柚葉は利明を病院の前まで送り、感謝を伝える。「利明、お爺様のお見舞いに来てくれて、本当にありがとう」「当然のことをしたまでだよ」そう言って、利明は自分のクレジットカードを取り出し、柚葉に渡した。「これは僕が自分で稼いだお金だから、神谷家とは関係ない。安心して受け取って、まずは目の前の問題を片付けて」柚葉は差し出されたカードを見つめた瞬間、目を真っ赤にした。「利明、こんなことしないで……」利明は彼女の悲しそうな顔を見ていられず、その手を取り、無理やりカードを握らせた。「気が引けるなら僕から借りたことにして、余裕ができたら返してくれればいいから」柚葉は言葉に詰まった。利明が本気で返済を求めていないのは分かっている。けれど、利明がそう言ってしまった以上、自分が返さなければ、さっきまで見せていた態度と矛盾してしまうのではないだろうか?いらないとも、お金を返すとも言えなかった柚葉は、ただ、どうすればいいか分からないという風に顔を曇らせた。すると、利明が言葉を継いだ。「大した額じゃない。1億8000万円しか入ってないから」柚葉は絶句した。天下の神谷家の御曹司なのに、口座には1億8000万円だけ?確かに、大した額ではない。それでも、ないよりはずっといいだろう。もっとも、1億8000万円では、今の窮地を乗り切るには到底足りなかった。しかも、凛が10億円を受け取ったものの、「強制執行の申請取り下げはしない」と言い放ったという知らせが、両親から来ていた。それには、あと14億円も足りない!智也などもうあてにならない。月6万円などという、鼻くそみたいな額しかくれないのだから。利明の1億8000万円と宏明の1億円、それに、そのほかの人たちから何とか集めた8000万円。あとは、自分の手元にある金を合わせても、たかだか4億円程度。あと10億円が足りない。やはり祖父を頼るしかなかった。祖父なら、確実にこの金額くらい用意できるはず。柚葉が病室へ戻ると、英樹はベッドに横たわったまま、着飾った孫娘を静かに見つめた。「見送ってきたのか?」柚葉は視線を上げて、小さく笑った。「うん。お爺様は、もう寝る?それだったら、タオルをとってくるね」英樹は小さく頷いた。「ああ」柚葉は洗面所へ入り、壁に掛かったタオルを外し、蛇口をひ
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