Semua Bab 極道と、咲き乱れる桜の恋: Bab 31 - Bab 40

54 Bab

31.密室

「美味しいです。このパン…」「それはバインミーってベトナムの食べ物よ!…桜ちゃん、パン系が好きなの?」「あ、でもこっちのチャーハンも!」「それはナシゴレン…だよね?龍之介!蔵之介!?」出されたものを次々に口に運ぶ桜と、料理の説明をする麗香。龍之介と蔵之介は、ひたすら酒を飲んでいる。さりげなく、にらみ合いながら。「あぁ、ナシゴレンだ」「確かに、バインミーだ」「あのさ、2人とも私たちに失礼だし桜ちゃんに嫌われるよ?」麗香が目をつり上げて、2人を交互に睨む。桜はさすがに満腹で…状況の打開を試みてくれた麗香をありがたく思う。「…あの、何か難しい話があったんですか?誘われるまま来ちゃいましたけど、私…先に帰りますよ?」「…いや、それはダメだ」慌てたように言う龍之介。蔵之介はそんな龍之介を見て、片方の口角を吊り上げて笑う。「桜ちゃん…俺ら兄弟ってさ、本当はすこぶる仲が悪いわけ」蔵之介が繊細な模様が描かれた美しい酒瓶を持ち上げ、自分のグラスに注ぎながら桜を見る。「兄貴じゃなかったらとっくに殺し合い。…どっちが死んでたかなー…」「…ちょっと蔵之介!少し飲み過ぎ…」麗香が繊細な模様の酒瓶を取り上げようとして、逆に蔵之介がその細い手首を取った。「麗香だって知ってるじゃん、いろいろと教えてあげようよ。龍之介が本当はどんな男なのか…」言いながら麗香を引き寄せ、自分の腕の中に閉じ込める。…途端に何も言えなくなる麗香。頬が赤くなった彼女を見て、好きな人があんなに近くにいたら…何も言えなくなる気持ちが、桜には痛いほど理解できた。そっと龍之介を見ると、酒の入ったグラスに手をかけたまま、じっと動かず蔵之介を見ている。それは、一触即発のような…妙な緊張感を漂わせていた。「一番初めは、中学の時だったなぁ…空いてる教室で女の子襲ってて。俺、その子のこと好きだったのにさ、龍之介に先に食われて悲しかったわ」…中学生…?その年齢でもう、そんなことを…「高校生になったらさ、女とっかえひっかえだよ?今日と昨日で付き合ってる子が違って…龍之介の周りでいっつも女が揉めて、そのうち傷害事件に発展してさ。一番悪いのは龍之介なのにお咎めなしだからな!」「…お前はどうなんだよ?蔵…」小さな声で反論する龍之介。手にしていたグラスを煽り、琥珀色の液体を飲み干して、テーブルに勢
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32.まさかの真実

「く…蔵之介さん?」真っ暗な中で抱きしめられ…いったいどうしたのかと、その胸を押した。「…俺は、また諦めなきゃいけないのかよ」「諦めるって…」「百合は俺のものにならなかった。好きだったのに…何もかもを捨ててもいいと思うほど、好きな女だった」押し返してもビクともしない力で、桜を抱きしめ、離さない蔵之介。「…ねぇ桜ちゃん、俺のものになってくれない?悪いようにはしない。いや、世界イチ幸せにする」「蔵之介さん…酔ってる」さっき飲んでいた酒の量を思い出す。やがて、抱きしめる蔵之介の腕の力が弱まった。真っ暗で見えなくても…蔵之介の唇が近づいてくるのがわかる。その瞬間、全身の力が抜け…桜は人形のように崩れ落ちてしまった。「桜ちゃん…?」エレベーターが動いている気配がないと、気づいてしまった。真っ暗な狭い空間にいると、桜に決まって出る症状…喉が詰まったような息苦しさに襲われるのだ。「は…はぁ…」「…桜ちゃん?大丈夫か?」ただごとではないと、蔵之介にも伝わったのだろう。苦しそうな息づかいを繰り返す桜を抱きしめる腕が優しくなった。…やがて、頭上でパチパチと弱い光が点滅し、青白い明かりが灯った。…けれどあまりに弱々しすぎる明かりで、桜の苦しさを取り除くことはできない。「…桜ちゃん、苦しいのか?」「…は、い…暗いの…と、狭いのが…」「わかった。喋らなくていい」蔵之介は断って桜の荷物を開け、その中から袋状のものを取りだすと、それを口元に当ててくれた。「少し過呼吸起こしてるんじゃない?…こうすればちょっとは楽だから」蔵之介は立ち上がり、エレベーター内の壁をあちこち叩き始めた。「これ、途中で止まってるな…」外部に連絡できるはずのインターホンは通じないらしく、携帯も電波が不安定で使えないようだ。その間にも、薄暗く青白い光が桜の症状を悪化させていく。「ちょっとドアをこじ開けてみるか。…少し空気が入ってくれば、楽になりそう?」「は…い…」浮かぶ脂汗を見て、さすがの蔵之介も焦ったらしい。閉じた扉の真ん中に無理やり指をねじ込んで、渾身の力で開けた。「…これ、外に出られるな」袋を口元に当てながら蔵之介を見ると、扉は1人がやっとすり抜けられるくらい開いている。その向こうには大きな段差があるものの床が見えるので、よじ登るようにすればエレベーターか
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33.百合の真実

