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第128話:西門の外へ

مؤلف: 大正
last update تاريخ النشر: 2026-08-18 07:00:58

 酒を買ったことを思い出しながら、西門方面へ向かう。ここから南に抜けていく道は治安が悪いのだったな。さすがに武器を持ってなきゃ即座に襲われる、というほどではないだろうが、若干のすえた匂いと華やかな香りが重なり、何ともいえない奇妙な雰囲気を残す。

 歓楽街なんだろうな、という感想がまず出た。良くも悪くも、治安がそれなりの場所にある居酒屋兼食事処は別として、表向きに扱えない酒とか薬とか、そういうものは存在するには存在するんだろう。そして、それを取り扱う専門の業者……この際、犯罪者と断定してもいい。

 そういう人たちもこの奥に住まいをもって、人知れずかそこそこ知れてか、存在するはずだ。マフィア的なものもあるかもしれない。もしかしたら闇マヨの製造なんかも行われているかもしれない。

 闇マヨ……なんか黒ゴマとか混ざってそうで健康に良さそうだな。ゴママヨという調味料も存在するのだし、鍋のベースに仕込んでしまっても美味しい一品だ。ゴマがあればの話だが、手に入る機会があれば焙煎してマヨと混ぜ込んで、

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  • 有給休暇は異世界で   第128話:西門の外へ

     酒を買ったことを思い出しながら、西門方面へ向かう。ここから南に抜けていく道は治安が悪いのだったな。さすがに武器を持ってなきゃ即座に襲われる、というほどではないだろうが、若干のすえた匂いと華やかな香りが重なり、何ともいえない奇妙な雰囲気を残す。 歓楽街なんだろうな、という感想がまず出た。良くも悪くも、治安がそれなりの場所にある居酒屋兼食事処は別として、表向きに扱えない酒とか薬とか、そういうものは存在するには存在するんだろう。そして、それを取り扱う専門の業者……この際、犯罪者と断定してもいい。 そういう人たちもこの奥に住まいをもって、人知れずかそこそこ知れてか、存在するはずだ。マフィア的なものもあるかもしれない。もしかしたら闇マヨの製造なんかも行われているかもしれない。 闇マヨ……なんか黒ゴマとか混ざってそうで健康に良さそうだな。ゴママヨという調味料も存在するのだし、鍋のベースに仕込んでしまっても美味しい一品だ。ゴマがあればの話だが、手に入る機会があれば焙煎してマヨと混ぜ込んで、セルフィと食べよう。きっと喜ぶはずだ。 そのまま南側に注意をむけつつ、東西南北に走るわかりやすい道をまっすぐ西へ。西門向けの道は、他の道に比べてちょっと広い。その代わりに、北門と東門に向かう道のほうが綺麗に均されている。 おそらく、西門は石材を運ぶ分だけのルートが広くとられていて、北方面と東方面は役所がある都合もあるのだろうが、綺麗な街並みというのを意識されているかのようだ。 それだけの回数重いものを移動させてきたかのように、石畳でできている地面の凹凸や傷み方も、他の門へつながる道に比べると、やはり激しい。西門から石を切り出し、それぞれの方面へ運び出し、そして建材や舗装路として使うのが常となっているのだろう。 それだけ、西門の先にある採石場は派手にやっている可能性が高い。それだけ大規模な採石場なら、きっと粉も派手に舞い散っているだろうし、採掘する際に出る砂も売るほどあるだろう。実際、売っている可能性はあるな。 もしケイ素を多く含む質のいい砂が産出するなら、それをガラスを取り扱うビランザの町へ販売する道もある

