บททั้งหมดของ 二十年放置された妻、子供隠して離婚届にサイン後、元夫は狂おしく彼女を探す: บทที่ 241 - บทที่ 250

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第241話

彼は瀬奈とは別の中学に通っており、家も近いわけではなかったため、この頃には彼女と会うことはほとんど無くなっていた。会いたいという気持ちが無いわけではなかったが、彼女の自身への気持ちが無いことを考えると、あまり気乗りしなかったのだ。瀬奈を好きだという想いが変わったわけではない。ただ、彼女を見るのがとても辛くなってしまっただけだ。そんなとき、湊斗の前にある一人の女が現れた。「神宮司君……ですよね?」「………誰だ?」「やっぱり!噂通りとってもカッコイイのね!」一人で外を歩いていた湊斗に声をかけたのは、同年代の女子中学生だった。彼女は湊斗を知っているようだったが、彼は初めて見る顔だった。着ている制服からして、どうやら湊斗と同じ中学の生徒のようだ。そんな彼女が何故ここにいるのか。もしかして、後をつけていたのか。ゾッと身震いした湊斗をよそに、彼女は頬を染めて彼を見上げた。その姿はかつての瀬奈のようだったが、彼がそんなものに心を動かされることはない。女はゆっくり近づいてくると、湊斗の体に手を触れた。「ねぇ、私……ずっと神宮司君のことが好きだったんです……」「………何だと?」彼女は胸に触れたあと、そのまま彼の鍛えられた腹筋までなぞった。「婚約者がいるのを知っても諦めることができません……どうか、私と付き合ってくれませんか?」「……」湊斗は当然、その告白を断ろうとした。大体彼には婚約者がいるし、彼女を悲しませるような真似はしたくなかった。――以前の彼なら、そのような考えから即座に断りを入れている場面だろう。しかし、瀬奈に拒絶され続けている今は違う。(アイツにはもう、俺への気持ちなんて無いに違いない……)大体あっちだって婚約者を置いて他の男と遊んでいるのだ。なら、俺が遊んでいたところで彼女に何かを言う資格は無いはずだ。湊斗はニヤリと口角を上げた。それは、自身を放置して遊び歩く瀬奈への復讐のつもりでもあった。「………そうだな、いいだろう。俺たち付き合おう」「ほ、本当ですか!?嬉しいです、神宮司君!」彼女は湊斗の体に抱き着き、彼はそれを優しく受け止めた。湊斗に初めて、瀬奈以外の恋人ができた瞬間だった。
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第242話

湊斗は浮気をする瀬奈への当てつけのように、その女との交際をスタートさせた。別に好きになったというわけでなかった。ただ、瀬奈への仕返しがしたかっただけだ。このことが噂になって浮気中の彼女が悲しんでくれたらいいな、なんてそんなことを思いながら。しかし、そんな半端な気持ちで始まった関係が上手くいくはずがない。初めてのデートの日、女は湊斗の腕にしがみついて周囲にこれでもかというほどアピールしていた。市内では彼はかなりの有名人であったため、女と歩いているともなれば噂はあっという間に広まっていく。――暁家の次女と婚約中の神宮司家の御曹司に恋人がいる。そのような話はすぐに市内に広まった。元より、女の方が周囲に自慢げに言いふらしていたというのもあった。「湊斗、私あなたと付き合えてとっても幸せだわ」「ああ……」湊斗は素っ気なく言葉を返した。このとき、彼の頭の中を独占していたのは新しくできた恋人ではなく、瀬奈だった。当然そのことは内緒である。「湊斗、次はあそこのお店に行きましょうよ」「ああ、そうだな……」彼女とのデートは、ハッキリ言って彼にとって楽しいとは言えないものだった。しかし、表向きは一応恋人同士であるため、流されるままに二人で外出をしていた。(つまらないな……)やっぱり自分にとって瀬奈は特別な存在だったのだということを、湊斗は再認識した。そんな彼女に裏切られたということが、悲しくてたまらなかった。「このワンピース、私に似合うかしら?」「……さぁ、どうだろうな」「……」あまりにも無関心で冷たい彼の態度に、恋人の心が離れていくのも時間の問題だった。彼女はとうとうある日、カフェで彼に問い詰めた。「ねぇ、湊斗……私のこと、本当に愛してる?」拗ねたように頬を膨らませながら、彼女は尋ねた。湊斗は黙り込んだまま何も言わず、その反応に彼女は落胆した。「やっぱり……私のことなんて好きじゃないのね……」「……悪い」別れを切り出した彼女を、湊斗は引き留めなかった。もし、相手が瀬奈であれば確実に違う対応を取っていただろう。(やはり、俺は……彼女でなければいけないようだ)初めてできた恋人とは、一ヵ月も続かないまま関係は終わりを迎えることとなった。しかし彼は瀬奈の元へ戻ることもせず、数日後には新しい女と遊ぶようになった。湊斗の激しい女遊びが始まったのは、ち
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第243話

