Semua Bab 極道と、咲き乱れる桜の恋: Bab 21 - Bab 30

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21.不当解雇を撃退したのに…

「わかったよ。…何が言いたいの?」自分が職を失っても、美紀のために…と言う桜に、少し心を動かされたらしい昭仁。ようやく聞く耳を持ったようだ。「まず、冷たい言い方と小難しい言い方はやめてください。…バカにされているようで、やる気をなくします」「…冷たく言ったつもりはなかったけど。まぁ、わかった」「それぞれの役割があることはわかっていますが、できるだけ助け合う気持ちを持ってほしいと思います。重い瓶のお酒は一緒に出してもらうとか…その代わり店内のポップは美紀ちゃんが作ってくれるし、事務作業も彼女ならわかってます」熱弁を振るう桜に、昭仁は先ほどまでとは違う笑顔をこぼす。「…もう桜さんが辞めるって決まってるみたいだけど?」「はい。私が辞めます。私がいなくなっても…美紀ちゃんのことよろしくお願いします」「あの…ど、どうしてもうまくやっていけなかったら、私も…やめますからっ!」頭を下げる桜のそばに美紀が慌てて寄り添い、同じように頭を下げた。「…わかったよ!初めて指摘さたことばかりで戸惑うけど、俺だって別に、悪人ってわけじゃないから」心外…と言いたそうな昭仁の頬がわずかに赤い。初めて見るその表情に、血の通った温かみを感じた。…ホッとしたところで開店の時間になった。「店先の掃除は2人でやって。それから朝イチで届いてる商品陳列。…俺は、ちょっと事務所にいるけど、サボってるわけじゃないからな?」1人でやれと言わないとは。早速の大きな変化に、逆に戸惑ってしまう。「…私、後で2人とも雇ってくれるように言ってみる!」掃除をしながら、美紀がボソッとつぶやいた。「…聞いてくれるかな?」「だって桜ちゃん、私より真面目に働いてるもん。それなのに辞めさせるなんて不当解雇に当たる!」どうやら美紀には、そういった知識があるらしい。「さっき桜ちゃんもバシッと言ってくれたし!私も…頑張るから」ガッツポーズをしてみせる美紀とガッチリ手を組み、うなずきあった私たち。額に汗して商品陳列を終えた頃、信じられない出来事に驚くことになる。「ちょっと、休憩して。店は俺が見てるから…」「…は、い?」頭の上にはてなマークを躍らせながら事務所に行くと…そこに湯気の立ちこめるコーヒーが入れてあった…!「スゴい…人ってこんなに変わるんだね」「うん…でもできればアイスコーヒー
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22.瀕死

「…おっと、こっから先はダメだよ」「待って、どいてください…」風俗店、Black Roseから決死の思いで逃げてきた日のことは、まだ私の頭のなかに残っていたらしい…どうやってたどり着いたのかもわからない。それほど必死で、やってきた。角を曲がった…西龍会の屋敷に。「…お姉さん、ここの人となんか関係かあるの?ちょっと、話を聞かせてもらおうかなぁ」制服姿の警官に腕を掴まれそうになった瞬間…細い腕が伸びてきた。「サチ!どこに行ってたのよ!また道を間違えて…」赤い傘が頭上に広がった。振り返ると、ガムを噛みながら…麗香が桜を見下ろしていた。「…あ、ちょっと」何か言いたそうな警官に愛想笑いを見せ、桜をさりげなく連れて行く。「あ…ありがとうございます」「…龍之介は、こっち」緊迫した雰囲気が麗香から伝わってくる…「あの、怪我をしたんですか?喧嘩ですか?…それとも」「…それとも?」「一方的に、やられたとか」麗香は広大な敷地の目立たない裏から屋敷に入りながら、桜の問いに答える。「一方的に、か…そうだね、一方的にやられたよ。あの龍之介が…っ!」歯を食いしばり、顔を歪めて泣く麗香の表情は、事態の重さを物語っているようで…桜の胸は不安で押しつぶされそうになった。「でも…あの状態で桜ちゃんに電話したんだね。龍之介、やっぱすごい男だよ」やがて、屋敷の中に足を踏み入れる。そこは小さな入り口で、外に黒いスーツの男が2人、扉を守る門番のように立ち尽くしていた。「…状況は?」「まだ…変化なしです」麗香に頭を下げつつ、桜にも視線が走る。その表情が少しだけ驚いているのを、桜は見逃さない。ここには、百合さんに似ていると思う人がたくさんいるんだ…でも、そんなことはもうどうでもよかった。…龍之介が無事でいてくれるなら。広い廊下を組員が歩き回っている。そのなかに、和哉がいた。…ドアの前で、祈りを捧げるように頭を垂れて。「…龍之介さん」そこにいるんだ…龍之介さん…「お…俺が、守れなかった…本当なら、俺が撃たれなきゃいけないのに…とっさにカシラは、俺の前に出て…っ!」泣き叫ぶ和哉の肩を麗香が抱き…桜は震える手でドアを開けた。胸に巻いた包帯が…血に染まっている。眉間に深いしわを刻んだ目元は閉じられて、痛みに耐える吐息を漏らしている。ダラン…と降りた手に
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23.周囲の心配

