バイオニックロボットについては、何よりチップの改良が重要だ。それなら、凛に頼るしかないだろう。日和はなるほどと納得し、二人に向き直って願い始めた。「じゃあ、二人とも来年は健康でいて、私のバイオニックロボをなんとかしてください」凛は笑いながら日和に答えた。「トライドメイン・プロジェクトがテスト段階に入ったら、また改めて全体を見てあげるから」「ありがとうございます、凛さん!」日和は勢いよく凛に抱きついた。しかし、顔を上げると、兄の目から嫉妬の火花が散っていた。日和は凛から離れると尋ねた。「凛さんは?」全員の視線が凛に集まる。凛は遠くのイルミネーションに視線を投げ、静かに微笑んだ。「やりたいことというか、目標になってしまうんだけど、夏までにはトライドメイン・プロジェクトのテストを終えて、製品化へ向けて動き出すことかな」「そこまで追い込まなくてもいいんじゃないですか?」と、日和が言った。「自分もみんなも、過労で倒れちゃいますよ?」代わりに梓が答える。「私たちはそこまで大変じゃないんですよ。技術面の問題は先輩が解決してくれるし、どの問題にもすぐ対応してくれますから。私たちは決められた手順を正確に進めて、あとは竹内グループの人員と設備の支援があれば十分です。先輩の担当も私の担当も、予定どおり進められます。佐野先生のところは少し時間が必要ですが、先輩もそちらは、上半期中にテスト、下半期に発表できればいいと言っていますので」日和は思わずつぶやいた。「やっぱり、竹内グループは資金力が違うのね」マイクロチップ開発プロジェクトに長年かかった理由の一つは、資金だった。国の予算は好き勝手に使えるものではなく、厳しい管理がある。だが、竹内グループは違う。必要と判断すれば、このプロジェクトへ惜しみなく資金を注ぎ込む。もし仮に、入札していたのが景山グループ傘下であるホシゾラ・テクノロジーだったとしたら、いくら凛が身を削るほど働いても、これほどの速度では進まなかっただろう。拓海がメガネの位置を直しながら言った。「イノベーション・テクノロジーは社長が創設した会社で、心血を注ぎ込んだ事業ですからね。それに、グループにとっても名誉となるプロジェクトですから、総力を挙げるのは当然です」理央も頷き、笑顔で尋ねる。「他に何かやりたいこととかないの?」
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