Semua Bab 極道と、咲き乱れる桜の恋: Bab 41 - Bab 50

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41.再びの悪夢

結局…別れることはできなかった。自分の意志の弱さに呆れる。こんなこと、美紀ちゃんに言ったら嫌われてしまう…龍之介に乗せられたタクシーがアパートに到着し、ドライバーにお礼を言って降りる。…料金は龍之介が先に支払ってくれた。半分以上お釣りとして返してもらえるはずなのに、笑顔だけを向けるドライバーは世渡り上手だと思う。チップということは…わかってる。でも、たくさん払わせて…龍之介に申し訳ない。「あ…れ?今帰りなんだね?」部屋に向かう途中で坂上と鉢合わせた。…なんというか、罪悪感。「はい。…えへへ…」「夜遊びだな?若い子はいいね!」すれ違い様に頭をポンっと撫で、坂上は続けた。「久しぶりにご飯でも行こうよ!…あ、変な気はないから安心して」襟元に輝く弁護士バッチを見せ、軽やかな笑顔を見せた。「そうですね。あの定食屋さんにでもまた…」安くて美味しかったのに…あれから足を運べなかったのは、坂上に出くわしたら気まずいと思っていたからだ。…そうだ。美紀ちゃんや昭仁さんに紹介しよう。弁護士さんの知り合いがいたら、きっと心強いだろう。出勤する坂上を見送り、桜は自分の部屋のドアを開けた。殺風景な部屋に足を踏み入れ…ここを出た一昨日の夜を思う。龍之介に、1度だけ抱かれて…お金を返して、すべてを終わりにするはずだった。けれど…龍之介の気持ちは思いのほか強くて、拒否しきれなかった。「毎日連絡をする、だって…」上着を脱がせたクマのぬいぐるみ、龍之介は、ネックレスも無くなって…よくいるただのぬいぐるみとしてそこにいる。遅くなっても返信は必ずするって…週末は一緒にいようって…そんなことできるの?「あ、そうだった…」肩に掛けてもらった上着がふわりと香った。紙袋に入れて持っていった上着ではなく、龍之介はホテルの部屋を出る時、自分の上着を羽織らせてくれたのだ。「この格好で…坂上さんと話しちゃった」龍之介との逢瀬のあとだとバレたのではないかと勝手に頬が赤くなる。「…ご飯食べて、仕事に行こう」自分に言い聞かせ、羽織っていた上着をクマの龍之介に着せた。「おはよう!桜ちゃんっ」元気に挨拶をしてくれる美紀に返事を返しながら…その目が見れない。けれど、嘘をついたり誤魔化したりしたくはなかった。商品の搬入が始まるわずかな間に、美紀を店の片隅に誘う。「あの
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42.悲しい決別

「…え、部屋が開いていたって」美紀に正直に借りたお金が無くなってしまったことを伝え、再び謝罪した桜。美紀はそれよりも、玄関のドアが夜中に開いていたことの方を問題にした。今朝は商品の搬入が多く、話ができないまま昼の休憩になってしまった。2人にお昼を食べるよう昭仁が言ってくれて、店番を代わってくれた。「空き巣…かもしれない。私、出かける時、ちゃんと鍵を閉めたか怪しくて…」「…だとしたらそんな部屋に帰るのは危険だよ?…それに、警察に通報しないと」「そう、だよね。でも…警察ってあんまり好きじゃなくて…」子供の頃…父親に叩かれて放り出され、何度か交番に行ったことがあった。小さな田舎町のこと…私がどこの家の娘かわかっている警察官は、ろくに話も聞かず、すぐに父親のもとに私を返した。「…つらかったね…」美紀は思い出話をする桜の手を握り、なくなったお金のことを責めたりはしなかった。だからこそ…より強く恐れた。もしも、お金がなくなったこと、そして鍵が開いていたことに…父親が関与していたら…「…そうですねぇ、この純米大吟醸は飲みやすくて人気がありますよ」昼休憩を終え、2人で店に戻ったところで…桜は凍りつく。「…そう?味見とかできないの?…飲み比べてみないと、買えないよなぁ」「あぁ、いいですよ!3種類まで、飲み比べのサービスをしていますから」昭仁がグラスを用意しようとこちらに来て、美紀が気を利かせて専用のグラスを差し出した。「…だめです」「ん?…なんか言った?桜ちゃん」こちらを見る2人に、桜はゆっくり顔を向ける。それは驚くほどの、恐怖に歪んだ表情だったのだろう。「…まさか、桜ちゃん…」美紀がハッとしたように言った言葉に、うなずくのがやっとだった。「おぉい…まだかよ?この店は客を待たせて平気なのかぁ…?」大きな声で言いながら、せわしなく冷蔵庫のドアを開けしめする父親。桜は意を決して、2人にそこにいるよう制止し、店に出ていった。「…何しに来たの」「おぉ、桜…やっと見つけたよ!」明るい陽射しに浮かび上がる父親の顔は、もう…知っている顔ですらない。朽ち果て歪みきって…欲望と憎悪に満ちた危険な男の顔。「お引き取りください」「なんだよ…しばらくぶりに会った父親じゃねぇか。冷たくすんなよ」肩に掛けようとした手を瞬間的に払い、ドアを開けてもう一
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43.決意と裏切り

