All Chapters of 殺人容疑をかけられた悪役令嬢: Chapter 31 - Chapter 40

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第31話

「承知しました」 命令に側近のテリーが返事をする。その意味は危険を及ぶものだった。 その頃。セレスティンは、無事にシャノンが住んでいる離宮に着いた。 部屋の中に入るとレンデルは、魔塔に行くため不在だったが、シャノンが代わりに迎えてくれた。「お帰りなさい。キャサリン」「シャノン様!? 起きていて大丈夫なんですか?」「えぇ、今日は調子がいいのよ。それよりもどうだったの? 皇后とのお茶会は?」 いつもより元気が良さそうなシャノンだったが、皇后のお茶会のことが気になったようだ。だが、答えようにも……ここでは。 周りのメイド達が聞き耳を立てている。それに、皇后があまりにも恐ろしかったため、どう話したらいいのか分からない。「あらあら、随分と緊張したのね? 顔色が真っ青よ。いいわ。ここだとなんだから、私の部屋で話を聞きましょう」 セレスティンの顔色と様子がおかしいことに気づいたシャノンは、自分の寝室で話すことを勧めてくれる。助かった。 そして寝室に行くと、誰も入らないように言ってくれて、2人で話をする。 セレスティンは、お茶会の様子の他に、皇后と皇帝の夫婦仲のことを聞いてみることにした。あのしつこさに、疑わしい言葉の数々。 どうも皇后が事件に関与している恐れがある。するとシャノンは口を開いた。「陛下は、昔から女好きでね……あちらこちらの女性と噂が絶えなかったわ。そのせいで、皇后とはたびたび揉めていたの」「そうなんですか!?」「えぇ、私の時も大分揉めたらしいの。陛下が私を気に入って、強引に側室にするって進めてしまったから。そのせいで皇后には嫌われるだけではなく、嫌がらせもされたわ。息子の命の危機にもなりかねないと判断して、体が弱いのを理由に、ここに避難してきたの」「……では、皇后様はシャノン様だけではなく、皇帝陛下も嫌っていると?」「……そうなるでしょうね」 セレスティンの言葉にシャノンは頷いた。 これで皇后が皇帝陛下を殺す動機があることが分かった。毒を盛る理由は、憎い皇帝を殺すことで、自分の息子であるウィルモットを皇帝にするため。 それにカトリーヌを良く思っていなかった人物でもある。(そうなると……眠っている陛下に毒を持っている時にカトリーヌに目撃されて殺された恐れもあるわよね?) 少しずつだが、事件の真相が見えてきた。 その時だ
last updateLast Updated : 2026-04-12
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第32話

「あ、ありがとうございます」「……魔塔に寄ったついでだ。それに、魔塔の連中から、新たな情報を手に入れた」「えっ? 情報ですか!?」 レンデルは、新たな情報を手に入れたようだ。「魔塔の主が皇帝を殺す際に使ったのを毒を闇市場で見つけたんだ。街の裏道通りにあるカジノで商品として取引きされているらしい」「えぇっ!?」 街の裏道通りは、貧相な住民が多く住んでいた。そのさらに奥に闇カジノがあると聞いたことはあった。まさか、そんなところで取引きがされているとは驚きだ。「その毒は即効性はないけど、少しずつ気づかれないように飲んだ者の体を蝕んでいく。医者にも気づかれなかったのは、そのせいだろう。特殊な毒だから、こういうところで出回るらしい」 レンデルの言葉にセレスティンは考え込む。 だから皇帝は気づかれずに毒殺をされそうになったのか。カトリーヌが言ってきたのは真実だった。だとしたら、余計に問題だろう。「この事件の真実を知るためにも、俺はカジノに行ってみようと思う」「そ、それでしたら私も一緒に」 レンデルばかりやらせる訳にはいかない。「しかし、こういう場所は子供の姿では行けるところではない。だかと言って元に戻るのも」 大人が行くカジノに幼児化してしまったセレスティンが行くには無理がある。 だが、自分が関わることなのに、ジッとしていることは出来ないセレスティンは、なかなか食い下がらない。「でしたら変装をしればいいと思います。ウイッグとか、メイクを濃い目にするとか。お願いします。私のこの目で確かめたいのです」 必死に頼み込み、せめて大人しくしていることが条件で連れて行ってもらえることになった。 とりあえずバレないように髪色を黒のウイッグを被った。カジノでは、アイマスクを付けるのがルールになっているため、誤魔化せやすいだろう。 それでも用心して少し濃い目のメイク、普段着ないような派手なワインレッドのドレスを着用する。これで準備は万端だろう。 馬車に向かおうとしたら、シャノンがこそっとセレスティンに話しかけてきた。 気をつけてと言うだけかと思ったら、その言葉に衝撃を受けた。 セレスティンは、そのままレンデルと一緒に馬車に乗ると、カジノがある裏通りに向かう。 ゴトゴトと馬車に揺られていると、レンデルが自分の母と話していたことに気になり、セレスティン
last updateLast Updated : 2026-04-12
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第33話