  • 有給休暇は異世界で   第127話:ガラス職人がいない理由

     引き続き街の周辺について書物を調べる。「なあセルフィ、今日は何年の何月何日だ? 正確でなくてもいいので日付を知りたい」「今日は728年の4の月の23日ですね。物を知らないご主人様についでで言うと、一月は30日で十日ごとに区切り日と言います。それと、だいたい1の月から3の月が寒い時期です」「なるほど、つまり二日後にはマヨの代金が支払われるということだな。ありがとう」 明後日の収入が楽しみになったのはさておき、今は春先っていうことなのかな。道理で日ごろ温かく過ごしやすいわけだ。一応この地域で、というかこの世界で、一年を過ごすことはできるってことだな。もしかしたら雨季と乾季があって春夏秋冬ではないかもしれないが、それはまた別の話だ。 さて、採石場の話だが、この街の壁を適当に焼いてガラス質の石であるかどうかを確認するのは怒られるので、地面から遠ざけてあまり熱が伝導しないような環境を作って、その中で石を焼いて、ガラス化するかどうかを確認する作業が先だな。 もし石がガラス加工に向かないような石だった場合は諦めるしかないが、それでも砕いてセメントに混ぜ込むことでコンクリートの材料にはできる。そこを含めて修正案として話を出し直すのはありだろう。 鍛冶屋ならるつぼもあるだろうし、ギド親方に頼んだら貸してくれるかもしれない。この地方でもガラス産業を勃興させるための第一歩になる。そんな可能性もはらんでいるが、陶器職人のギルドからは仕事を奪われると非難される可能性もあるか。 ともかく、ここでガラス産業が育たないのは何かしらの理由あってのはずなのだから、それをまず探しに行くか。もしかしたらガラス質、つまりケイ素を含まない石の材質なのかもしれないしな。地球上ではそういう石は珍しい部類に入るが、こっちでも同じとは限らない。 ガラス産業が発展しない他の理由があるかもしれないし、もしかしたら鍛冶職人が優先的に炭などの燃料を優先して使うために存在しない、という可能性もあるのだから、複合的要因でガラス工房が存在しないという話にもなるだろう。 後は……っと、原因らしき文献を見つけたぞ。ガラス職人は他の町に集中して

  • 有給休暇は異世界で   第126話:午後の暇つぶし

     午前中を実験と洗濯に使って、お昼ご飯の前に残りの石鹸で手をピカピカに洗って、おそらく半径100メートルの中では一番きれいな生物であると言っても過言ではないぐらいにすると、綺麗な手のまま昼食を取り始める。いつもの白パンセットだが、昼の白パンセットはきちんと肉がつくのでお腹にたまる。「さて、午後からはどうするかな……洗濯物を完全に乾かしたら、のんびり昼寝でもするか」「たまにはいいですねえ。というか、まじめに休んでくれるのは初めてなんじゃないですか? 」「そうかもな。今日ほど金にも仕事にも関わらないのは珍しい。まあ、休みでこっちに来てるんだからちゃんと休めってことなんだろう。今日はしっかりとさぼるぞ……さぼれるかな」 今までひたすら走ってきたようなものだからな。突然止まって休んで、心臓に逆に負担がかかってしまったりはしないだろうか。たった半日のことだが、本当に暇つぶしができるかどうか不安だな。「ご主人様は止まると死んでしまう生き物なのですか? 」 セルフィがとんでもないことを言い出すが、割とそんな感じかもしれない。でも、24時間働いてないとダメというわけでもないので、ある程度は休んだりしているし、こっちに来てからは夜の間はすぐに寝るようになった。 夜明けとともに起き、日が暮れると共に寝る、という現代人ではちょっとあり得ない生活を続けてきているところなのだから、実際は体への負荷は軽くなっているはずなんだがな。「そんなことはないと思うぞ。実際、向こうで生活してた頃は今よりももっと遅くまで働いていたし、それに比べれば今の生活は向こうよりもゆっくりしていると言えなくもない。そうだな……午後からはもっと町のことが知りたいな。このボコマズの街に関する文献や周辺の様子がわかるような本があればそれを探しに行くか。冒険者ギルド以外にそういう本や知識が置いてあるところはあるんだろうか」「それも面白そうですね。もしかしたら何か新しい発見や行ったことのない場所を散歩するのもいいかもしれません」 それに、本当にこの街の近くでガラス工芸ができないのか、

