、ちゃんといるのだから」

志津は、自分のせいで二人の仕事が滞るのを心底申し訳なく思っていた。ただでさえこ
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