「……えっ?」(幼い頃? レンデルは、幼い頃に少し皇宮に住んでいたことはあるが、早くに離宮に移り住んだはずでは?) セレスティンには記憶がなかった。 また自分がウィルモットの婚約者になった頃だとしても幼かったせいで記憶が曖昧だ。「覚えていないのも無理はない。まだウィルモットの婚約者になる、少し前だから。皇宮に居た頃は、母が身分が低いせいもあって扱いが酷かった。裏で皇后が手を回したのだろう。そのせいでウィルモットからもイジメられて、よく1人で泣いていた。そんな時に優しく声をかけてくれたのが君だった」「わ、私がレンデル様に!?」「ああ、ウィルモットに服を汚されていたから俺が皇子とか気づいて居なかったぞ。それにお互いに幼かった。それでも俺にとったら忘れられない思い出だ」 そう話すレンデルの顔は優しい眼差しになっていた。どこか寂しそうで、懐かしいような。その時、フッと昔の記憶が蘇った。(そういえば……この感じ、どこかで見た覚えがある) ずっと忘れていたが、どことなく懐かしさを感じた。「だから、余計におかしいと思ったんだ。君は、こんなところで終わる女性じゃない。あんな理不尽な証言で死刑だなんて。絶対からくりがある。俺はそう信じて、君を守りたい」 はっきりとセレスティンを真っ直ぐと見て発言をしてくれた。その意志は固く、熱いものだと感じた。 セレスティンは、その言葉を聞いて、心臓がドキドキと高鳴ってしまう。まるで熱い想いをぶつけられているようだ。 その時だった。裏道に入る頃には、道の設備が悪いせいでボコボコになっていたようだ。馬車が激しく揺らいだせいで、セレスティンが前に倒れ込みそうになる。 レンデルは、慌てて受け止めてくれたが、抱きついた格好になってしまった。「ご、ごめんなさい」「あ、いや……大丈夫だ」 お互いにドキドキして少し離れようとするが、まだ馬車がガタガタするので、結局抱き締められたままになってしまった。(どうしたらの!?) 無理やり剝がすのも失礼なような気がして戸惑ってしまう。セレスティンは、そっとレンデルを見ると彼と目が合ってしまった。 間近で見るレンデルは本当に綺麗な顔をしている。まつ毛も長くてバサバサ。キリッとした眉と切れ長の目は吸い込まれそうだ。 髪型も今日は変装のために上げてセットをしており、大人っぽい雰囲気。 
last updateLast Updated : 2026-04-12
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第34話

