一方の三久は、突然こんなニュースが世に出るとは夢にも思っていなかった。洲人は報道を知るなり、すぐさまメッセージを送ってきた。【くそっ、どこかの馬鹿が俺を陥れようとしてる!こんな命知らずな真似をしたやつが誰か分かったら、俺が絶対にただじゃおかない!】百栄グループと九洲グループという二大巨頭の提携は、業界の他の者たちにとっては決して歓迎できることではなかった。強者同士が手を組めば、他の者たちはただ震え上がり、二社の指の隙間からわずかに漏れるおこぼれを拾って生き延びるしかなくなるからだ。だが、こんな下劣なゴシップという手を使って提携を潰そうとするような人間は、よほど短絡的な考えの持ち主だと言わざるを得ない。所詮、百栄や九洲の企業としての根幹を揺るがすほどの致命傷にはならず、それどころか、後で待っているのは、相手が到底受け止めきれないほどの二大企業からの凄まじい反撃に決まっているのだから。三久は業界内で可能性のありそうな敵対企業や相手を一通り洗い出してみたが、これほど無謀な真似をする者の見当はまったくつかなかった。だが今は、犯人探しをしている場合ではなかった。神崎家の人間が乗り込んできたのは、ニュースが大々的に出てからわずか三時間後のことだった。ニュースによれば、洲人と三久はプロジェクトの件で泥沼の関係に陥り、長らく秘密裏に交際していたという。三久が百栄に何度も辞職を申し出ていたことまで、確たる証拠として引き合いに出されていた。実は彼女が玉の輿を狙ってのことで、洲人が彼女を辞めさせなかったのは、まだ神崎家に彼女の卑しい出自を受け入れさせられていなかったからだ、というもっともらしい筋書きだった。もし三久自身が当事者でなかったら、この妙に理路整然としたでたらめを、彼女自身がうっかり信じてしまいそうなほどの出来の良さだった。洲人の母親・神崎総子(かんざき ふさこ)が、この破廉恥な話を信じ込んで怒り心頭で乗り込んでくるのは、完全に予想の範囲内だった。「正直に言いなさい。いったいいくら積めば、あなたはうちの息子から離れてくれるの?」神崎夫人の言葉は、三久の予想の外にあった。結局、名家の奥様というのは、誰も彼もみんな同じなのね。総子も、あの摩美とまったく同じで、金で厄介者を追い払おうとする点は何一つ変わらなかった。
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