「後継者が、もう決まっている……」薄々予想していたことだが、見事に的中してしまい私は焦るしかなかった。後継者って、私が知らない間に遠縁の親戚の中から選んだりしたのだろうか。後継者じゃなくても、この家に居続けられる方法は何かないかと私は必死に頭を巡らせた。そんな私の混乱に気付いたのか、お父様はそっと私の肩に手を乗せる。「その後継者だが、リリーが後継者を名乗り出るなら辞めさせるよ」「え⁉」「彼もリリーが後を継ぐならと喜んで退いでくれるだろう」そんな簡単な話なのだろうか。そんな気持ちが顔に出ていたのだろう。お父様はそっと私の頭に手を乗せる。「だから、リリーは気にしなくて良い」「お父様、そんなわけにはいかないでしょう? その後継者って、誰なの?」そう質問するも、お父様は困ったように顎髭を片手で撫でつけた。視線を逸らして、何かを深く考え込む。「う~ん……内緒、かな」完全に口を割らないつもりだ。何年も一緒に暮らしているので、この表情はそうであるとすぐに読み取れる。「だって、モンリーズ公爵家の後継者よ⁉ みんな喉から手が出そうなほど欲しがる地位を、そう簡単に手放す人がいるわけ……」「いるんだよ、それが」お父様は確信しているが私は納得がいかない。上手くいったものの、後継者の座を辞することになった人間に申し訳が立たない。将来何か融通するとか、直接謝罪するとかしないと、後々のトラブルにもなりかねないし。そうして私が頬を膨らませていると、お父様は笑顔で話を逸らした。「そうと決まったら、婚約解消後には選択クラスを変えないとなぁ。淑女クラスではなく、後継者が学ぶ文官クラスにしないと。クラス変更しても追いつけるよう、勉強しておきなさい」王妃教育で基本的な知識は学んでいるものの、文官クラスのような実際の領地運営に対
최신 업데이트 : 2026-03-29 더 보기