「…ちょっと待ってください。蔵之介さんの子供を身籠ったって…」「龍之介は自分の子供だと思ってるだろが…俺の子供だ。間違いない」「…百合さんは、龍之介さんを裏切ってたんですか?」「龍之介が若頭になって忙しくなって…俺が百合の様子を見に行くことが多くなった。…百合は寂しさから俺に身を任せるようになって、やがて妊娠を告げられた。龍之介に全部話して、半殺しの目に遭ったとしても、百合を連れて組を出て一緒になろうと思った。…なのに」なのに、病気になってしまった…「突然の出血で、子供には…かわいそうなことをした。病院に付き添ったのは、俺だ」「そんな…龍之介さんは、とても百合さんを愛してたのに…」寂しくて、それを理由に別の人に身を任せてしまうとは…桜には、その時の百合の気持ちは到底理解できない。「…龍之介さんは、知らないんですか?麗香さんも?」「知らないよ、2人とも」…言えるはずもない。けれど蔵之介が、酔いに任せて私と2人になろうとした理由がわかる気がした。深く愛した百合さんは龍之介さんを愛し…それなのに自分の子供を身籠って、やがて病気で亡くなった。彼女の本心はどこにあったのか、本当に愛していたのはどちらだったのか、蔵之介さんが百合さんに問い詰めたくなる気持ちはわかる。そしてそんな彼女にそっくりな私が現れ、また龍之介さんに惹かれていると知った。…それは蔵之介さんにとっては、耐え難いことだったのかもしれない。…桜の気持ちを変えたい。そんな思いが根底にあって、エレベーターに乗ろうとした龍之介さんを、酔いに任せて拒絶したとしたら。「あの、蔵之介さん…今の話、私も一切他言しません。でもお願いです、約束してください」「…何を?」「私は百合さんではなく、まったくの他人だと理解することを。それから…百合さんのことは少しずつ忘れてください。…もっと、別の女性に目を向けてみてほしいです」それとなく麗香さんをアピールしてみた。少しでも、彼女の気持ちに気づい欲しい。「もしかして麗香のことを言ってる?」「あ…はい。だってずっとそばにいて、気心が知れてるし、信頼できる女性じゃないですか」ふふ…っと笑いながら、蔵之介はいたずらっぽい笑顔を向ける。「いくら信頼できるいい女でもな、さすがに麗香には手を出せない。組の存続を担う女だぜ?それに…式の日取りが決まったしな
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34.美紀との小旅行