  • 有給休暇は異世界で   第125話:洗濯その後で

     役所での用事を済ませ、銀の卵亭に帰ってくる。今日は本当にお休みを取っている感じがしてなんだかいいな。たまには休みも悪くない……っと、そういえばずっと休みを取ってこっちに来ているんだったな。そういう意味では休みらしい休みは何度目だろうか。 もしかしたら初めてなんじゃないか? 休みだと言いつつ何かしら金稼ぎに走っていたことを考えると、俺は初めて休みを取っているのかもしれないな。 なんだかんだ勝ち取った休みは貴重だ。しっかり休んで明日からの仕事に備えて……いや、ちゃんと休むか。セルフィも今頃石鹸のついた鍋から石鹸をこすり取って、服を洗っているはずだ。乾かして干して、ちゃんと効果があったのかどうかも確認しなきゃいけないしな。 これは昼ご飯は銀の卵亭で取ることになりそうだ。セルフィが楽しそうに石鹸で遊んでいるだろう光景を瞼の裏に想像しながら銀の卵亭に帰ると、大体予想通りの光景が目に入ってきた。 それほど泡立ちはしてないものの、白い泡に包まれた、綿のパンツと普段は血まみれにしている服をあわあわしているセルフィの姿を見れた。 鍋に付着した余りだからどれだけでも使えるとはいえ、ちょっと泡立てすぎな気もするが、しっかりと洗濯板で洗いながら楽しそうに血の汚れを落としている。「順調か? 」「おかえりなさい。順調ですよ。綺麗になってますよ、ほら」 まず自分の服で試したらしいが、今朝までは返り血で少し汚れていた綿の帽子と冒険活動用の服が、綺麗に汚れが落とされていた。光り輝く……というほどまでではないが、綺麗に落ちていると納得できるぐらいに綺麗になっていた。 本当にきれいにすすぎが出来ているかどうか確認するために水で洗って確かめるも、ひたすら石鹸を使ってる割にきちんと泡を落とし、石鹸も綺麗に落とされていた。「お、ちゃんとすすいである。えらい」「戦ってる間に泡だらけになっても困りますからね。ちゃんと必要な分しか石鹸は使っていません」 たしかに。戦闘が始まって汗をかき始めたら汗で石鹸が泡立っても困るし、それが原因で肌荒

  • 有給休暇は異世界で   第124話:上水道建設に関する意見書

     部屋に戻って、買ってきた紙に書く内容をまず考える。セルフィは要らなくなった鍋をこすって泡立ちを確認して、「せっかく泡立つので、これを利用して服を洗ってきます! 」と、井戸のほうへ行った。 きっと、鍋をこすっては泡を洗濯物に移して洗濯板で綺麗に洗濯している最中なんだろう。俺の着替えも持って行ったので、ついでに両方洗うということらしい。まあ、任せよう。鍋も綺麗になるし、後片付けが一つ楽になった。鍋はまた別の機会に何かで使うこともあるだろうからそのままアイテムボックスにしまっておくか。 さて、俺の頭の中の方法を達成するには、いくつか確認しなければいけないことがある。この近くに火山があった形跡や、そういう地層が見当たるかどうか、という点だ。石灰石の層が存在しなければコンクリートはおろか、モルタルもセメントも作ることはできない。 石灰石があればセメントを作るのは比較的簡単であると言える。が、とりあえず街の建物の様子を見るあたり、石材同士の接着剤として使われている形跡はあるので、セメントに関しては問題はないと言えるだろう。問題は量かな、それとも質かな。 とりあえず、モルタルにしろコンクリートにしろ、防水仕様にする方法はいくらかあるのでその方法からまずは記していくことが必要か。 耐水性があり、自己修復機能を持つコンクリートは特殊な火山灰と石灰石の混合で得られるから……まず、その特殊な火山灰というのが存在するかどうかから調べないといけないな。 調べ方は……水酸化ナトリウムに溶かせばいいはずだが、水酸化ナトリウムを手に入れる方法がないし、そもそもこの方法で得られる火山灰は石英質を持つはずだから、ガラスを作り上げられる砂でもあるはずだ。だからこの近くでは産出しない可能性が高いな。 だとすると、ローマンコンクリートの再現は非常に難しいか。そもそも石灰石があるだけでも儲けものなのだから、それ以上の贅沢は言わないのがいいな。ここは普通のコンクリートで作って数十年たって劣化するのは折り込み済みで建設してもらうしかなさそうだ。 もし、地面を掘ってガラス質の地面が掘り起こされるようならその限りではないが、どう

