特に、その華奢な体つき……絶対にどこかで見たことがあった。柚葉本人は真剣に考え込んでいるつもりだったが、周囲の目には、凛をじっと睨みつけ、よからぬことを企んでいるようにしか見えなかった。嫌な予感を覚えた克哉は、すぐに梓へ視線を送る。その意図を察した梓はさりげなく身をずらし、凛の前に立った。凛も反射的に目を伏せる。視界を遮られた柚葉が一歩踏み出そうとしたところで、英樹が彼女の腕を掴んだ。険しい表情で柚葉を睨んでいる英樹。これ以上何をするつもりだ!まだ事態を大きくし足りないのか?「帰るぞ」英樹は柚葉を無理やり引っ張った。克哉がほっと胸を撫でおろす。「松田さん、お気をつけて」梓も深々と頭を下げて二人を見送ると、安堵の溜息をついた。「びっくりした。今にも先輩のマスクを剥ぎ取りにきそうな勢いでしたね。先輩がこのプロジェクトの責任者だっていうのに、よくもまあそんな真似できますね」「中途半端に特別扱いされて育つと、ああなりやすいんだよ」克哉は苦笑しながらため息をついた。「小林は子どもの頃から秀才扱いされてきたし、ずっと松田さんのそばにいたからね。そのおかげで普通なら会えないような人たちとも知り合えたし、ずいぶん可愛がられてもきた。だから、多少問題を起こしても、誰も本気で咎めなかった。ずっとそうやって守られてきた人間は、自分が特別扱いされていることに気づかないまま大人になってしまうことがあるんだ」「じゃあ、大人になってからはどうなんですか?」梓は首を傾げた。「さすがに社会に出たら、誰もそこまで甘くしてくれないですよね?」「確か、あの子が高校に入った頃からは、松田さんも公の場へは連れて行かなくなったよ」「なぜ?」松田さんが彼女を進学校に入れたんだけど、そこには彼女より優秀な生徒が大勢いた。それに、松田さんも以前より厳しくなってね。とはいえ、受験の結果は良くも悪くも微妙で、進学先の大学は選べても、学部や専攻まで自由に選べるほどではなかったらしい」一流大学だからといって全ての学部が強いわけではないし、逆に専門分野では有名でも大学自体の知名度はそれほど高くないこともある。「その頃は少し大人しくしていたんだ。でもその後、再び松田さんが大学院進学も留学も手配した。結局、ずっと松田さんが敷いたレールの上を歩いてきたん
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