アパートの部屋に戻ってしばらくして…桜の携帯が鳴り響いた。「ねぇっ!どうして出て行っちゃったのよっ!」「…美紀ちゃん、ごめんね。でも絶対にまた会いに行くから、それまで待ってて」「…もしもし、桜ちゃん?」携帯の向こうで、昭仁に代わったのがわかった。「昭仁さん、直接お礼も言えずに、すみませんでした。でも、父は本当に危険なので、もしまた姿を現して迷惑をかけたら…迷わず警察を呼んでください」昭仁は美紀より冷静に、わかった…と返事をしてくれた。昨夜打ち明けた生い立ちと、手紙に込めた思いを理解してくれたのだと思う。「美紀ちゃんを、お願いします。ひ、1人にさせないようにしてほしい…父に、顔を見られたから…」「美紀ちゃんは俺が守るから大丈夫。それより桜ちゃん…落ち着いたら、いつでも戻っておいで。待ってるから」「はい。ありがとうございます…」着信を切り、すぐに部屋を出られるよう準備を始めた。全部を持って出るのは不可能だろう。まずはクマの龍之介から上着を脱がせ、ボストンバッグに入れる。他に、入るだけの着替えと、そろえたわずかな化粧品…それだけでもういっぱいになってしまった。クマの龍之介は、紙袋に入れるようだ。ここで一夜を過ごせば…父親がやってくると、桜は予想していた。その前に、龍之介に連絡をして状況を話すつもりだ。…震える自分に安心をくれるのは、やはり龍之介を置いて他にはいない。そしてもうひとつ、思いついたこと…『夕方、あの定食屋で待ってるよ』坂上から、送ったメッセージの返信が届いた。坂上には、父親が不法侵入したこと、昭仁や美紀に迷惑をかけた場合の法的な取り締まりについて聞こうと思っていた。坂上との約束で出かけるまで、部屋に父親は現れなかった。美紀が心配して、密に連絡を取ると言ってくれたので…今日は店に父親が来ていないこともわかっている。本当は父親から2人を守るため…昭仁と美紀の携帯から、自分の連絡先を1度消してほしいと思っていた。けれど…心配してくれる気持ちに、ありがたく甘えてしまうことにする。「…桜ちゃん、こっち!」なかなかの賑わいを見せる定食屋。桜は坂上のいるテーブルに向かった。「なに、すごい荷物だね…どっか旅行でも行くの?」「いえ、これは…」荷物を持って出たのは、出かけた隙に父がやってきたら…という不安があったからだ。
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44.桜…逃げる

