『約束の日を楽しみにしています』そのメッセージを見てから。唯はなかなか眠れなかった。何度もスマホを手に取る。そして。そのたびに同じ文章を読んでしまう。自分でも呆れる。ただの約束だ。仕事ではない。それだけのこと。そう自分へ言い聞かせる。けれど。胸は少しも落ち着かなかった。翌朝。目覚めて最初に考えたのも高倉のことだった。唯は枕へ顔を埋める。重症かもしれない。そう思った。それから数日。不思議なことに。高倉とのやり取りは少し減った。連絡がなくなったわけではない。記事の件についての報告もある。仕事の連絡もある。けれど。以前のような頻度ではなかった。唯は最初、それで良かったと思った。少し冷静になれる気がしたからだ。ところが。二日目の夜には気づいてしまう。スマホを見る回数が増えている。通知が鳴るたび。無意識に期待してしまう。そして。高倉ではないとわかると。少しだけがっかりしている。「だめだ……」思わず呟く。自分でもわかっていた。約束の日を意識しすぎている。そんなある日。事務所へ一本の電話が入った。唯は受話器を取る。「はい」聞き慣れた声が聞こえた。高倉だった。唯の心臓が跳ねる。「どうしたんですか?」思わず聞く。普段ならメッセージで済むことが多い。電話は珍しかった。『少し確認したいことがありまして』やはり仕事の話だった。
Last Updated : 2026-06-14 Read more