湊斗は自身に言い寄る女を何の迷いも無く、受け入れるようになった。まだ彼は高校生ではあったものの、その美貌はすでに完成されていた。高い身長、整った顔立ち、神宮司家の御曹司という地位。そのすべてが女性たちにとってはあまりにも魅力的で、彼にすり寄る女は後を絶たなかった。今までは暁家の令嬢という婚約者の存在があったから遠慮していたというだけ。しかし、他でもない湊斗自身が女たちを受け入れるようになったのなら話は別だ。自分にもチャンスがあるのかもと思った女たちは湊斗にアピールを始め、瀬奈から彼を略奪しようと画策する者まで現れた。同級生から同じ高校に通う先輩後輩、さらには父親の会社に勤務する社員までもが彼と親しくなろうと躍起になった。もちろん、湊斗だってそんな見え透いた打算で動く女たちを本気で好きになったわけではない。ただの遊びで、瀬奈との婚約を破棄するつもりも最初から無かった。彼の女遊びに拍車がかかるようになった頃、ちょうど瀬奈が久しぶりに彼に会いにやって来た。彼女と会うのは実に数年ぶりだった。いつもいつも会えないと言われて門前払いされていたから。「湊斗……!会いたかったわ……!」瀬奈は嬉しそうに彼に駆け寄った。前までは愛しいと感じていたはずのその笑顔や仕草が、今は何故か憎たらしかった。(……何だ?浮気相手と上手くいかなかったからって、俺とよりを戻そうとしているのか?)彼女が他に男を作り、自身との婚約を破棄しようとしていたことを彼は知っていた。湊斗は、そんな彼女を自然と拒絶していた。「――近づくな」「み、湊斗……?」低い声で冷たく吐き捨てると、彼女はショックを受けたような顔で立ち止まった。その表情には胸が締め付けられたが、全て自業自得である。(俺はお前を、もう愛してなんかない……)久しぶりに見る瀬奈に心が揺れ動きそうになった彼は、必死でそう自分に言い聞かせた。俺はお前を愛していない。お前への気持ちはとうに消えたんだ、と。傷付いた顔の彼女を見て、もっと苦しめばいいとさえ思っていた。最低なことをしているという自覚はあったものの、彼女がしてきたことを考えるとどうしても優しくできなかった。彼女には指一本触れることなく、他の女たちと浮名を流す。満たされない孤独感の中で、湊斗は生きていた。それからしばらくして、湊斗と瀬奈は結婚した。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-11
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第244話