「あ…ごめんなさい」とっさに着信を切ってしまった。…美紀と話していたことを知られたら、彼女に害が及ぶかもしれない…「濡れるから…入って。親子丼も、冷めちゃうよ」いつの間にか雨が降ってきたようだ。ポツポツと…携帯の黒い画面を濡らす。一瞬、このまま店の外へ向かって走り出そうかと思った。けれどじっと見つめる坂上の視線と目が合い…まるで体の自由を奪われたかのように、思いとは反対にテーブルに戻る。「…電話、友達?」「いえ…」「そうか。…まぁ、食べようよ」焼き魚を器用にほぐし、ひとくち大に取り分けたご飯と一緒に口に運ぶ。その食べ方はとても上品で…こんな人が裏の組織と繋がっているなんて、信じられない。けれど、美紀がショックを受けるほど…別の顔を持っているんだ。そういう、人なんだ。桜はやっとの思いで半分ほど食べて、箸をおいた。「あの、私…ちょっとお腹が痛くなって、先に帰りますね」引き止められても話は聞かない。荷物を持って外へ出て、素早く大通りに出る。そしてタクシーを拾って、逃げよう。「…不法侵入ね、訴えられるよ?実の父親でも、勝手に入って現金を盗むなんて…最低だ」そう言って顔色ひとつ変えず、背筋を伸ばして食べすすめる坂上が、知らない人に見える。ダメだ…ここにいては、危険。よろけながら荷物を持ち、出口に向かおうとして…そこに人影が映ったのが見えた。とっさに、出口とは反対側の厨房に向かう桜。…驚くスタッフに構わず中に入り、外へ出られるドアを開けると、そこは自転車専用の舗装された小道につながっていた。そこからは夢中で走った。降っていた小雨はいつの間にか本降りになり、荷物も、服も…容赦なく重くしていく。「ちくしょうっ…っ!桜ぁっ…!どこへ行きやがったっ…!」後ろから父親の怒声が聞こえ、ハッとして振り向いたのがいけなかった。ドサっと前のめりに倒れ、荷物が転がる。…暗がりの中、先に目に入ったのはクマの龍之介。とっさにそれだけを拾って、もう1度必死に走った。…やがて自転車専用道路を抜け、車の通る道に出た。少し明るくなったところで見てみると、転んだ膝から血がにじみ、足首を伝っていることに気づく。「…あ、また私、逃げて…転んで、怪我してる…」どうしてこんな目に遭わなければならないのか…守ってくれるはずの親から逃げて…味方だと思っていた弁護
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45.複雑な…麗香の心

「ちょっとあなた…どうしたのっ?」女の人の声に、うつむいていた顔をあげる。そっと薄目を開け、何度かまばたきを繰り返し、やっと自分の上にかかる赤い傘に気づいた。「…ちょっと待ってよ、桜ちゃんじゃない…?!」「あ…」傘と同化している赤いショートヘアが、美しくセットされているのが羨ましいと思った。…きっと素敵なドレスを着ているのだろう。こんなところにしゃがみ込んだら、汚れてしまうのに…「ねぇっ、桜ちゃんわかる?」「麗香、さん…」上体を起こし、膝からの出血に気づいた麗香は、男性スタッフを呼んで室内に運んでくれた。「シャワーはあるけど…とりあえずびしょ濡れの服を脱いで、バスローブに着替えて」手伝ってくれようとしたが、恥ずかしいので優しく断り、時間をかけて1人で着替える。…濡れた服を脱けば、それだけで体は楽になった。麗香は戻ってきた桜にもう1枚バスタオルをかけてくれて、傷の手当てを始める。…消毒薬がピリッと染みる…龍之介と初めて会った時の膝の傷は、反対の足だったと思い出した。「龍之介に知らせたわ。…多分すぐにここに来るから」「あの、ここは?」落ち着いて見渡してみれば、事務所のような雰囲気。「ここはクラブ櫻川の事務所なの。お店が始まると少し賑やかになるけど、ここにスタッフは入ってこないから」そこへ、ドアが勢いよく開いた。「…桜」焦ったような怖い顔…龍之介だった。「どうした?…何があった?」すぐそばにひざまずき、麗香と膝の手当てを代わりながら、桜の顔をのぞき込む。「実は、父に見つかってしまったんです。…あの、麗香さんのお友達だと思っていた坂上聡太さんが、私の情報を知らせていたようで」「…坂上って男は、弁護士じゃねぇのか?!」問い詰めるように尋ねる龍之介を、麗香自身驚いたように見つめ返している。「…弁護士よ、ちゃんと。私も相談に乗ってもらったもん」不審げな視線を麗香に向け、龍之介は厳しい口調を緩めない。「裏の顔があったんだろ。お前、そんな事も見抜けないで…」「やめてください。…騙した坂上さんが悪いんです」桜に止められ、とっさに言葉を切った龍之介の目は甘い…上目遣いで桜を見つめながら、言葉を選ぶように言った。「まぁ、それでも麗香はこっち側の人間だ。見抜けないのは…まずい」麗香は不満そうに腕を組み、口を尖らせた。桜にはそれ
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46.龍之介が甘い…

