この恋を絶対に諦めてはいけない。浩一には、決して自分と同じ地獄を味わってほしくない。それが、取り返しのつかない過去を背負って生きる男からの、切なる警告だった。「お前なら絶対に俺の味方をしてくれると思ってたよ」浩一は自嘲気味に笑い、グラスの残りを一気に喉へと流し込んだ。「やっと俺の気持ちを分かってくれる奴に出会えた。けど……お前がいくら理解してくれたところで、肝心の母さんが俺たちを認めることは絶対にない。あいつの存在を端から否定してかかってるんだ。……それでも、俺は絶対に蘭を諦めるつもりはないけどな」お前と同じ地獄を、俺が繰り返すわけにはいかない――浩一は強く拳を握りしめ、自分自身に言い聞かせるように言葉を紡いだ。「あいつは俺が心から愛した女だ。今回のことで、俺はすでに蘭の心を深く傷つけてしまった。もしこのまま本当にあいつの手を離してしまったら、俺たちは二度と元には戻れなくなる……っ」酒の勢いも手伝って、浩一は胸の奥に渦巻く本音をすべて吐き出した。だが、言葉にすればするほど、どうしようもない苦しさと現実の重さが彼を苛む。頭の中はぐちゃぐちゃで、これからどうやってこの八方塞がりの状況を打破すればいいのか、彼自身もまったく答えを見出せずにいた。そんな浩一を、州は真っ直ぐに見据えた。「その通りだ。何があっても、絶対に愛する女の手を離すな」州の声は低く、しかし確かな熱を帯びていた。「お前がそこまであの子を想っているなら、お前たちは間違いなく結ばれるべき運命なんだ。蘭さん以上の相手なんて、この先一生現れない。いいか、お前が絶対に妥協せず、最後まで戦い抜く覚悟を見せ続ければ……最終的に折れるのは、お前の母さんのほうだ。俺はそう信じてる」それは、悲しい過去を持つ州だからこそ言える、血の通った重みのあるエールだった。友人として、できれば今すぐにでも権力を駆使して力を貸してやりたい。だが、こればかりは当人同士の縁と覚悟の問題だ。他人がどれほど介入しようと、他人の恋愛を代わりに乗り越えてやることはできない。州にできるのは、こうして酒を酌み交わし、友の背中を強く押してやることだけだった。「……ありがとな、州さん」浩一はわずかに赤くなった目元を乱暴に拭い、ふっと表情を和らげた。「正直、
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