「桜ちゃん、話せることがあったら、いつでも聞くからね」あんな痛々しい姿の龍之介を見て、何でもない顔をして、すぐに自分の生活に戻れるはずもなく。努めて浮かべる笑顔の本音に、美紀は呆気なく気づいてしまった。「うん。…いつか、聞いてね」美紀になら…自分のこれまでの生い立ちを話してもいいかもしれない。そうすることできっと、美紀が就職した会社を辞めてしまった理由や、心も体もしんどくなってしまったことを教えてくれるだろう。…打ち明けあって、さらに信頼し合える友達になれたら…嬉しい。でも龍之介のことは…もし巻き込むようなことになったら…と思うと、まだ話せそうもない。…しばらくして、昭仁に呼ばれた。「美紀さんに、有給休暇を取ってもらおうと思ってるんだ。桜さんはまだうちに入って日が浅いけど、特例として、先に付与してもいいと思ってるんだけど」「有給休暇…ですか?」「あ…あの、ここのところ少し元気がないようだから、お休みをあげたいと思ってる。心配だから!」いつか…昭仁さんの話はわかりにくくて小難しいと指摘したことを覚えていたようだ。慌てて言い直されて、ちょっと笑ってしまった…!「ありがとうございます!…でも、大丈夫です。体を動かしていた方が気が紛れるので」「…そう?それじゃ、何かあったら言って」本当に…人は変われるものだと、笑顔の昭仁さんを見て思う。…この明るい笑顔は、きっと美紀ちゃんのおかげだ。酒屋の仕事から帰れば、毎晩のように麗香さんが連絡をしてきてくれた。「龍之介だけど、着々と回復してるわよ!」内容は…眉間のシワが減ったとか、少しだけ口角が上がったとか、わずかな変化だけど…龍之介の話をできる人がいる事が嬉しい。「あの、入院とかしなくて、大丈夫なんてすか?」そして、ずっと思っていたことを聞いてみた。答えは、予想していた通り。「うちらみたいな家業はさ、こんなふうになっても、病院にはなかなか行けないのよ。腕のいい医者を掴まえて…たいがいのことはそれで乗り切る」麗香の言葉を聞いて、初めて会った日の龍之介を思い出した。傷を消毒して、包帯を巻いて、ガーゼを当ててくれた優しい手…「実際、それでなんとかなっちゃうことが多いのよ。極道なんて結局、血の気が多い奴ばっかりだから」呆れたような笑い声を響かせる麗香。たとえ場所が病院じゃなくても…腕のい
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24.坂上の思い

