彼は瀬奈とは別の中学に通っており、家も近いわけではなかったため、この頃には彼女と会うことはほとんど無くなっていた。会いたいという気持ちが無いわけではなかったが、彼女の自身への気持ちが無いことを考えると、あまり気乗りしなかったのだ。瀬奈を好きだという想いが変わったわけではない。ただ、彼女を見るのがとても辛くなってしまっただけだ。そんなとき、湊斗の前にある一人の女が現れた。「神宮司君……ですよね?」「………誰だ?」「やっぱり!噂通りとってもカッコイイのね!」一人で外を歩いていた湊斗に声をかけたのは、同年代の女子中学生だった。彼女は湊斗を知っているようだったが、彼は初めて見る顔だった。着ている制服からして、どうやら湊斗と同じ中学の生徒のようだ。そんな彼女が何故ここにいるのか。もしかして、後をつけていたのか。ゾッと身震いした湊斗をよそに、彼女は頬を染めて彼を見上げた。その姿はかつての瀬奈のようだったが、彼がそんなものに心を動かされることはない。女はゆっくり近づいてくると、湊斗の体に手を触れた。「ねぇ、私……ずっと神宮司君のことが好きだったんです……」「………何だと?」彼女は胸に触れたあと、そのまま彼の鍛えられた腹筋までなぞった。「婚約者がいるのを知っても諦めることができません……どうか、私と付き合ってくれませんか?」「……」湊斗は当然、その告白を断ろうとした。大体彼には婚約者がいるし、彼女を悲しませるような真似はしたくなかった。――以前の彼なら、そのような考えから即座に断りを入れている場面だろう。しかし、瀬奈に拒絶され続けている今は違う。(アイツにはもう、俺への気持ちなんて無いに違いない……)大体あっちだって婚約者を置いて他の男と遊んでいるのだ。なら、俺が遊んでいたところで彼女に何かを言う資格は無いはずだ。湊斗はニヤリと口角を上げた。それは、自身を放置して遊び歩く瀬奈への復讐のつもりでもあった。「………そうだな、いいだろう。俺たち付き合おう」「ほ、本当ですか!?嬉しいです、神宮司君!」彼女は湊斗の体に抱き着き、彼はそれを優しく受け止めた。湊斗に初めて、瀬奈以外の恋人ができた瞬間だった。
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-09 อ่านเพิ่มเติม