「美味しいです。このパン…」「それはバインミーってベトナムの食べ物よ!…桜ちゃん、パン系が好きなの?」「あ、でもこっちのチャーハンも!」「それはナシゴレン…だよね?龍之介!蔵之介!?」出されたものを次々に口に運ぶ桜と、料理の説明をする麗香。龍之介と蔵之介は、ひたすら酒を飲んでいる。さりげなく、にらみ合いながら。「あぁ、ナシゴレンだ」「確かに、バインミーだ」「あのさ、2人とも私たちに失礼だし桜ちゃんに嫌われるよ?」麗香が目をつり上げて、2人を交互に睨む。桜はさすがに満腹で…状況の打開を試みてくれた麗香をありがたく思う。「…あの、何か難しい話があったんですか?誘われるまま来ちゃいましたけど、私…先に帰りますよ?」「…いや、それはダメだ」慌てたように言う龍之介。蔵之介はそんな龍之介を見て、片方の口角を吊り上げて笑う。「桜ちゃん…俺ら兄弟ってさ、本当はすこぶる仲が悪いわけ」蔵之介が繊細な模様が描かれた美しい酒瓶を持ち上げ、自分のグラスに注ぎながら桜を見る。「兄貴じゃなかったらとっくに殺し合い。…どっちが死んでたかなー…」「…ちょっと蔵之介!少し飲み過ぎ…」麗香が繊細な模様の酒瓶を取り上げようとして、逆に蔵之介がその細い手首を取った。「麗香だって知ってるじゃん、いろいろと教えてあげようよ。龍之介が本当はどんな男なのか…」言いながら麗香を引き寄せ、自分の腕の中に閉じ込める。…途端に何も言えなくなる麗香。頬が赤くなった彼女を見て、好きな人があんなに近くにいたら…何も言えなくなる気持ちが、桜には痛いほど理解できた。そっと龍之介を見ると、酒の入ったグラスに手をかけたまま、じっと動かず蔵之介を見ている。それは、一触即発のような…妙な緊張感を漂わせていた。「一番初めは、中学の時だったなぁ…空いてる教室で女の子襲ってて。俺、その子のこと好きだったのにさ、龍之介に先に食われて悲しかったわ」…中学生…?その年齢でもう、そんなことを…「高校生になったらさ、女とっかえひっかえだよ?今日と昨日で付き合ってる子が違って…龍之介の周りでいっつも女が揉めて、そのうち傷害事件に発展してさ。一番悪いのは龍之介なのにお咎めなしだからな!」「…お前はどうなんだよ?蔵…」小さな声で反論する龍之介。手にしていたグラスを煽り、琥珀色の液体を飲み干して、テーブルに勢
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