湊斗は自分を無視し続けて浮気をした瀬奈をどうしても許すことができなかった。相手との関係が上手くいかなかった途端に湊斗の元へ戻ろうとするだなんて、都合が良いにもほどがあるのではないか。そのような点から、彼は結婚後も彼女を放置し続けた。そんなことするくらいなら婚約を破棄すればよかったのではないかと思うかもしれないが、そのまま浮気相手と結婚することにでもなったら湊斗は耐えられないだろう。身勝手で最低な考えだと自分でもよくわかっている。結婚してからも女遊びを繰り返す彼に、両親は何とか彼と瀬奈との関係を改善しようと働きかけた。『湊斗、浮気だなんて……瀬奈ちゃんがそんなことすると思う?あの噂はきっと何かの間違いよ。あなたや瀬奈ちゃんを貶めたい人間の仕業に違いないわ』『そうだ、あの子がそんなことするはずがない。お前は何を勘違いしているんだ?私たちよりもずっと瀬奈ちゃんのことをよく知っているお前が、何故そんなものを簡単に信じてしまうんだ?』両親は彼が帰るたびに苦言を呈した。そんなことを言われるのが憂鬱になって、湊斗は次第に家にすら帰らなくなった。瀬奈は同居している両親にかなり好かれているようだった。(やっていないだなんて……そんなはずがない。もし本当にしていないのなら、何故俺に何も言ってこないんだ?)今思えば、彼は瀬奈から直接その言葉を聞きたかったのかもしれない。湊斗がもう少し瀬奈と向き合う姿勢を取っていれば、彼女は二十年間もあのような思いをせずに済んだかもしれない。両親が亡くなってからは、余計に瀬奈との関係が悪化した。『俺は何故……彼女にあんな酷いことを言ってしまったんだ……』我に返ったのは、瀬奈に怒りをぶつけたあとだった。後悔したところですでに遅く、どうすることもできなかった。両親の死の原因は、旅客機での事故だった。瀬奈がプレゼントした航空券での旅行だった。当然、彼女には事故など予測できなかっただろうし、瀬奈には何の罪も無い。彼は両親の死を聞いたとき、誰よりも動揺していた。湊斗は瀬奈のことで両親と折り合いが悪くなっていたものの、彼らのことを嫌っていたわけではなかった。むしろ人として優しい二人を尊敬していたし、大好きだった。しかし、最後に二人に会ったのはいつだっただろうか。笑いかけてくれたこともかなり前だ。最後に会うことさえできなかった。『ク
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第245話

全てを語り終えた湊斗の目から、一筋の涙が零れた。瀬奈にとっても辛い二十年間だったが、それは彼にとっても同じだったのだ。そのことを、瀬奈は今初めて知った。「……瀬奈、傷付けて悪かった」「……」瀬奈は何も言うことができなかった。受け入れることも、拒絶することも、どちらもできない。それは紛れもなく、湊斗との離婚を望んでいた彼女の心が揺れ動いているという証拠だった。しかし、誤解が解けたからといってすぐに仲直りというわけにはいかない。二十年という歳月はあまりにも長く、重かったからだ。それにまだ、彼女には解せないことがあった。「湊斗……私は浮気なんてしていないわ。あなたが贈ってきたというプレゼントや手紙も何のことだかわからないの」「……」その言葉で、瀬奈と湊斗の二人は同時にあることに気が付いた。―――そう、湊斗と瀬奈のすれ違いは何者かが仕組んだものだったのだ。瀬奈は湊斗からのプレゼントなんてあのリボン以外貰ったことが無い。しかし、彼の話によるとそれ以外にもかなりの物を贈っていたのだという。当然、瀬奈は身に覚えが無かった。「……俺は贈ったプレゼントを毎回気に入らないと言われて突き返されていた。それに手紙の返事も無かった。会いに行っても会いたくないと言っていると……門前払いされていたんだ」「門前払いって……一体誰から?」「暁家に仕える女の人で……名前はたしか――滝沢とか言ったか」その名前を聞いた途端、瀬奈の顔色が変わった。「………滝沢?」暁家に仕えている滝沢という名前の人間は、一人しかいない。暁家主催のパーティーで瀬奈の送迎を担当していた女性。(……………滝沢陽子)彼女に虐待紛いの教育を施していた女。仕事人間だった父親のいない暁家で女王のように君臨していた人でもあった。「……滝沢さんが、私があなたに会いたくないと思ってるって言ったの?」「ああ、そうだ。たしかに言ってた。俺が会いに行くと何故か毎回その女が出てきて……」湊斗はそのときのことを詳細に語り始めた。彼が語った女の外見や言葉遣いは、瀬奈のよく知る陽子にそっくりだった。おそらく嘘はついていないだろう。(滝沢陽子……アンタの仕業だったのね……!)瀬奈は直接そのときのことを見ていたわけではないが、彼女ならやりそうなことだ。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
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第246話