「知らなかったんだ。うちの最寄り駅にある店のケーキだなんてさ」坂上はそう言って、箸を置いてしまった。「初めてあげたケーキは、本当クライアントにもらったものだよ。でも2回目以降はごめん。もらったって言ったのは…嘘」「え…?どうして、そんな」「桜ちゃんとコンタクト取るための道具にした。…仲良くなりたいと、思って」それが、友達として…という意味ではないのはすぐにわかった。視線が…真剣で熱い気がする。まっすぐに見つめられ、少々困りながらも、そんな正直なまなざしに逃げたいと思ったことがあったのは事実。「ごめんなさい。私…好きな人がいて」「知ってるよ。麗香さんの幼なじみだよね。えっと…蔵之介…?」「いえ、お兄さんの方です。龍之介」自分で言って、頬が熱くなるのがわかる。「そっか。でも俺…あきらめないよ。だって龍之介さんって、極道の後取りでしょ?」「はい。正体は知ってます。でも、それでも…」「麗香さんと、いろいろあったのも知ってる?」それは、親が決めた婚約者ということだろう。…はい、と言おうとして…「関係してるよ、あの2人」それがどういう意味なのかはわかった。でも…龍之介の体の事情も知ってる。だから、そんなことは無理なわけで…そこまで考えて…龍之介が言っていたことを思い出した。機能を取り戻すために、協力してもらった女性たち。…信頼できる人じゃないと頼めないって言ってた。その事を言っているのだろうか。「性的な事を、遊びとして考えられる人たちなんだよ。…大人だし、それが悪いと言ってるわけじゃないけど…僕は弁護士として…」…生姜焼きは、すっかり冷めてしまった。ぼんやり見下ろしながら、その視線を上げることができなくて困る。「両親がそろってない子供が生まれて、揉めるケースをいくつも見てきたから。…君には、そういう目にあってほしくない」「…わかりました」傷つくかもしれないからって退散できたらいいけれど…それができないから、私は今も龍之介の回復を祈ってる。「ごめんね、生姜焼き、すっかり冷めちゃったね」何となく、そのことに気づいてくれてよかったと思う。桜は残りを無理やり食べきって、坂上と一緒に定食屋を出た。…店の脇に黒い車が停まっていることには気づかなかった2人。歩き出す桜と坂上をほんのり照らすように…スモールライトが灯る。「なんか、す
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25.傷だらけの逢瀬

何の疑いもなく、黒い車に近づく桜。ボンネットの前に立ち、正面からフロントガラスを見た。…途端に笑顔になる。後部座席を示され、乗り込んだ途端走り出した。「…お久しぶりです。あの、前に屋敷に来られた時…動揺しててろくに挨拶もできなくて、すいませんでした」「いえ…そんなことはまったく、気にしないでください」車は信号に引っかかることなくスムーズに進む。和哉はさらに申し訳なさそうに言った。「遠くないホテルなんですけど…万が一を考えて、少し遠回りします」高速道路に乗り、速度を上げていく車。「2つ目のインターを降りて、引き返しますね」チラチラバックミラーを見るのは、桜の様子を伺うためではないのがわかる。今回龍之介が撃たれた事件に関わる、敵対する組織を警戒しているのだろう。それでも、和哉は桜に緊張感を悟られないよう努めてくれた。「何か、音楽をかけましょうか…普段、どんなのを聴きます?」「音楽…」そういえば、そんなものを楽しんだ経験がない。父親が観ているテレビから聞こえる音楽を耳にしたことはあるけど、それがどんな人の何という曲なのか、興味を持ったこともなかった。「龍之介さんが好きなやつ、流します?…怒られっかな…」「え、聞きたいです」和哉の提案に心が躍る。…知りたい。龍之介の好きなもの、嫌いなもの、苦手なもの…内緒ですよ…と言ってかけてくれたのは、有名な男性歌手のバラードだという。………甘く、長く…あなたを見つめ…やがて夜が明けた心のドアを開け、あなたはどこへ行ったの…私を置いて行かないで…好きな花を贈る…名前は知らない白い花凛とした姿を思い出す…花のような人…………「…あ、こっちのノリのいい洋楽もよく聴いてました…!」和哉が曲を変えてしまった。切ない歌詞が、百合さんとの別れを、私にも思い出させた。…百合さんは、龍之介さんの奥さんだった…改めて思って、前よりずっと胸が痛むのを感じる。でも…「いいんですよ、気にしないで。私は、百合さんを忘れられない龍之介さんを好きになったと思うんです。だから…」言うそばから、目頭が熱くなった。慌ててこぼれる涙を拭い、わざと鼻をかむ。「龍之介さんは、桜さんを…大切に思ってると思います。姐さん…百合さんとは、別の思いで…」「はい。ありがとうございます」それが真実かどうかは、龍之介だけ
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26.触れ合う2人