「…ふぅ……………」「…ちょっと待ってため息?桜ちゃん、どうかしたの?」平日、昼下がりの室井酒店。窓から差し込む太陽の光が、夏のそれを思わせるようになり、昭仁がクーラーのスイッチを入れにやって来た。「え?ため息なんて…つきました?」「…どうかしたの?」母屋で食事を済ませた美紀がやってきて、昭仁と桜を見比べる。「いや…桜ちゃんが大きなため息をついたから、美紀さんがきっと心配するだろうなぁって…」「あ、それは…心配すると思います…よ?」向かい合い、うふふ、あはは…と恥ずかしそうに笑う2人。間を取り持った気分になり、桜も笑顔を添えた。…以前、麗香さんを交えて集まった女子会で聞いた昭仁の件は、どうやら解決したらしい。ゆっくり少しずつ…深め合っている2人の絆が見えるようで、とても嬉しいけれど私の方は…4人で行った食事会で、蔵之介のまさかの行動とエレベーターのトラブルに見舞われ、彼から知らされたことを忘れられずにいた。結婚式の日取りが決まったこと…そんな結婚を取りやめるのは難しいであろうこと、そして…龍之介の麗香への気遣い…もしかしたら、はじめから自分が入り込む余地なんてなかったのかもしれない。…いや、そもそも、そんな事を信じた自分が愚かだったのでは。桜はそう思うようになっていた。「…あ、そうだ。これ良かったら、2人で行ってくれば?」ポケットに手を入れた昭仁が、やや折れ曲がったチケットを2枚差し出した。そこには「華やぎ旅館お泊りチケット」と書いてある。「…華やぎ旅館って、あの温泉が有名な?」「そう。特急で1時間くらいで着くから、2人で泊まってきなよ」チケットを受け取る美紀を、優しいまなざしで見つめる昭仁。桜は立ち上がり、慌てて両手を振った。「そんな…私じゃなくて、2人で行って…!もしかしたら昭仁さん、そう思って用意したんじゃ…?」だとしたら申し訳なさすぎる…遠慮する桜に、昭仁が明るい笑顔で説明した。「違うよ〜!これは町内の福引きで当たったやつだから!」なんと2人同時に1日休みまでもらって、桜は美紀と2人、華やぎ旅館に小旅行に行くことになった。そうと決まれば…桜はひとつ決意した。…ずっといつ言おうか迷っていた、生い立ちと龍之介のことを打ち明けようと。旅行当日は願ってもない快晴で、最寄り駅で待ち合わせた2人は、いそいそ
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35.美紀と小旅行②

「極道で、奥さんを亡くした人で、組のために再婚しなくちゃならない人って…」表情を曇らせたあと、今度は深いため息をつく美紀。「どこに桜ちゃんを幸せにしてくれる要素があるの?正直、極道ってだけでも不安じゃない!」「うん。本当に、好きなっちゃいけないって思ってた。でも風俗店から逃げて、父親からも逃げなくちゃならない私には、頼るとこがなかったの。逃げる時転んじゃって怪我をしたから、よけい身動きが取れなくて…そんな私に住むところを貸してくれて、ご飯も食べさせてくれた」「…怪我って…今はもう大丈夫なの?」慌てて隣にやってきて、美紀は桜の腕を取る。けれど…ふと何かに気づいたように、そっとその腕を下ろした。「一緒にお風呂に入ったばっかりだった…どこも、何ともなかったよね」「うん。…ありがとう」ホッとしたように席に戻る美紀を、温まる心を持って見つめる桜。…本当に心配しているのがわかって、生まれて初めて感じる、人に大切にされる喜びを感じていた。「今のアパートを借りることができたのも、龍之介さんの協力があったからなの。入居費用は今、少しずつ返してる」「そうなんだ。甘えっ放しにしないところが桜ちゃんらしいね」褒められたような気がして、少々照れくさく思う桜。笑顔を返し、話を続けた。「龍之介さんの再婚相手って、麗香さんなの。…でも麗香さんには好きな人がいるって話したでしょ?」「麗香さん?!好きな人の幼なじみって、確かにそうだけど…あぁ、そうか、龍之介さんの弟さんのことが好きってことだ!?」なんだか、いろいろ複雑すぎる…と、美紀は手元のワイングラスを手に取り、自分を落ち着けるように飲み干した。「あ…でも、自分たちの意に反する結婚はしないって話になったんだよね…」「それが、そう簡単なことではないみたい」桜は4人でレストランに行った話と、そこで蔵之介と2人きりで夜を明かした話をした。あの時聞いた話、そして龍之介の何気ない麗香への気遣いを。「やっぱり…無理なんじゃないかって思った。私は初めから…百合さんに似ていたからいっとき優しくしてもらえただけで…」「ちょっと待って…百合さんって?」「死別した、龍之介さんの奥さん…」美紀はワイングラスを手に取り、今度は考えるようにゆっくり口に運ぶ。その表情から…言われることは伝わってきた。「私…桜ちゃんに幸せになっ
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36.龍之介、食事会の後