瀬奈の教育係だった陽子は、彼女に虐待紛いのしつけを繰り返していた。瀬奈の母親――暁夫人が亡くなってからは余計に酷くなり、瀬奈は長い間彼女に苦しめられていた。(……今思えば、我が家はとっても歪んでいたわ)――瀬奈の実家である暁家は、かなり闇深い家だった。元々、瀬奈たち三兄弟の両親は政略結婚だった。家同士の繋がりで得る利益を優先した末の婚姻で、そこに愛情など無いに等しい。それでもお互いを受け入れた両親だったが、次第に母は無関心で冷たい夫に疲れ果てるようになった。それに加えて第一子が女児であったことを父から責められ、彼女は心を病んでしまった。運良く男児を産むことができたものの、彼女の心の傷は癒えず、自殺未遂をしてしまうほどに精神状態が不安定だったそうだ。(……その点を言えば、母さんも被害者なのよね。父さんの)瀬奈や静香は母親に可愛がられた記憶が無かった。瀬奈の記憶にある母親は、いつだって泰西に執着とも呼べるほどの愛情を注いでいただけだったから。「瀬奈」「…………湊斗」じっと考え込んでいた瀬奈が顔を上げると、真剣な面持ちの彼と目が合った。彼はしばらく彼女を見つめたあと、ふぅと息を吐いてゆっくりと口を開いた。「今さらこんなこと言ったところでどうしようも無いかもしれないが……」「……」彼が何を言うつもりなのか、その真摯な表情から何となく想像がついた。湊斗からずっと目が離せないでいる瀬奈に、彼は口元に僅かな笑みを浮かべた。普段から冷静で感情を露わにすることの無い湊斗が、そんな風に穏やかに笑うのは瀬奈か里亜の前だけだった。「――俺は初めて出会った頃からずっと、お前だけを愛している」「湊斗……」彼の真剣な告白に、瀬奈の胸がギュッと締め付けられた。どうしてこんなにも、胸が痛いんだろう。彼がどんな目に遭ったところで、どうでもいいと思っていた。瀬奈は離婚を決意したとき、湊斗がどれだけ後悔しても絶対に受け入れないと誓っていた。しかし、今はどうだろうか。瀬奈は不思議と、目の前にいる湊斗を拒絶することができなくなっていた。彼女の胸の中に、ある疑問が浮かび上がった。――私は本当は、どうしたいというの……?
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-14
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第247話

瀬奈は自分の気持ちに説明がつかなかった。前はたしかに湊斗を受け入れることをハッキリと拒んでいた。しかし、今は何故か彼を拒絶することができなかった。誘拐されたとき、彼女が助けを求めたのは他の誰でもない、湊斗だった。やっぱり彼女は彼への想いを捨てることができなかったのだ。――彼女は今になってようやく、そのことに気が付いた。そのとき、瀬奈の目から一筋の涙が零れた。泣いてしまった彼女を見た湊斗は、また彼女を傷付けてしまっただろうかと焦った。彼が手を伸ばそうとするも、その手は空中でピタリと止まった。あまりにも儚く、高潔な彼女に、汚らわしい自分が触れて壊れでもしたらどうしようという思いからだった。湊斗は諦めてゆっくりと手を下げようとしたが、その腕を瀬奈が掴んだ。彼女が自分から彼に触れるのは珍しく、彼はビクッと肩を上げた。「……湊斗」「どうした?瀬奈」瀬奈は泣きながら、顔を上げて湊斗を見つめた。彼の腕を掴んでいた瀬奈の手に、僅かに力が込められた。「……誘拐されたとき、私あなたのことしか考えられなかった。あなたが助けに来ることを、何度も何度も心の中で願っていたの」「瀬奈……」彼が本心を包み隠さず口にした今、今度は瀬奈の番だった。湊斗が全てを話したのだから、自分にも隠し事があってはならない。――本当の気持ちを打ち明けるのなら、今しかない。「……私、あなたがどれだけ後悔しようと絶対に離婚するんだって……そう思ってた」「……」瀬奈がずっと彼との離婚を望んでいたことを、当然湊斗は知っていた。もし、湊斗は瀬奈が本当に自分の傍を離れることを望んでいるのなら、手放すつもりだった。どれだけ自身が辛くて苦しかったとしても、仕方が無い。瀬奈をそのような状況に追いやったのは紛れもなく彼だったからだ。彼女に辛い思いはさせたくなかったし、里亜にも幸せでいてほしかった。愛する妻と娘の幸せのために、自身が身を引く覚悟はできていた。瀬奈は掴んでいた湊斗の腕をゆっくりと動かし、大きなその手を自身の頬に当てた。彼女の柔い肌の感触が、彼を手にしっかりと伝わってくる。「――私、賭けに負けたみたい。あなたのことが好きなの」「瀬奈……」――瀬奈はとうとう、湊斗に嘘偽りの無い本心を打ち明けた。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-15
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第248話