 華やかなドレスや派手な衣装を着た貴族たちが楽しそうに賭け事していた。 セレスティンは今までダンスパーティーなど社交界でしか経験がなかったため、この雰囲気が衝撃的だった。目の前でお金がじゃらじゃらと落ちていく。(これが……カジノ!? 初めて見たわ」 まるで別世界。裏で、こんな賭け事をして貴族達は楽しんでいたなんて。 するとレンデルは、こそっとセレスティンの手に何かを握らせてきた。ドキッとしたが、よく見てみると、小さくて丸い玉だった。「……これは?」「この玉は、魔塔から購入したものだ。お互いの玉に共鳴することが出来るから、会話をしたり、録音したりすることが出来る」「会話が!?」 そんな便利の良いものが魔塔で売ってあるだなんて驚きだ。いや、しかし。「こんな高級そうなものを購入して大丈夫なのですか?」 そうでもなくても薬のせいで資金が足りていないのに。 セレスティンが不安になっていると、レンデルはあることに気づく。「おい、あちらを見てみろ。やはり……アイツも、カジノにハマっている噂があるのは本当だったんだな?」「えっ?」 セレスティンは、レンデルが言った方向を見てみると、大勢の人の中にトリスタンの姿が。しかもルーレットなんか回して楽しんでいる様子だった。「噓……トリスタン様が何故!?」 トリスタンは宰相の息子の立場があるのに、こんな違法取引がある闇カジノに来ているだなんて、知れ渡ったら大事だ。 驚くセレスティンと違い、レンデルは冷静。「既に、その情報は入手している。トリスタン・オルコットは親や周りに隠れて闇ギャンブルにハマっていることは。そのせいで借金もかなりあるらしい」「借金も!?」 さらに事実が増えていく。次の宰相候補とも噂があったのに、ギャンブルだけではなく、借金まであるとは。 そうなると、かなりお金にも困っているだろうし、弱みにもなったはず。(もしかして……それで皇后様と協力して、陛下に毒を?) その可能性はなくもない。それをカトリーヌに見られて、彼女まで? トリスタンは、張り切ってポーカーゲームにチャレンジするようだ。するとレンデルが、空いている席まで行くと座った。(えっ? レンデル様!?) まさかポーカーゲームに参加までするなんて。てっきり見張っているだけかと思っていたのだが。 いくら正体を隠すためにアイ
last updateLast Updated : 2026-04-14
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第35話

「これに勝ったら、豪華な商品が欲しいものだ」 そう言いながら彼が出したのは、ロイヤルストレートフラッシュだった。 最強のカードに周りは余計にざわつく。中には拍手をする者も居た。「そ、そんなバカな!?」 トリスタンは動揺を隠せない様子だったが、レンデルはニッと勝ち誇った顔をしながらカードを一枚取って見せた。「俺も勝ちだな? 勝負というものは、いつどうなるかが分からないから面白い。さて、ここの商品は何があるのだろうか?」 レンデルはチラッと周りを見ると、1人のオーナーらしき男性がパチンと合図を送った。すると他のスタッフが奥のテーブルにかかっていた布を取った。 そこには、何カラットするダイヤの指輪やピンクダイヤモンドのネックレスなど貴重なお宝が商品として置かれていた。そして小瓶が、そこにあった。(あ、まさか……あれが陛下に使った毒薬!?) もし、あれがレンデルが言っていた毒薬だったら、大事な情報源になる。勝った人間が持ち去ったのなら、リストには残るはずだ。 だが、負けず嫌いなトリスタンは急に立ち上がった。「このまま負けを認める訳にはいかない。どうせ、まぐれだ。他のゲームの勝負で、俺の芯の実力が分かるはずだ!」 よほど悔しかったのか、再度レンデルに挑発的な態度で勝負を申し込んできた。(えっ? まだ勝負を申し込むの? レンデル様もどうする気かしら?) レンデルが意外にもカードゲームが得意なことは分かったが、他のゲームだと、どうなるのか分からない。このまま辞めさせるべきか。 そうセレスティンが思っていたら、レンデルはクスッと笑った。「ああ、いいだろう。その代わり、景品も貰うが、俺の質問に一つ答えてくれるか?」「はっ? まぁ……いいだろう。俺は絶対負けないからな」 レンデルの挑発にまんまと乗ってしまうトリスタン。このまま負けっぱなしみたいになるのが、よほど嫌なのだろう。相当な自信家だ。 そして他で対戦をすることになったのだが、レンデルの才能が新たに開花してしまった。ダーツは、ほとんど真ん中に矢が刺さってしまう。「す、凄いです」 セレスティンがパチパチと手を叩いて感動していると、レンデルは冷静に弓を的に向けて狙う。「ダーツは、騎士団でもやっているからな。訓練の一種と、気休めとして。本物の弓で獲物を狙うように集中する。そして、狙いを定めて
last updateLast Updated : 2026-04-14
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第36話