黒いワイシャツのボタンをひとつ、ふたつ…震える手で外していく。頬にキスをしながら「…まだ?」と問いかける龍之介。答えられずにいると、お仕置きのように熱い唇は首筋に移っていく…「震えてるな…寒いか?」「き、緊張しちゃって」やっとボタンをすべて外して…筋肉で形作られた胸をあらわにして…「…やっぱり、ダメ…龍之介さん」しっかり巻かれた包帯は、胸全体をきつく守っているように見える。「痛々しくて、萎えた?」「そんなんじゃ、ない。今はまだ…ダメ。怪我を、早く直してください」再び…やっと外したボタンをひとつずつかけながら…もうひとつの、見てはいけなかったものにそっと視線をやる。左の胸、鎖骨の少し下に咲く、小さな白い花。それは多分…百合の花。きっと奥さんを亡くして、永遠に忘れない…永遠の愛の証として刻んだのだろう。…鎖骨あたりのボタンをとめながら、シャツの上からそっと百合の花をおさえた。「桜…今日は、お前に触れるだけ。それならいいだろ?」蕩けそうな甘い顔を向ける龍之介に、桜は自分から唇を近づけた。「…龍之介さん」私の…私だけのあなたになってほしい…もしかしたら死が2人を分かつかもしれないと実感して、その思いは日に日に強くなっていく。「私…」言葉にできない想いを唇に乗せ、あなたに宿る愛のすべてを、舌で奪い取りたい。「なに…切ない顔して、ん?」拙い舌の動きを引き受けるように、深く絡まる舌………「…はっ…あぁ…っ」体中を這う大きな手が、指が…官能という初めての感覚を教えてくれる。「…ちょっと、舐めさせてくれよ」「それは…ダメ」「なんで…顔の上にまたがれって…」脇の下に手をかけられ、ヒョイと引き上げられ…慌てて下へ戻る。「そ、そんなことはできないです!き…傷に触ります!」「俺は動かねぇからダメージなしだ」「…そ、それでも、ダメです」恥ずかしいことを言われ、頬が火照って熱い…たくましい腕にしがみつき、睨むような視線をよこす桜に、龍之介の甘い顔はさらに甘くなる…「しょうがねぇ…それじゃ、後ろ向いてみな」毛布をかけているとはいえ、そのなかで…桜の服はすべてはぎ取られてしまった。龍之介の胸に背中を預けるような体勢になって、今度はどこに手が伸びてくるのか…「…ひゃあ…っ!あぁ…っ!」背後から、足を担ぐように大きく開かれたと思
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27.龍之介屋敷に帰る

「…まったく!無謀にもほどがある!」「麗香…店はどうした?」「もうとっくに閉店しました!…何時だと思ってるのよ?!」「…知らね、朝か」桜をホテルの部屋に置いて…屋敷に帰るなり麗香に吠えられて、傷に響く。…こっちは愛しい女を泣く泣く置いてきたんだ。少しは配慮がねぇのか…「これ以上あんたが帰ってこなかったら、和哉を締め上げるところだったわよ?!」そう言われて…わずかに腑に落ちない気持ちになる。「なんでだよ?」「…え?」「和哉は俺の命令に従ったまでだ。そんなあいつを締め上げてみろ。たとえお前だとしても許さねぇぞ」サングラスを外し、麗香を睨む目が、自分でもひどく冷たいのは自覚している。…こんなことを言うのは、半分イラ立ちの八つ当たり…麗香には迷惑な話だ。「ご、ごめん…なんか、嫁を気取って聞こえたかな」「そういうわけじゃねぇが、今はちょっとな…イラついてんだよ」桜を離したくなかった。けれど…今の自分と長く一緒にいれば桜に危険が及ぶのはわかっている。…それにしても、素直に謝るとは麗香らしくない。その表情を見下ろし、どうしたのか探ろうとした。まさか…本気のヤキモチじゃあるまいな…「桜ちゃんに、会ってきたの?」「あぁ。もう我慢できなかった」「いいね。好きな人に会えて…触れ合って…愛されて…」麗香の視線が蔵之介の部屋に行く。…そういうことか。「あいつは…?」「女が来てるみたい…どこの子か知らないけど…」…なるほど。相変わらず蔵之介とは何の進展もなく、その上女を連れ込んでいるのを目の当たりにして凹んでいるということだ。妙に弱気に感じるのはそういうことか…それにしても、気に入らねぇ…「おいっ!蔵っ!」麗香の視線の先にある部屋の前に立ち、龍之介は勢いよくそのドアを蹴り飛ばす。龍之介の部屋だ。…この中に女を引っ張り込むのはいつものことだが、いろいろ…気に入らねぇ。「なんっ…だよっ…!」意外にも素直に、たった1回の蹴りで、蔵之介はドアを開けた。龍之介は自分の胸の傷を親指で指しながら言う。「…相手の特定はできたのかよ?」「あぁ…多分、龍城組《たつきぐみ》の若いのがやったみたいだな。チャカの扱いに慣れてなくて、思わず打っちまったとか…」「…はぁ?」龍之介はかろうじて着ている蔵之介の、薄いシャツの胸元を締め上げた。「…なんだ
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28.恋する女子会