「…いきなり働かせるって…ねぇ?」麗香は少し困ったように、龍之介を見た。「そうだな。まずは手と足の怪我を治せ。話はそれからだ」「ありがとうございます…」「…は?」ペコリと頭を下げる桜に、首を傾げた龍之介。認めたつもりはなかったらしい。「盗まれて、美紀ちゃんにお金を返せなくなったんです。父に居場所を知られて…迷惑をかけるといけないから、酒屋は退職しました。…だから」「だからじゃねぇだろ。夜の商売なんかじゃなくて、もっとこう…昼間の仕事をだな、」「昨夜、私の安全を考えて、酒屋のオーナーが泊めてくれたんです。でも父が現れたことで、辞めることは決意してました。…2人には絶対迷惑をかけたくなかったから、何も言わないで出てきて…でもお金を借りっぱなしで、出て行きづらくて…キャッシングして美紀ちゃんに少しだけお金を返しました。…だから、遊んでなんていられないんです」ここ、櫻川のホステスなら、今すぐ仕事に就くことができると思った。ホステスが1人失踪したと龍之介も言っていた。麗香もいるし、すぐに働くには最適な場所だ。「そうは言ってもな、まずはひざの怪我を…」「はい。傷は以前ほどひどくないので、あさってにはきっと、治ります。そしたら働いていいですか。…麗香さん、ご指導よろしくお願いします」まだ顔色も戻らないながら、人の恩に背きたくないと強い思いを抱く桜に、龍之介は苦笑いしつつ胸を熱くした。「…私が泊まるからいいのに」櫻川の営業を終え、麗香が事務所に戻ってきた。龍之介は奥に備え付けられた簡易的なベッドを整え、自分はそばにあるベッドで横になるつもりのようだ。桜を呼び、手を貸して寝かせようとしている。「いや、それじゃ何かあった時守れねぇだろ。麗香は蔵之介と帰れよ」「まぁ、そりゃそうか」龍之介に意味深な視線を送られ、麗香はそっとため息をついて、蔵之介のそばに行く。「夫婦は一緒に帰ったら?…泊まるのは俺でよくねぇか?」「は…?ふざけんな」半笑いで言う蔵之介の肩を強めに押し、2人を事務所の外に出し、龍之介は…ドアの鍵を閉めた。「…さて」スラックスのポケットに両手を入れ、小動物を愛でるような甘い目で近寄ってくる。「今回の件、なんで俺に一番に知らせねぇんだよ」「それは…タイミングです。今日、坂上さんとご飯食べたあと…連絡するつもりでした」けれどこ
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47.龍之介の想い②

「…龍之介さんが身につけていたものだから、大切にしたいんです」「…俺の…?」「はい。…別れる覚悟だったのに、今でもこんな風に顔を合わせて、お世話になって…自分の弱さが情けないです」目を伏せた桜の頬に赤みが差し、ここがどこなのかも忘れて手を伸ばす龍之介。「…おっと、お触りはお断りしてますよ?西門さま」サッと手首を取り、有無を言わさない表情で麗香が睨んできた。龍之介はそんな彼女を無視し、桜に顔を向ける。「…桜、水割りを…」「あ…この子、源氏名をつけたんです。本名を知られすぎたら、何かと危ないと思って…」麗香とは、この数日ろくに話をしていない。引き続き櫻川の事務所で寝泊まりする桜のボディーガードとして付き添っているからだが…「…それじゃ百合ちゃん、後をよろしくね」「…百合?」立ち上がる麗香に、龍之介は厳しい視線を向ける。他でもない…百合とはどういうことだ。もう1度呼ぼうとして、先に他の客に呼び止められているのを見て諦めた。…話はあとにするか。「…麗香との結婚式、白紙に戻したって?」他のホステスと話していると思っていた蔵之介は、いつの間にか一部始終を聞いていたようだ。水割りを飲み干し、グラスを桜に渡しながら、蔵之介はからかうような目を向ける。「あぁ。式は形式的なもので、俺たちは本当の夫婦になるわけじゃないって、あいつには再三言ってるんだが…」桜の視線を避けたいのと、この話題を終わりにしたいのと、そばに置きたいのと。複雑な思いがまじりあい…龍之介はテーブルを挟んで前に座る桜を呼び寄せる。「真ん中に座ってよ。…俺も大事なお客だからね?」ソファの真ん中を叩き、龍之介の隣に座ろうとした桜を蔵之介が呼ぶ。…俺の複雑な思いに気付かれたのかもしれない…「麗香さ、龍之介と結婚するって言ってたけど?」「…は?」「桜ちゃんを保護して、事務所に泊まった最初の夜、俺らを一緒に帰したろ?その時、覚悟を決めたって言ってたよ」桜にも聞こえるように、わざと真ん中に座らせたな…蔵之介とは桜抜きでいくらでも話す機会はあるというのに。「そうか。だが俺は願い下げだ」「わかるけどさ、事態は複雑になってるってことだぜ?…わかってる?」お前が麗香を女として微塵も見ないからこんなことになった…と言いたいが、人間の心を都合よく操れるはずがないことは、自分でもよくわかっ
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48.麗香の狙いは…?

