イザベラはアレクサンドに微笑まれただけで頬を染めてしまう。きっと彼女が好きなのはアレクサンドの方だ。それは理解しているはずなのに、彼女もステファンが好きなのだと考えると胸に暗い感情が湧いて出てきてしまう。イザベラもステファンが好き、みんなが仲が良い世界なら、それで良いはずなのに。(ああ、私……)そこではじめて、メロディはその感情を理解した。(ステファン様が好きなんだわ)平民の女友達から聞いていても、よく理解できなかった感情だ。誰かが誰かを独占したいとか、そんなのは良くないと思っていたのに、今自分はステファンと一番仲が良く、彼を一番知っているのは自分でありたいと思っている。(でも、ステファン様にはアマトリアン嬢という婚約者がいるし。イザベラ嬢も、アレクサンド様にはリリアンナ嬢という婚約者がいる……私達、同じなのね)そこまで考えると、黒いもやもやとした感情が消えていくのが分かった。自分と同じように、きっとイザベラも悩んでいるはずだ。この感情は、自分一人のものではないのだと思い彼女は胸を撫で下ろす。その二組がまさか婚約解消を考えているなんてことを、メロディは知らなかった。 *** 「それなら、僕なんかどうですか?」そう言って目の前に現れたセドリックを見た途端、ロミーナは顔を青ざめさせた。対するセドリックはといえば、大きな菫色の瞳を細めて優しそうに微笑んでいる。ブロンドの髪が陽光に煌めいて、彼の機嫌の良さを表しているようだった。「セドリック様……どうしてここニ⁉ ちゃんと撒いたはズ!」ロミーナは彼を見てそう叫ぶ。こそこそ隠れていると思ったら、どうやらセドリックから逃げていたようだ。後ろに下がっていくロミーナとは対照的に、セドリックはず
최신 업데이트 : 2026-03-31 더 보기