 そしてディーラーがウィールを回すことでゲームがスタートすることになったのだが、見事にレンデルが予想した番号に入ってしまった。「そ、そんなはずは……もう1回だ」「ああ、いいだろう。これもなかなか面白いな」 悔しがるトリスタンと違い、レンデルは余裕の表情で進めていく。 その後も3、4回やっていくのだが、どれもレンデルが予想した番号にボールが入ってしまう。圧倒的な差で勝ってしまった。「そ、そんなはずは……どうしてなんだ? 俺が負けるだなんて」「……さあな。運も実力のうちと言うだろう? カジノはそういうもんだ」 頭を抱えてうなだれるトリスタンは、相当ショックだろう。もともとカジノは、運を勝負をするためのギャンブルだ。勝つ時もあれば負けることもあるだろう。(でも……こんなに差がつくものなのかしら?) レンデルの勝負運は確かにいい方だろう。国との戦でも勝利に導いた救世主だ。 しかし、それでも運が良過ぎるのでは? すると、レンデルはチラッとディーラーの方を見た。そうしたらディーラーは、一瞬だがクスッと笑った。(あっ……まさか!?) セレスティンはハッとする。もしかしたらディーラーはレンデルとグルではないかと思った。 本当にそうなのかは確かめていないから分からないが、そう考えるのなら納得する。 手先が器用な部下か、知り合いが居れば、潜り込ませてやらせることも出来るだろう。ルーレットを操作することぐらいは。 セレスティンはチラッとレンデルを見る。レンデルは気づいたらしく、目が合うとニヤッと笑ってきた。それは、もう何か企んだように。 セレスティンは確信する。これは……間違いないと。 そうなると、先にウィールを回したいと言ったのもカモフラージュかもしれないと思った。 疑われる前に、相手に気を紛らわせるための戦略として。「さぁ、勝負はあったな。俺の勝ちだ。勝ったら質問に答えてくれる約束だったはずだが、覚えているか? 俺は、ある毒薬を探している。それがここにあるはずだと、聞いてな。知っていたら答えろ」 レンデルはストレートに毒薬のことを聞いた。 もう少し言い方を考えた方がと思ったが、彼は遠まわしに言うのが好きではないのかもしれない。「……それは」 言いたくない情報なのか、ごにょごにょと口を閉ざすトリスタン。「なら言い方を変える。その毒薬は
last updateLast Updated : 2026-04-14
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第37話

 そう言って剣を抜いてきた。 よく考えたらレンデルは、変装のために剣を持ってはいない。このままでは殺されてしまう。「レンデル様……このままでは」「心配するな。俺は騎士団長だ。このぐらいは、どうとでもなる」 そう言うと、レンデルは黒色のケープの男たちに向かっていく。相手の男たちも向かっていくが、レンデルは避けながら蹴り倒していく。 1人の男が倒れた時に、その相手の剣を取って反撃に出る。早くに騎士になり戦争などで戦ってこともあり、その動きは隙も無く速い。 何人かのケープの男たちはバタバタと倒れていく。 生で戦った姿を見たことがなかったが、その姿は凛々しくてカッコいいと思った。 すると1人の男が、その隙を見てセレスティンに攻撃しようとしてきた。 剣を振られそうになり、慌てて逃げるセレスティン。咄嗟だったが避けれたから助かったが。「キャアッ」 まだ追いかけて剣を向けようとするので恐怖で震え上がる。あまりの怖さで上手く走れずに転んでしまった。剣はこちらに向かって振りかざしてきた。「いやっ」 必死に目をつぶるが、痛さは感じなかった。 恐る恐る目を開けると、レンデルが剣を横にして助けてくれていた。「……レンデル……さま?」 レンデルは、すぐに反撃に出る。その男は倒すことは出来たが、違うケープの男が向かってきた。セレスティンを庇いながら戦うのはやりづらいだろう。 別でセレスティンに向かってきた男の剣がレンデルの腕をかすった。すぐに反撃に出たため倒すことは出来たが、腕には血が垂れてた。「レンデル様!? 腕に血が」「これぐらい大したことはない」「ですが……」 思ったよりも出血が酷いのか、たらたらと出ている。このままで出血多量で危ない。 オロオロするセレスティン。「それよりも早くアイツを追いかけないと……くっ」「無理をなさらないでください。こんな状態で」 深い傷だったら大変だ。(とにかく先に手当てをしないと) そう考えていると、遠くの方から騎士団たちの声が聞こえてきた。客やディーラーがだった人も一緒である。「団長。大丈夫ですか? 容疑者は捕まえておきました」 どうやらトリスタンを無事に捕まえることに成功したようだ。これで安心して治療が出来る。するとレンデルは真っ青な表情で疼くまった。「レンデル様!?」 セレスティンは慌てて彼
last updateLast Updated : 2026-04-16
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第38話

