「ちょ、ちょっと早川君!自転車の二人乗りはダメだよ!先生や警察に見つかったら……」耀は後ろで喚く百合子を見てニヤリと笑った。「俺がルールなんか気にすると思うか?」「え」そうだ、どうして忘れていたんだろう。今私の目の前にいるこの男は学年一の不良で、校則を守ったことなんて一度もないような人間だった。彼女がそのことに気付いたときには、既に遅かった。百合子を乗せたまま、耀は急な下り坂を猛スピードで下りて行った。「キャアッ!」向かい風を受けた百合子は思わず彼の背中にしがみついた。恋愛経験のない百合子は、思わぬ密着に顔を真っ赤にした。「しっかりつかまっとけよ!」「は、早川君……!」百合子は振り落とされないように、耀にギュッと抱き着いた。この胸のドキドキはきっといつ誰に見つかるかわからないという焦る気持ちからだ。決して恋愛感情などではない。(あぁ、どうか無事でいられますように……!)百合子はそんなことを心の中で願いながら、彼の背中に顔をうずめた。しばらくして、二人を乗せた自転車はファミレスへと到着した。百合子はそっと後ろから降り、耀は駐輪場に自転車を止めた。百合子は軽くよろけながらも、建物を見上げた。それから周囲を見渡すと、彼女はあることに気付いた。「ちょ、ちょっと!ここ学校から近いじゃない!どうしてわざわざ遠回りしたのよ!」「どうせなら軽くサイクリングでもしていこうと思ってさ」「も、もう!私死ぬかと思ったのよ!」「そうか?俺は楽しかったけどな」耀はガハハッと豪快に笑った。さっきとは違う、男らしい笑い方に百合子の胸がトクンと音を立てた。耀は自転車の鍵を抜くと、ファミレスの中へと入って行く。「何してる?早く来いよ」「あ、う、うん……」彼に言われ、百合子は慌ててあとについて行った。中に入り、店員に席まで案内される。(わぁ、やっぱりウチの学校の生徒がいるよ……)元々学校からあまり遠くないこのファミレスは、二人の通う学校の生徒が多く訪れる。学年が違うのが不幸中の幸いだった。「あの二人ってウチの学校の子だよね?」「カップルかなー?男の子かっこいいー」すれ違う高校生たちが、二人を見てヒソヒソ噂話をしている。百合子は何だか居心地が悪くなった。(早川君もきっと、迷惑に思っているんだろうなぁ……)そう思って前を歩く耀の顔を覗き込むが、彼は
최신 업데이트 : 2026-04-12 더 보기