「私は、こっちで寝かせてもらいますね」 柔らかい毛布を手に、ソファに座る桜。 「ダメだ。…こっちへ、ベッドへ来いよ」 「ダメです…」 頑なな表情…そんな顔をされればされるほど、俺の心は燃えていくのに。 「麗香を気にしてるのか?」 細い手首を引くと、瞬間的に抵抗されたが、力の差があるのはわかりきっていること。 「だったら心配するな。…俺が愛しているのは桜だと知っている。あいつに邪魔はさせない」 引き寄せ抱きしめれば、その力は呆気なく抜けていく。…キスをかわし、唇の柔らかさに、己を見失うのは容易かった。 「龍、いるの?」 しばらくして、背中越しに麗香の声が聞こえた。…ドアの鍵は閉まっている。リビングのソファに桜が着ていたドレスをかけておいたから…彼女がここにいることはわかるはずだが… 「…ねぇ、龍?…ちょっと、話できない?」 コンコン…っとリズミカルにノックされ、それが妙に…自分に火をつけた。 「あの…出た方が良くないですか?私も、麗香さんに挨拶をしないと…」 「…そんなの、いいから」 細い肩に口づけながら言う。手は脇の下からのびて、柔らかな双丘を揉みしだいていた。 ぷっくりと固くなった頂を指でつまめば、必死に声を押し殺し、桜はゴクリと喉を動かす。 声を我慢する仕草が、さらに俺を滾らせた。…足の間に指を滑らせれば、すでに潤みきっている。…まだ続くノックの音を聞きながら…中指で何度か擦ってやれば、桜は自分から足を開き、腰をくねらせた。 「桜…欲しいか…」 耳にキスをしながら吐息で問いかけたのは、聞き耳を立てる麗香に聞かせないため。 「…んっ…んあっ…」 抵抗なく俺の指を呑み込む彼女の秘部は、先端の突起が存在を主張していて… 「龍之介、桜ちゃんもそこにいるの…」 聞いたことのない麗香の暗い声…それを聞いて、俺は後ろから自身を桜に突き立てた。 感じやすい桜を頂点に持っていくのは簡単だ…律動を繰り返しながら、固くなった突起を撫でてやれば… 「…んっ…んんっぅ…ッ」 瞬間的に、撫でている手とは反対の俺の手を取り、指先を口に入れる桜。 キュッと噛みながら、達する彼女の妖艶な美しさに、自分もたまらず愛を放った。 …気づけばノックは止み、静かになっている。 俺たちは裸のま
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49.桜を支える人