湊斗は信じられないと言う顔で、瀬奈を見つめていた。彼がそうなるのも無理はない、瀬奈はこれまでずっと湊斗を拒絶し続けてきたのだから。突然受け入れるだなんて、想像もしていなかっただろう。「……瀬奈」「湊斗……」湊斗は突然彼女の頬から手を引いた。掴んでいた瀬奈の腕も引き剥がされ、彼女は一瞬呆気に取られた。しかし、その後すぐ彼は立ち上がると、彼女の腕を引いてその胸に抱きしめた。座った状態で、瀬奈は彼に力強く抱きしめられた。瀬奈はゆっくりと腕を上げ、彼の背中に手を回した。拒絶されるのではないかという恐れが未だにあったのか、湊斗の体の震えが次第に収まっていった。瀬奈は彼の背中で両手を握り、強く抱きしめ返した。お互いの体が隙間なく密着する。彼の腕の中で、瀬奈は幸せそうに笑った。このときを、彼女は二十年前からずっと待ち望んでいたのである。しばらく抱き合ったあと、湊斗は瀬奈の脇の下に手を入れ、その体を抱き上げて膝の上に座らせた。一瞬にして、瀬奈が湊斗を見下ろすような体勢になる。瀬奈は彼の首に腕を回し、二人は至近距離で見つめ合った。そしてそのまま、どちらからともなく自然と唇が重なった。ファーストキスではなかったものの、気持ちが通じ合ってからという意味では初めてのキスだった。(夢みたい……こんな日が訪れるなんて……)瀬奈は目を閉じ、彼からのキスを受け入れた。しばらく口づけを交わしたあと、湊斗は膝に跨っていた瀬奈を軽々と持ち上げた。「キャッ!」幼い子供のように前向きで抱っこされ、彼女は恥ずかしさで彼の肩口に顔をうずめた。そんな瀬奈が愛おしいのか、湊斗は彼女の頭を優しく撫でた。彼は瀬奈を抱き上げたまま、しばらく部屋の中を歩き回った。彼女は彼が何を考えているのか、そして何がしたいのかがわからなかった。瀬奈は湊斗の体にしがみついたまま、じっとしていた。そうしていると、まるで子供の頃に戻ったかのような気分になった。湊斗はしばらく室内を歩き回った後、ある一点へと真っ直ぐに向かった。(……どこへ行くんだろう?)彼女は不思議に感じながらも、彼に身を任せた。――その瞬間、突然抱いていた腕の力が緩くなり、瀬奈の体はベッドに沈み込んだ。「………………湊斗?」「……」気付いたときには、湊斗が彼女の頭の横に手を付いてこちらを見下ろしていた――
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-16
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第249話