「…あの、桜ちゃん…近いうち夕飯でも食べに行かない?」龍之介との逢瀬の後、桜は自分でも驚くほど素早く、元の生活に戻っていた。…それは、いつまでも龍之介を思ってウジウジと泣かない、と決めた事が大きい。「もちろん!…それじゃ、明日の帰りにでもどう?」「うんうん!楽しみ…ありがとう!」手を取り合う私たちを、どこからか見られている気がした。…お客さん!?とっさにそう思って店内に目をやると……昭仁さん?「ねぇ美紀ちゃん…最近よく見られててると思わない?…」向き直ったそこに、すでに美紀はいない…あれ?もしかして…昭仁さんと何かあって、それを話したいのかな。そんな事があった日の夜、携帯に意外な人からのSOSが舞い込んだ。「男とご飯行くときって…どんな格好すればいいか、わかる??」…麗香からだった。「えぇっと…残念ながら私も、色恋沙汰とは無縁で生きてきたので…」「そんな…!ちょっと相談に乗ってくれない?女の子の友達、桜ちゃんだけなんだよ〜」友達…という言葉が嬉しかった。「職場の同僚で、美紀ちゃんという2つ年上の友達がいまして…その人なら少しわかると思うので聞いてみます!」「あ…!それなら私も混ぜてくんない?ご飯行こうよ!」あっという間に話はまとまり、翌日3人で会うことになった。メッセージで夜のうちに美紀に知らせてみると、私に年上の女友達がいたことに喜んでくれた。…そうだ。どういう間柄の友達と説明すればいいんだろう。龍之介のことを詳しく話すのは、美紀に危険が及ぶ気がして不安だし、だからといって嘘をつきたくない。「好きな人の幼なじみ…」それ以上話せないけど、美紀なら言葉にできない私の心の内を、きっと理解してくれる。話せるようになったら話してくれればいいよ…そう、優しく笑って。翌日、私も美紀も、大きな荷物をひとつ…抱えて出勤してきた。「もしかして…着替え?」「当たり!…せっかくの女子会だから!」2人が笑い合うのを昭仁が不思議そうな顔で見ている。「おはようございます!…ちょっと今夜、美紀ちゃんと出かけるので…着替えを持ってきてて」「あぁ、それは構わないけど…」少し視線を泳がせるので、何か聞きたいのかと、首を傾げて見上げてみる。「き…着替えは母屋の部屋を使っていいから」なぜか慌てたように事務所に行ってしまった。…最近の昭
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29.恋する女子会②

