「わかったよ。…何が言いたいの?」自分が職を失っても、美紀のために…と言う桜に、少し心を動かされたらしい昭仁。ようやく聞く耳を持ったようだ。「まず、冷たい言い方と小難しい言い方はやめてください。…バカにされているようで、やる気をなくします」「…冷たく言ったつもりはなかったけど。まぁ、わかった」「それぞれの役割があることはわかっていますが、できるだけ助け合う気持ちを持ってほしいと思います。重い瓶のお酒は一緒に出してもらうとか…その代わり店内のポップは美紀ちゃんが作ってくれるし、事務作業も彼女ならわかってます」熱弁を振るう桜に、昭仁は先ほどまでとは違う笑顔をこぼす。「…もう桜さんが辞めるって決まってるみたいだけど?」「はい。私が辞めます。私がいなくなっても…美紀ちゃんのことよろしくお願いします」「あの…ど、どうしてもうまくやっていけなかったら、私も…やめますからっ!」頭を下げる桜のそばに美紀が慌てて寄り添い、同じように頭を下げた。「…わかったよ!初めて指摘さたことばかりで戸惑うけど、俺だって別に、悪人ってわけじゃないから」心外…と言いたそうな昭仁の頬がわずかに赤い。初めて見るその表情に、血の通った温かみを感じた。…ホッとしたところで開店の時間になった。「店先の掃除は2人でやって。それから朝イチで届いてる商品陳列。…俺は、ちょっと事務所にいるけど、サボってるわけじゃないからな?」1人でやれと言わないとは。早速の大きな変化に、逆に戸惑ってしまう。「…私、後で2人とも雇ってくれるように言ってみる!」掃除をしながら、美紀がボソッとつぶやいた。「…聞いてくれるかな?」「だって桜ちゃん、私より真面目に働いてるもん。それなのに辞めさせるなんて不当解雇に当たる!」どうやら美紀には、そういった知識があるらしい。「さっき桜ちゃんもバシッと言ってくれたし!私も…頑張るから」ガッツポーズをしてみせる美紀とガッチリ手を組み、うなずきあった私たち。額に汗して商品陳列を終えた頃、信じられない出来事に驚くことになる。「ちょっと、休憩して。店は俺が見てるから…」「…は、い?」頭の上にはてなマークを躍らせながら事務所に行くと…そこに湯気の立ちこめるコーヒーが入れてあった…!「スゴい…人ってこんなに変わるんだね」「うん…でもできればアイスコーヒー
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