「私のために、ごめんなさい」 眠っているレンデル様を見ながら謝罪をするセレスティンだったが、どうしようもない不安と後悔が襲う。 目尻に涙が溢れて止まらず、ずっと傍で彼の手を握り締めたままだった。するとシャノンがノックをして部屋に入ってきた。「シャノン様!?」「少し休んだら? あなたも大変な思いをして、疲れているでしょう?」 優しい言葉をかけてくれるが、胸が苦しくて今は辛い。「……ですが」「あの子なら大丈夫よ。お医者様も傷が思ったよりも深くないとおっしゃったわ。それに、あなたは、まだやらないといけないことがあるんじゃない?」 シャノンはセレスティンの肩にブランケットをかけながら、そう言ってくれた。セレスティンは、ハッとする。(そうだわ……私がレンデル様の代わりにやらないと) トリスタンは、現在離宮の地下にある牢屋の中で幽閉したままの状態だ。 本来ならレンデルが騎士団の部下に指示を出しながらトリスタンに自白剤を使うなりして情報を聞き出さないといけない。 だが、レンデルが熱で寝こんでいる以上は、誰かがその代わりをやらないといけない。そうなると、今回の事件の事情を詳しく知っている自分しかいないだろう。 しかし、そんなことをした経験はないし、間近で見たこともない。「私に出来るかしら?」 今までやったことのないことに不安になった。チラッとレンデルを見ると、苦しそうに大量の汗をかいていた。 このまま見ているだけではいけない。「分かりました。案内してください」 セレスティンは、決意を固めると、近くにいたメイドの人に案内を頼んだ。 そこからは、唯一セレスティンの正体を知っているメイドと騎士が付き添ってもらい、地下室に向かった。地下室は薄暗く、長い階段の下にある。 そこには牢屋の中で、椅子に座った状態で縛られたトリスタンが居た。もう1人の騎士に状況を聞いたら、なかなか口を割らないらしい。 拷問をされたためボロボロの状態で、ぐったりしていた。「どうしますか? このままだと埒が明かないので、自白剤を使ってみては?」 騎士団の1人が自白剤を使ってみないかと言われた。この国の自白剤は効果は強めだが、効きすぎるために副作用で精神が崩壊していく。 そのため団長の指示のもとで最終手段として使うことを許されている。「そうね。このままでは先が進まないも
last updateLast Updated : 2026-04-16
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第39話