「…え…ッ?!」美紀の言葉がショック過ぎて、思わずスプーンを取り落とした桜。麗香が拾ってくれて、スタッフに替えをお願いしてくれた。「…驚かせてごめんね。でもあの…まだ決まったわけじゃなくて」「それでも辞めることになるかもなんて…普通じゃないよ。昭仁さんと何かあったの?」麗香には話が通じにくいだろうと、昭仁さんの正体と、これまでの経緯をざっくり話して聞かせた。「私はちょっと前から、昭仁さんって美紀ちゃんのこと好きなのかなぁって思ってた」「…そ、そうなの??」心底驚いたように言う美紀の顔が、みるみる赤くなっていく。…これはどういう感情だろう。美紀の言葉を待った。「私…ついこの間、昭仁さんにプロポーズされて…」「え、プロ…ポーズって…」前オーナーから昭仁さんに経営が渡ってから、まだそんなにたっていない。…当然初対面からも、日は浅いということだ。確かに美紀ちゃんを見る昭仁さんの目は違うと思った。けれどまさか、この短期間でプロポーズとは…「美紀ちゃんは、その人に興味ないんだ?…えーっと、昭仁さん?」「い、いえ…そんなことないですけどっ!」美紀は思い余ったのか、質問した麗香の手をぎゅっと握った。「あれ…じゃあ、問題ないじゃん?」麗香も美紀の手を握り返し、ポンポン…と、撫でている。「きっと、突然距離を詰められすぎて、戸惑ってるんじゃない?」「桜ちゃん…そうなの。私ろくに男の人と付き合ったことないし…会うのも複数人ばっかりで…だから急にスーツ姿で高そうなレストランに連れて行かれて、嬉しいよりつらくなっちゃって…」麗香が興味深そうに聞いている。…きっと蔵之介とのデートの教訓にしようとしているのだろう。「そうか…それで辞めることまで考えちゃったのね?」今朝の何か言いたげな昭仁の視線の意味はこういうことか。美紀がどこに出かけるのか…気になったというわけだ。「わかった!私がうまく昭仁さんに話してみるよ。急に近づきすぎて、美紀ちゃんが怯えてるって!」「うん…でも、や…優しく言ってあげて…」思わず麗香と顔を見合わせ、笑顔になる。ピュアで可愛らしい人はここにもいた…!その後、美紀の悩み事は呆気なく解消することになる。麗香との女子会の翌日、昭仁が桜に話しかけてきたのだ。「俺、美紀ちゃんのことが好きで…プロポーズしたんだよ。もしかしたら昨日2
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30.危ういレストラン

「ごめんね美紀ちゃん!…今日はちょっと先に出るね」「うん!気にしないで行って〜」いつも通りの柔らかい笑顔を見せてくれる美紀。仕事中、ついソワソワする自分を感じていたと思うのに、決して探ろうとはしない。…じゃあね、と手を振りながら、美紀にそろそろ自分の生い立ち、そして龍之介の話をしたいと桜は思った。「あのさ、美紀ちゃん、今度、いろいろと…私の話聞いてくれる?」「うん!…もちろん!」美紀はそう言いながら、誰にも聞こえないように小さな声で言った。「先に1個だけ教えて…!今日はこの後、幸せなお出かけ?」「…うん」「そうなんだ…!良かった〜それだけ聞けたら私は満足…!」美紀は大きく手を振って笑顔で見送ってくれた。部屋に帰り、決めておいた服に着替える。髪をひとつにまとめたのは、食事に行くなら邪魔になると思ったから。しばらくぶりに会う龍之介に、喜びよりドキドキが勝ってしまう。けれど今夜は、蔵之介と麗香も一緒だと聞いているから緊張感は少ないかもしれない。桜は小さな洗面室の鏡に自分を映し、おかしなところがないか…一生懸命チェックした。『…桜、外にいるから出てきな』携帯に「龍之介」の文字を見るのは久しぶりのような気がする。リアクションにハートを送ったのは、きっと自分が浮かれてるからだ。桜は少し迷って、高さのないフラットシューズを履いて、玄関を出た。「あ、坂上さん…」ちょうど同じタイミングで玄関に出たらしい。坂上はスーツではなく、ジャージのようなリラックススタイルだった。「久しぶりだね?…どこか出かけるの?」「はい…麗香さんたちと」「そうなんだ…それじゃ、気をつけて」玄関前で立ち止まり、先に桜を通してくれた坂上。…仲良くなるための口実としてケーキをくれた、という話を思い出して、少しだけ笑顔がぎこちなくなる。アパートの外には、黒いセダン車が停まっていた。運転席には蔵之介が乗っていて、近づくと窓が下ろされ、龍之介とよく似た目元が微笑む。「…ごめんなさい、お待たせして…」「うん…もう龍之介が桜はまだかまだかってうるさくて、殴ろうと思った!」瞬間、後部座席のドアが開き、黒いスーツを着た龍之介が降り立つ。「あ…の、お待たせ…しました」「あぁ…」スラリと背が高く、手足も長く…その存在感にドキドキして息が詰まる…!「…ちょっと!なんで龍之
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