「おばあちゃんと……話して……」心愛の身体が凍りついた。恐る恐る振り返ると、祖母・文子の瞳には、かつて見たこともないほどに澄み渡った光が宿っていた。「あの、ペンダントは……」文子は荒い息を吐きながら、縋るように心愛をじっと見つめた。「お前の、ペンダント……まだ、持っているかい?」心愛の心臓が、どくんと深く沈み込む。あのペンダント――桐生家で葵に奪われ、あざ笑うかのように粉々に砕かれた、あの形見のことだ。彼女が言葉に詰まっている間にも、文子は祈るように言葉を重ねた。「大切に……大切に持っておくんだよ……」文子の声に、悲痛なまでの切迫感が混じる。「あれは……お前の出自を証明する、唯一の証拠なのだから。いつか、私がいなくなっても……お前が本当の両親を探し出せるように……」「嫌、嫌よ!」心愛は激しく首を振り、溢れ出す涙で視界を滲ませた。「おばあちゃん、死なないで!私、ずっとそばにいるから!どこにも行かないで……っ!」「馬鹿な子だね……」文子の口元に、慈しみと哀切が入り混じった、消え入りそうなほど淡い微笑が浮かんだ。「人は老いれば、いつか旅立つ日が来るものさ……死ぬこと自体は怖くない。けれど、ただ……お前のことだけが心残りで。……いい子だ、もう泣きなさんな。おばあちゃん、もう力が入らなくて、お前の涙を拭いてやることもできない。これからは、誰よりも自分を大事にするんだよ」文子の視線が、ふと遠い空の向こう側を彷徨った。「俊輔……私の、愛しい俊輔……あの子は昔から、何より真っ直ぐな子だった。あの子が人を殺めるなんて……そんなこと、あるはずがない……」「おばあちゃん!」心愛は、自分の命を分け与えようとするかのように、文子の痩せ細った手を力一杯握りしめた。「安心して。私、誓うわ。俊輔のために、絶対に真実を暴いてみせる。あの子を必ず、助け出してみせるから!」「ああ……良い子だ……」文子の瞳に、最期の光が灯った。彼女は心愛の手を握り返し、残された全生命力を振り絞るようにしてその指先に力を込めた。「深水家には……もう俊輔しか、跡取りは残っていない。心愛、これからは……あの子を、お前の弟を、どうか頼んだよ……」「必ず守るわ!」心愛は文子の手を濡れた頬に押し当て、声を上げて泣いた。「約束するわ、おばあちゃ
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