「桜が呆気なく帰った。…なんか、いらねぇこと吹き込んだんじゃねぇのか」「別に、報告する義務はないんじゃない?」「…なにっ…?!」龍之介の問いかけに白けた様子で答えると、蔵之介は色めき立つ兄を見て、力が抜けたように笑った「式の日取りが決まったことなら言ったよ?祝いの花束でも贈りたいだろうと思って」…そういうことか。龍之介は蔵之介の胸ぐらをつかみ、鋭い目を向ける。「…余計なこと言いやがって…麗香との結婚が、組のためでしかねぇことはお前だってわかってるだろ」「そんなの俺は知らない」蔵之介は自分の胸ぐらをつかむ龍之介の手をギュッと握り、耳元に口角を上げた口を寄せた。「…愛のない結婚だって思ってんのは、あんただけじゃん?」「は…?」「女ってのは、結構簡単に気持ちが変わるもんだぜ?」力任せに龍之介の手を剥がし、チラリとその後ろに目をやって、蔵之介は立ち去った。「…龍之介、大丈夫?」後ろに控えていた麗香が近寄ってきた。「いや、蔵之介にムカついて…」「桜ちゃんと一晩中2人きりで、何してたんだろうね?」麗香らしくない、ハリのない声。スラックスのポケットに手を入れた腕に、すがりつくように触れてきた。「…とりあえず、帰ろ。桜ちゃん、帰っちゃったんでしょ?」夜のうちに一旦帰した麗香が、舎弟の1人に運転させて、もう一度やってきたところだ。俺には、昨夜から車を待機させている和哉が、すぐ近くに控えている。…帰るのは、わかっている。けれど、どうしょうもない違和感。俺はどうして…愛してやまない女と一緒にいられないんだ。押されるように車まで導かれ、後部座席に乗り込んでから、麗香が口を開いた。「私…もうダメかもしれない」蔵之介のことを言っているのがわかる。「店の後さぁ、誘ってみたんだよね。遅くまでやってるちょっと小洒落たご飯屋さんに。…でも、他の子と約束してるって断られちゃった」和哉に目で合図を送り、車を出させる。麗香は流れていく景色を眺めながら話を続けた。「相変わらず、部屋に女の子連れ込んでるし、いつも女の影があるし、なのに桜ちゃんには手を出さないじゃん。あれ…本当に好きなんじゃないかって…」言ってから、少し気まずそうに龍之介を見る麗香。「ごめん…でも、きっとそうだよ。桜ちゃんに対してだけは、態度が違うもん」「…百合の時もそうだった」
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37.サヨナラの…Silence Bard HOTEL

「桜ちゃん、今日…予定通り大丈夫?」「…うん。もちろん」美紀が確認したのは、旅行先で提案してくれたことだ。それは…龍之介に出してもらった入居費用の残金を、美紀に借りて全額返し、縁を切ること…せっかくの美紀の好意だ。もう後戻りはできない。こんなことでもなければ、自分だけの意思で龍之介とは離れられない。だからありがたい。…これでいいんだ。…大丈夫。お互いに、自分の道を行くだけ。出会ったのが…奇跡なんだから。仕事を終え、昭仁に挨拶した後、2人は一緒に店を出た。現金を持ってきてくれた美紀は、大金を扱ったことがないという桜の不安を聞いて、部屋まで一緒に行ってくれるという。「良かったらそのまま泊まっていかない?」寒い季節は過ぎた。掛け布団が無くても大丈夫だろう。「そう?それじゃ、そうさせてもらおうかなぁ」「夕飯は私が作るから、スーパーに寄っていこう!…料理、結構好きなんだ」美紀の希望を聞いて、豆腐ハンバーグと芋煮、そしてマカロニサラダを作ることになった。「狭い部屋だよ?…たいして家具もなくて、なんか恥ずかしいけど…」美紀を招き入れ、部屋のドアをしっかり施錠する。「これ、先に渡すね。引き出しに入れとく?」封筒に入った現金の厚みを見て、気持ちが引き締まるのを感じる。…これを渡して、もう会わないと言って、これまでのお礼を言うんだ。それだけで、龍之介とのすべてが終わる。「…ありがとう美紀ちゃん。本当に…ありが…」悲しくないと言い聞かせたのに、涙が溢れる。美紀は何も言わずに、ハンカチを差し出してくれた。作ってごちそうするはずが…泣きやめず、一緒に料理をすることになった。…泣くな、とは言わない美紀。その優しさに感謝しながら、眠るまでの時間を一緒に過ごして…早めに床についた。「それじゃ、私は帰るからね?」翌朝…ロールパンをホットドック風にして、簡単な野菜サラダとカフェオレを振る舞ったのは、美紀への感謝の気持ちから。「本当にありがとう。明後日お店に行ったら、また報告する」「うん。それじゃ、お店でね?」連休を取らせてもらっている桜。その休みを利用して、龍之介に連絡するつもりだ。見送りはいらないと言う美紀に甘え、玄関先で別れた。1人になった部屋で…現金をしまった引き出しを見つめる。昨夜…泣きながら考えた。龍之介に、今の気持ちを
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38.初めての夜…

