遠くの月が雲に隠れ、部屋は闇に沈んでいた。承也の腕に力がこもり、彼は莉奈を胸の中へきつく抱き寄せた。首筋に顔を埋め、脈が打つあたりへ、薄い唇でそっと口づけた。その触れ方はあまりにも軽く、夢の中にいる莉奈は何も感じなかった。莉奈は眠る前にシャワーを浴びていた。クローゼットに用意されていた寝間着はネグリジェだけで、サイズも丈も彼女にぴったり合っていた。ただ、承也にこうして抱きしめられているせいで、細い肩紐が柔らかな肩から腕へと滑り落ちていた。目が闇に慣れると、承也は莉奈の首筋から顔を離した。鼻先に、人の理性を奪うような淡い香りがかすめた。彼がうつむくと、鼻先が信じられないほどなめらかで柔らかな肌に触れた。莉奈が無意識に身じろぎした拍子に、その柔らかさが承也の唇の輪郭をかすめた。丸一日押し殺し、限界まで張り詰めていた欲望の糸がこの瞬間、「ぷつり」と音を立てて切れた!……眠りを誘うアロマの効果もあって、莉奈は信じられないほど深く眠っていた。ただ、夢の中で時折、水に沈んだように息苦しくなったり、逆に暖炉のそばに寄りかかっているように全身がぽかぽかと温かく感じられたりした。目を覚ますと、莉奈は少し痛む右手を動かし、ベッドから起き上がった。部屋のカーテンは隙間なく閉め切られており、一筋の光も差し込んでいなかった。それでもリビングの照明が点いていて、仕切り越しに漏れる光はやわらかく、眩しすぎることはなかった。寝室は暗すぎず、かといって眠りを妨げるほど明るくもなかった。――今、何時なのだろう。無意識にスマホを探そうとして、莉奈は自分がスマホを持ってきていないことを思い出した。部屋にいるのは莉奈一人だけだった。莉奈がベッドから降りると、ネグリジェの裾が太ももの付け根からふくらはぎへと滑り落ちた。彼女は窓辺へ向かい、大きな窓のカーテンを開けた。シャーッ。眩しい陽光が部屋いっぱいに流れ込み、莉奈は思わず目を閉じて少し後ずさった。目が光に慣れてから、ようやく太陽がすでに高く昇っていることに気づいた。――もう昼だ。こんな時間まで眠っていたの?昨日の午前中は海へ出て、午後には射撃もした。身体が疲れていたせいで、ここまで深く眠ってしまったのかもしれない。振り返ってバスルームへ向かおうとした瞬間、莉奈の視線が
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