  • 有給休暇は異世界で   第123話:ド定番、石鹸を作ろう

     メリーさんにちょっと庭を借りるのと、火を使うこと、それから危ない薬品を使うのであまり近寄らないようにできるかを聞いて、了承を得てから早速石鹸づくりを始める。家主の了解を得てから仕事を始めるのは基本だな。 まず、ギド親方始め色んな工房からもらってきた灰を水に混ぜ込んでよくぐるぐるとかき混ぜて、しばらくした後指先で軽く触れてみる。ヌルっとしていたら成功だ。その後、灰を布で濾して灰汁にする。 本来なら手袋とマスク、ゴーグルあたりが必須の工程だが、この時代の技術水準でそれに近いものは用意できないので、せめて口元にマスク代わりのあて布をしてそれをマスク代わりにしておく。 手袋はゴムみたいに完全に密封できるタイプじゃない限りはかえって手荒れを加速させるし、手に成分が残ったら清潔魔法と水魔法で洗い流せるのでそれで代用していこう。 次に、買ってきた油を軽く熱し、生ぬるくする。人肌から少し熱めぐらいにすると、そこに灰汁を投入。そのままの温度を維持しながらひたすら混ぜ合わせる。混ぜ合わせる分量さえ間違えてなければ、温度を調節しながら混ぜてやることで石鹸が徐々に硬くなってくるので、そこで塩をぶち込む。 塩を入れることで塩析という現象が起きる。これは石鹸よりも塩のほうが水分子を引き付けるため、その分だけ石鹸成分は脱水される……という感じの現象だ。これで更に石鹸が固まりやすくなる。 これ以上の固まりやすさは石鹸作りに使う油が動物性であるか、植物性であるか……というところで大きく変わってくる。今回はヤシの実っぽい物から作られた油を使用した。おそらくボア肉の油が一番安く手に入る動物性の油だろうが、それを入手するルートがまだ確保できてないため今回は断念する。 油が固まってきたところで、ビッグラットスレイヤーの表皮を削って絞った汁を追加し、香りづけにする。これで匂いの問題は解決できるはずだ。本来ならオイルベースにして油化されたものを使ったほうがいいのは確かだろうが、そこまでの精油技術は今のところない。 そこまで作るにはまず精油蒸留器や圧搾機から作らなければいけなくなり、本末転倒というか本業から行き先が離れてしま

  • 有給休暇は異世界で   第17話:剣聖だった

     今日は東門から出るらしい。東門から出るほうが草むらに近く、また薬草の採取場からは離れているうえにこちらはモンスターが出やすい方向だということらしい。東のほうに行けば行くほどモンスターも強く、ゴブリンの巣なんかもできやすいとのことで、戦闘を行う冒険者は大体東門から出ていくらしい。「さて、では行きますよお二方」 イアンちゃんが先頭に立って歩みを進める。「はい、イアン先生」「なんですかタカナシさん」「このあたりには何が出るんですか? 」「このあたりにはスライム、ホーンラビット、ミニボアの三種類が出

  • 有給休暇は異世界で   第16話:冒険準備

    「とりあえず、冒険者として恥ずかしくない格好はしないといけないな……着たままの服一着だけでは洗濯もできないだろうし、サイバルさんのところへ行くか。服は……俺も一着しか持ってないけど、セルフィは女の子だし、洗濯して乾かしてる間の服も必要だろう。よし、まずは服、その次に装備、それが終わったら……時間があればお金を稼ぎに行こう」「はい、頑張ります」「とりあえず武器は……これを持っててもらうか」 アイテムボックスからショートソードを取り出

  • 有給休暇は異世界で   第15話:仕掛け人ここでネタ晴らし

     食事を終えた後、宿の部屋に戻る。メリーさんにはちゃんと今日から二人になるけど追加料金が必要かどうかを確認しておく。 どうやら一部屋いくらの計算らしく、よほどうるさくしたり人数を詰め込んだりしない限りは人数としてカウントしないらしい。それにセルフィはまだ子供でもあるし、子供で一人にカウントするのは問題だ、ということのようだ。ここはメリーさんの温情に感謝だな。 部屋に戻り、まだ何もない部屋に移動すると、さっそくセルフィと正面に向かって話し始める。こっちは椅子に座って、セルフィはベッドに腰かけて、足をブランブランさせながらこっちに向いて話しかけ始める。

  • 有給休暇は異世界で   第14話:価格交渉

     話し合いが終わり、さっきまでいた店員を呼びに奥へ顔を出す。「すまない、話し合いが終わった。この子を買い取ることにしたい。いくらだ」「そうですか。お決めになりましたか。この子は……正直なところ性格も暗く、まだ幼いのでこれから育つ分も考えると……金貨4枚というところでしょうかね」 指を4本、差し出してきた。「ちなみになんだけど、人が一年間生活するのにいくらぐらいかかる? 」 小声でイアンちゃんに確認する。「そうですね、家がある前提だと金貨2

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