そんな笑顔が、一瞬で凍りついた。「桜ちゃん…ヤッホ!」背にしたソファから覗く赤い髪…麗香だ。「ごめんね、龍之介に無理を言って、待ってる間だけって…時間をもらったの。ほら、クラブ櫻川のこともあるし、組のことでもいろいろとね」「いえ…忙しいのに、すみませんでした」すぐ後ろにいる龍之介を少し振り返りながら、麗香に頭を下げた。「じゃあ、お前はもう行けよ」「早速邪魔者扱い…?まったく、婚約者のくせに冷たいんだから!」明るい言葉に悪気は感じない。…けれど、少し前ならこんな言い方をしただろうか。桜はそっと麗香の表情を見た。桜に笑顔で手を振り、ドアの外に消えた麗香。「ごめんな。櫻川のNo.1ホステスが売り上げを持ち逃げして消えちまってな」「え、そんなこと、あるんですか?」「あぁ、よくある話だ。…麗香は若いうちからそういう世界を父親に任されてきたから、危ない嬢を見極めるのは得意だったんだがな」麗香の座っていた席に、水滴がついた琥珀色の飲み物。これは多分ウイスキーの水割りだ。お酒を飲みながら、そんなトラブルの対処について相談するの?…納得できない気持ちが、桜の心を固くした。「あの…これ、お借りしていたものです」まずは大きな紙袋を差し出した。「…なんだよ」「なんだよって、う…上着ですよ。防犯のために借りていたものと、お怪我をされて会えない時に、寂しさを、紛らわせてた…」差し出すものの、一向に伸びてこない龍之介の手。桜は立ち上がり、クローゼットのハンガーに掛けようと、広い室内を歩き回った。…が、それがどこにあるのかわからず、見当違いの場所を開けては閉めて…を繰り返す。「…何やってんだ?」「…は、ハンガーに掛けておかないと、シワになるので…」ふと…リビングルームの先に、ドアの開いた部屋が見えた。…ベッドルーム?桜の足がそちらに向いた瞬間…「キャ…ッ!」後ろから大きな影が近づいてきてきて、あっという間に横抱きにされた。「クローゼットを探してるなら、ベッドルームだ」足を踏み入れると、ふわりと灯る…淡い明かり。龍之介はそっとベッドに桜を寝かせ、紙袋を奪った。「これは、お前にやったものだ。返してもらおうなんて、思ってねぇよ」「でも…」紙袋をベッドの下に置き、桜の横に、上体を起こして横たわる龍之介。その表情は、あまりに優しく、あまりに愛
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39.離れられない