ギシッ……とベッドが軋む音がした。湊斗が膝をついて瀬奈に覆いかぶさっている。熱っぽい眼差しでこちらを見下ろす彼を、瀬奈はただじっと見つめていた。目を逸らすこともできず、吸い込まれるように美しい彼の瞳に釘付けになっていた。湊斗が今やろうとしていること、望んでいるものは瀬奈にもしっかりと伝わっていた。今までにもこういう展開は何度かあった。しかし、そのときは湊斗を受け入れることなんて到底できなかった。いつも寸でのところで彼を拒絶し、結局行為までには至らなかった。だけど、今は?湊斗はベッドに沈んでいた手を持ち上げると、瀬奈の頬にそっと触れた。その瞬間、彼女の心臓は激しく鼓動した。指先から感じられる熱が、彼女の頬に溶け込んでいく。その感覚が何故だか今は心地よく感じられた。(変ね……湊斗に触れられるのは初めてではないはずなのに、どうしてこうも緊張するのかしら)そこで、瀬奈はとうとう目を逸らしてしまった。その瞬間、湊斗は瀬奈の頬を包み込んで手で持ち上げると、二度目の口づけを交わした。唇が重なり合い、瀬奈の口内に湊斗の舌が侵入した。彼の舌は、遠慮がちに差し出された彼女の舌をすぐに絡め取った。「んっ……」頬を包み込んでいた彼の手が後頭部に回ってグッと彼女の頭を押さえ付けた。それと同時に、瀬奈もまた湊斗の首に腕を回して彼を抱きしめた。息が苦しくなるほどの長い口づけが続き、彼女の甘い声が漏れた。ようやく唇が離れると、湊斗は瀬奈と額を合わせ、満面の笑みを浮かべた。彼の笑顔につられて、彼女もまた笑ってしまう。そのまま羽根のように軽い口づけが何度も続いた。湊斗に抱かれるのは初めてではなかったが、あのときとはすべてが違う。柔らかい彼の表情も、自身に触れる優しい手も、初めての経験だった。後頭部をガシッと掴んでいた彼の手が下に滑り落ち、彼女の柔らかい髪の毛を優しく撫でた。そのまま一房持ち上げると、彼は髪の毛に口付けた。愛おしくてたまらないというその表情に、瀬奈は嬉しくなって彼の背中を抱きしめた。胸に顔をうずめながら、彼女は口を開いた。「湊斗……愛してるわ……!」その言葉を聞いた湊斗は、瀬奈を強く抱きしめた。彼女の耳元に唇を近づけると、そっと囁いた。「――俺も、愛してる」二人の気持ちがようやく通じ合い、二人は再び口づけを交わした。そしてそのまま、湊斗は瀬奈の
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-17
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第250話

深い夜があっという間に過ぎ、朝になった。「ん……」外から聞こえてくる小鳥のさえずりで、瀬奈は目を覚ました。カーテンの隙間から、眩しい朝の光がまだ薄暗い室内に漏れている。今は何時だろう?そう思って時計を確認すると、まだ朝の六時を過ぎたあたりだった。今日はちょうど休日だった。休日とはいえ、瀬奈はここへ来てから仕事をしていないため、特に変わったところは何も無い。(昨日は……なかなかに激しい夜だったわ)湊斗と心を通わせた後に迎えた初めての夜。瀬奈にとっては初夜も同然だった。横を見ると、湊斗がぐっすりと眠りについていた。眠っている彼の布団から出た上半身は裸だった。既に四十近い湊斗だが、今でも忙しい合間を縫ってジムに通っており、体は引き締まっている。彼女はそんな彼の胸筋に軽く手を触れた。相当疲れているのか、起きる気配はない。そのまま瀬奈は彼の体をなぞり、腹筋を触った。「湊斗……」昨日はこの逞しい体に抱かれたのだと思うと、何だか急に顔が火照った。(な、何か恥ずかしくなってきた!先に起きちゃおう!)昨日の甘い夜のことも然り、湊斗の顔を見れる気になれなかった。そう思った瀬奈は、まだかなり早いが、先に起きようとした。しかし、上半身だけを起こした彼女は突然体を引っ張られた。「キャッ……!」腕を引かれ、彼女の体は再びベッドに沈み込んだ。そのまま瀬奈は、逞しい腕に抱きしめられる。「み、湊斗……!」「起きていたのか、何故行こうとしたんだ?」湊斗はベッドに横になったまま、瀬奈の体を両腕で力強く抱きしめた。今は瀬奈も服を着ておらず、素肌同士が隙間なくくっついた。「湊斗、あなたも起きていたのね……一体いつから?」「お前が……俺の体を触ってきた前くらいから」「……」起きていたのなら何らかの反応をすればいいものを。わざと寝たフリをするだなんて、何て意地悪なんだ。瀬奈は彼を恨めしく思いながらも、じっと胸に抱かれていた。「まだ朝の六時よ」「そうだな、今日は久々の休みだからもっと寝ていたい」彼はそう言いながら、眠たそうな目で瀬奈の額に口付けを落とした。瀬奈は自分だけ先に起きようと思っていたが、どうやら彼は彼女を離すつもりは無いようだ。寝るなら、お前と一緒に寝たいという意味だろう。(……まぁ、たまにくらいならいいかしら)瀬奈は湊斗の背中に腕を回し、彼を
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-18
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