「どうしてお前が勝手に決める……?」「櫻川を私に任せるって言ったのは龍之介でしょ?せっかく大企業の御曹司と接点ができたのに、これをビジネスに変えなくてどうするのよ」「その御曹司とやらに、どうしても桜を会わせると言うなら、俺も同席する」「だめよ」2人のやり取りをハラハラする思いで見守る桜。…龍之介さんにこんな風に意見ができるのは、麗香さんと…蔵之介さんくらいだろう。「龍之介が出ていったら、櫻川は西龍会と繋がってるって思われるわ。あの店は、もう私のものよ?西龍会とも志田川とも一線を引いた……私の店なの」そこまで言われ、さすがの龍之介も黙った。「確かに経営は譲った。それぞれの組がバックにあるなんて知られちゃあ、うまくないわな」こちらに視線をよこす龍之介に気づき、桜も隣にいる龍之介を見た。……どことなく悲しそうに見えるのは、気のせいだろうか。「桜ちゃん、裏の門から出て…大通りにある『川北珈琲』って店に行ってくれる?そこで齋藤専務が待ってるから」「はい…わかりました」そう答えたものの、そんな大企業の偉い人が、自分にどんな話があるというのだろう。「齋藤専務…すごくいい人よ。…とは言っても、坂上の裏の顔を見抜けなかったんだから、信用できないか…」裏門まで送ってくれた麗香が、桜の肩に手をかけながら自嘲気味に笑う。桜も曖昧に笑顔を返して、門を出ようとした時…「桜ちゃんは、もっと外の世界を知った方がいい」「……え?」「龍之介のことが好きな気持ちはわかる。……でも、あいつと一緒にいるってことは、わかるでしょ?普通の幸せから遠ざかることなんだよ?」もしかしたら、麗香さんは。「2人の邪魔をするつもりはない。でも龍之介は……最終的に私に任せて」「それは……どういう意味ですか?」「もう1人、支えてくれる人を作っておくの。龍之介と別れたあとに、支えてくれる……男を」返事を待たず、行きなさい…と、そっと背中を押された。若い衆の1人が飛んできて、門を開け、通してくれた。振り返った麗香の顔は…決して意地悪なわけではない。多分今の自分と同じような表情。どうしようもなく悲しくて、どこか諦めがまじって……さっき龍之介さんも、同じような表情をしていたっけ。喉の奥に涙のかたまりを秘めながら、桜は言われた通り大通りに出た。川北珈琲というカフェは、すぐに見つかっ
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50.離れてゆく…?

「家庭環境に恵まれず、進学を断念したり夢を諦める若者の支援をしています」「そう…なんですか。あの、麗香さんとは……?」「松白屋のお客さまです。そのお付き合いで担当者が何度か櫻川へ行ってまして、あなたの美しさに魅了されたようです」意外な話の流れに、頬を染める桜。「いえ、私なんてまったくの素人で…お恥ずかしいです」「担当者が麗香さんにあなたの話を聞いて…私に伝えてきました。それで、あなたを指名して櫻川へ行ったのですが…」担当者は、齋藤がボランティア活動をしていると知る、数少ない人物だったそうだ。桜はちょこんと頭を下げる。「すみません。私は櫻川に出なくなったあとでしたね…」齋藤は緊張をほぐすように笑った。「桜さんに支援が必要な時は、ぜひ連絡をしてください。私は社会的立場もあり、決して怪しいものではありませんから」「…はい」ありがとうございます…なんて言っていいのか。桜の迷いに寄り添うように、齋藤は明るく言った。「さぁ、冷めないうちにコーヒーとケーキをどうぞ」齋藤は、押し付けがましさがなく、終始落ち着いた紳士で、育ちの良さを感じさせる人という印象。そんな彼との間に不思議な縁があることがわかったのは、コーヒーを飲み終えた頃のこと。「櫻川の前は、どんな仕事をなさってたんですか?」「室井酒店というお店で働かせてもらってました」「……室井?」ふと考え込み、齋藤は愉快そうに言った。「もしかしたらオーナーは、室井昭仁…ですかね?」「え、昭仁さんをご存知なんですか?」「はい。大学の同期で、今も連絡を取り合ってますよ」携帯に収められた写真を何枚か見せてくれた。それはよく知る昭仁に間違いない。「恋人ができたって言ってたなぁ…」…美紀ちゃんのことだ。なんだかとても嬉しくなった。「一緒に働いていた女の子のことです。美紀ちゃんと言って、とても優しい人で…」「…そう!それならぜひ今度、4人で食事でもしましょう!」「はい、ぜひ!」2人に会えるとしたら、こんなに嬉しいことはない。坂上や父親が雲隠れしている今、1人で出かける事も2人に会う事も危険かもしれないが……。齋藤と別れ、屋敷に向かう。出てきた時と同じ裏門に近づくと、中にいた男性が桜に気づき、門を開けてくれた。「和哉さん、ありがとうございます」「おかえりなさいまし…桜さん」「あ
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