繰り返すキスが止まらなかった。食べられてしまいそうな激しいキスは、荒い呼吸を繰り返す龍之介を獣に変えてしまったかのよう…服も下着も…手慣れた様子で呆気なく脱がされてしまった。触れる指先が敏感な突起を擦るたび、抑えきれない甘い声が漏れる。「もう…限界…」ごめんな、と言いながらそっと足を開かれた時…言いしれぬ緊張が走った。それは、本当に龍之介自身を受け入れる事ができるのか、という不安。自分の体に…彼が入ってくる、という感覚がわからない。そんな話を聞かせてくれる友達などいなかった…自分にどんな変化が起きるのか、桜の体は無意識に固くなる。「怖いか、桜…」淡い明かりの中でもわかる…とろけるほどの、甘い表情。「怖い…です。痛く…しないで」「しないから…。俺に任せろ…な?」素直に不安を伝える桜に、甘い表情がさらにとろける。何度目かわからないキスが、桜を求めてきて…「…全部、脱いでください」「あ…?」龍之介はまだ、シャツを羽織っていた。その黒いシャツのボタンに手をかける。「桜…俺の胸には…」「知ってます…百合の花が咲いてる」それを隠すためにシャツを脱ぎあぐねていた?すでに下半身はつながる直前なのに、進めずにいたとしたら…微笑ましい。彼の首に腕を絡ませ、引き寄せる。「それごと…愛してしまったんです。百合の花を胸に刻んだあなたを…」「…桜、」許しを得たかのように、突き立てたモノが潤みをかき分けてくる。「…あ、っ…」不安で、漏れた声だった。「大丈夫だ…ゆっくり、な…?」迎えに来た唇が、ナカに進むリズムに合わせて口づけてくれる。それはいっそう甘くて、優しく官能的で、桜のこわばる体から力を奪った。「…入ったぞ、キッツいな…」「え…い、痛い?」「バカ…むちゃくちゃキモチいい…」下腹部に初めて感じる違和感。これが龍之介とひとつになった証しだと思うと、心から喜びが湧き上がってくる。「龍之介…愛してます」「りゅう…のすけ?」「あ、ごめんなさい」呼び捨てにして不愉快にさせたのかと思った。自分でも驚いた…龍之介、なんて…「…いいから、龍之介って、呼んでくれ」熱い吐息を漏らして…ナカを満たしていたモノを動かす龍之介。…初めて聞く淫らな水音に、桜の呼吸も早くなる。「りゅ…のすけ…」挿し込まれ…抜かれ…また、挿し込まれ…何かが高ま
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40.手を離したら…

こんなに女を離せなくなるとは、自分でも意外だった。桃色に染まる肌に触れて火がついて…無理をさせてはいけないと思いながら、つい抱きしめる。夜が明けて、日が高くなって…届けさせた食事を食べる暇も惜しく、桜に触れていたかった。「…そうだ」それなのに、桜は俺の手をスルリと抜け、ベッドを下りる。「あれ…持ってきたはずなのに…」「…なんだ、どうした?」リビングに置いた自分のバッグを探り、眉を下げる桜。離れた熱が恋しくて、自分から彼女に近づいた。「お金を…返そうと思って」「まだそんなこと言ってるのか…」バッグに入れた細い腕を引き抜き、そのまま後ろから抱きしめる。ソファに座り、膝に桜を座らせて。「…置いて来ちゃったみたい。…もう私…なんてバカなんだろう…!」「運命だと思えよ。俺とは、別れられない運命…」薄く笑えば、恨めしい表情で振り向いて、俺の首元に顔を埋める。その猫のような様子が可愛くて、口づけが、また始まった。「連絡は欠かさない。遅くなっても必ず返信する。週末は、一緒にいよう」結局、桜が仕事に行く日の早朝まで引き止めてしまった。仕事なんてせずに、ここで俺の帰りを待っていてくれたらどれほど嬉しいか…桜のことを思えば言えないことを胸にしまい込み、彼女の手を離す。「あの…私、少し大人になったのかな」恥ずかしそうに言う桜。もう一度伸びてしまう己の手を止められない…「大人だな。うん…快感を知って、色気が出てきた」抱き寄せる俺の手をかわし、桜は困ったような笑みを浮かべる。「もうおしまいです…仕事、行けなくなっちゃう」そう言いながら俺の手と自分の細い指を絡ませる桜。…まさかこの後、彼女の運命が…またも大きく揺さぶられることになるとは、龍之介もまったく予想できずにいた。「…よう、ずいぶん長いことシケ込んでたじゃん」舎弟を数人連れた蔵之介と、屋敷に入ったところでで鉢合わせた。横目で俺を見たあいつは、俺がどこから帰ったのか、知っているようだ。「お前は?…櫻川の後か?」「あぁ。瑠里が抜けた穴を麗香が必死に埋めようとしてっから、ちょっと様子を見に行ってやった」売り上げを持ち逃げしたNo.1ホステス、瑠里。蔵之介は珍しく愉快そうに、俺の腕を小突く。「…もうすぐ嫁になる女だろ?帰ったんなら、あんたが見てやれよ」「櫻川は麗香に任せてる」
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