(どういうこと? ウィルモット様は合い鍵で、皇后様が毒薬の入手を頼むなんて) 仮に親子で皇帝になるために毒薬で殺すことを企んでいたとしても、カトリーヌを殺す必要があったのだろうか? 彼はカトリーヌを愛しているのに。「他には? 聖女殺しにお前も関わっているのか?」「アハハッ……なんで俺が? 聖女は俺のもんだ。だからいつも一緒に居たいから、会いに行っている。毎日朝昼晩。聖女もそう思っているはずだ。ああ、俺の女神……なのに、何で死んでしまったんだ」 今度は泣き崩れるトリスタン。騎士もこれ以上は無理だと頭を横に振った。 トリスタンは二重の依頼に手を貸したことになるが、犯行には直接関わっていない様子だろう。 しかしカトリーヌにつきまとっていたことや、違法ギャンブルをしていたことになると罪は重い。 自白剤も使ったことだし、普通の生活には戻れないだろう。次の宰相候補とも言われていたのに。(それよりも問題なのが、真犯人よね。そうなると1番怪しいのはウィルモット様か皇后様だけど。ウィルモット様はカトリーヌの部屋から毒薬が見つかった時は、何かの間違いだと言わんばかりに動揺していたわ) 不可解な点はそこだ。皇帝陛下を殺すために合い鍵を作ったとしても、実行したという証拠がない。犯行後に他の人と、すぐに合流までしている。 どこまで犯行に及んだかハッキリとしていない以上、下手に問い詰めてもこちらが不利だ。相手は皇族だ。 それにカトリーヌの部屋に毒薬を置いたことは、あの動揺からウィルモットではない可能性が高い。(そうなると皇后様の差し金? いや……でも、ウィルモット様がどうやって、あの場から離れて皆と合流が出来たか、それが分かれば話が変わる) 聞いたところによると、セレスティンがカトリーヌの遺体を見つけて、後ろから殴られてから、発見まで3、2分程度だったらしい。軽い脳震盪だった。 それに警備担当の騎士も近くに居なかったのも不自然だと考える。(あれ……? それよりも不自然なことがあるわ。どうして鍵を作る必要があったのかしら?) ただ毒を持ったことにするなら、別に鍵を作る必要性がない。少しずつ毒の効果が出てくるものだ。自然死にしたいのなら、不自然な行動は命取りだろう。 それなのに、わざわざ合い鍵を作る必要性があった? まるで、もともと誰かに罪を着せたかったように
last updateLast Updated : 2026-04-18
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第40話・聖女殺しの真犯人。

「えっ? 辞めている!?」 まさか、その日に担当だった騎士を辞めてしまったらしい。「ああ、一身上の都合でね。たしか奥さんが病になったらしくて、田舎の実家で暮らすと言っていたな」「そうそう。別に辞めずに休職すればいいのに、何だか急いでいた感じだった」 騎士たちは次々と話してくれたが、どうも怪しい。急に辞めるのもだが、事件が起きた次の日にとか不自然だ。「ほかになにか、いっていましたか?」「いや……別に。あ、でも、その陛下と聖女様事件の前の日に、担当を交代してくれって言っていたな」 騎士の1人が、、そう言ってきた。(事件の前の日に!? まさか、その騎士に犯行をさせたとか?) それもなくはない推理だろう。しかし、それでは安直な考え方だ。 セレスティンは深く考え直していると、騎士の2人はジッとこちらを見てくる。「それよりも、こんなところに何の用だ? 子供が来てもいい場所じゃないぞ」「あ、ごめんなさい。ウロウロしていたら迷っちゃって」 咄嗟に誤魔化した。あまり動くと怪しまれるところかバレてしまう。 セレスティンは慌てて、その場から離れようとするが、騎士は止めようとする。「あ。待て。そこまで送っていくから」「いいです。大丈夫です」 とりあえず、その場から離れようと走る。しかし、その時だった。「うわっ!?」と叫び声が聞こえてきた。 セレスティンは、驚いて振り返ると、さっきまで聞いていた騎士二人が床に倒れていた。そこに立っていたのは。(あれは、皇后様の側近・テリー卿!?) 彼が、何故2人の部下を殺したのだろうか。 しかしテリーは、セレスティンをギロッと睨んできた。手には血で塗られた剣が握られている。 セレスティンは、ハッとする。このままでは殺されてしまう。 皇后の側近である彼は、主人の命令は絶対だ。皇后はセレスティンのことを疑っているようで、探りをいれてきた危険人物だ。 今回の事件のことで真相に気づいたとなれば黙っていないはず。 セレスティンは必死に走って逃げた。テリーは眉間にシワを寄せて、とにかく凄い勢いで追いかけてきた。 走りは慣れておらず段々と息が荒くなり、みぞおちが苦しくなる。(何処かに隠れないと……このままだと捕まってしまうわ) 必死になって逃げる一方で、逃げ道を考える。すると、曲がり角のところに物置きがあるのを発
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