All Chapters of 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Chapter 31 - Chapter 40

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廃村復興0円生活-後篇-

「そりゃすげぇな」 と、ジャスは普通に驚いてくれたわけだが、相変わらずジャリが「なんでお前がそんなこと知ってるんだよ」 とか突っ込んでくる。  「いやぁじつは前世が……」などと言っても詮なきことなので適当にはぐらかしつつルダーを見る。「白炭は無理だぞ」 仕方ないよね。「まずは黒炭だけでいい」 と、答えとく。「まずは……か。まぁ、いずれ試してみるけど今は炭にさえなりゃいいんだな?」「よろしく」 二人の間では意思の疎通ができている。  ジャリとジャスにはちょっと不満かもしれないけど、余計な説明はしないでおきたいから目をつむる。  向こうもとりあえずしばらくは不満に目をつむってるだろう。「窯はどこに作ればいいんだ?」「用水路周りが粘土質の土なんでその辺で……あぁ、水車小屋のそばに僕の小屋が建ってるからその近くにしようか?」「判った」「で、明後日以降も採集と伐採で五日間過ごそうと思う」「どうして?」 クレタの質問だ。「木材は早急に家を作る必要があるから。山菜は今時期しか取れないからだよ」 ここらあたりはヘレンも心得ているようでその心の声が表情に漏れている。「みんなには大変だろうけど夜も仕事をしてもらいたいんだよね」「どんな?」「カルホはできるかどうか知らないけど、縄をなったり袋や籠を編んだりして欲しいのだよ」「縄ならできるよ」「そりゃあいい」「俺は苦手だ。うまくできないぞ」 胸を張って言えるこっちゃないぞ、ジャリ。「じゃあ、私たちは明日は午前中に道具の材料になる植物の採集。午後は山菜採りということにしましょうね」「ヘレンさんありがとうございます」「いえ、大きな籠を作ればなんども往復しなくて済みますから」 と、今日使った郵便カバンみたいな入れ物を少し持ち上げてみせる。  今日
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新しい仕事

 村長生活一週間。  伐採した木は百本を超えた。  僕が冬の間に切ってきた木と合わせて百二十本はある。  何本かはすでに炭と炭焼きの燃料に使っている。  日本では成長の止まる冬の間に木を切るのを良しとしたとか。  芽吹き始めたこの春に切ったのはまぁ仕方ないとはいえ残念だ。  本来なら最低でも一年は寝かせるべきなんだろうけど、そんなことも言ってられないのでこれをこのまま使う。 …………。 そういえば、僕は日本家屋をイメージしていたし、実際暮らしていた村は木造家屋ばかりだったけど、レンガの家の方がいい気がしてきたぞ?「リリム」「何?」「野盗とか、また襲ってくると思うか?」「どうかしらね? 村の規模によるんじゃない?」 なるほど、襲っておいしい思いができなきゃ意味ないもんな。  しばらくは来ないか……。 僕は、日課になっている朝会で、今日からの仕事の役割分担を発表する。  朝会を開くあたり、前世のサラリーマン時代にだいぶ引きずられてるよなぁ……。  炭焼き第一弾は窯を冷ましている段階で今日からルダーもみんなと活動できる。「今日から畑の作業をします」「それりゃいい」「遅いくらいだからな」「だろうね」「家はどうするんだ?」「モノには手順ってのがあるからさ、ジャリ」 ジャリって、なんでこう反抗的なんだ?  まるっきり不良高校生みたいだぞ。「クレタとカルホとアニーにはレンガを作ってもらう」「レンガ?」 ん?  レンガ知らないのか?「ルンカーのこと?」 ああ、名詞が違ってたな。  最近思考の時は前世記憶を元に考えてるから前世の単語で考えてることが多かった。「そうそう、ルンカー。作り方知ってる?」「日干しルンカーなら作れる」「日干しか……」 この辺は割とよく雨が降る。
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天使か悪魔か

 詳しく説明を求めると、ルンカーで家を作れるのは法律で決められた一定額の税を納めた者だけということになっているらしい。  まじか……。  いや、そんなもん無視だ無視。  そもそも、ここはすでに棄てられた廃村だから王国の法律なんて知るか。  戦国時代に突入した世界で自衛の手段を手放すなんて自殺行為だ。「ま・オレも畑仕事よりモノ作ってる方がいいからそれで行こう」 いいんかい。  いや、こっちもありがたいんだけど。「どれだけ作ればいいんだ?」「とりあえず十日間で作れるだけ」「つまり十日間は畑仕事とルンカー作りで過ごすってことだな?」「そういうこと。じゃ、始めようか」「鋤鍬は揃ってるのか?」「うーん……あるっちゃある」 ちゃんと使えるかどうかは疑わしいけどね。「使ってみなきゃ使えるかどうか判らないもんなのかい?」「ええ、まぁ……」「まぁ、ないよりマシさね」 ヘレンさんはなんのかんのでたくましい。「では、今日もよろしくお願いします」「しまーす」 畑仕事に向かう道々、ルダーが僕と並んで歩く。  何か相談したいことがあるのか? 聞きたいことがあるのか?「何か考えていることがあるのか?」「え?」「いや、炭だレンガだってこの世界で馴染みのないものを矢継ぎ早に作るなんて、考えがあってのことかと思ってな」「うーん……リリムが言うには、勇者以外の転生者ってのは崩れた世界のバランスを調整するために招き入れられているんだってさ。で、その崩れたバランスってのは僕たちの境遇や商隊長さんの話などからみて王国の継承問題で内戦状態になってることだと思うんだ」「だろうな」「ところでリリス。転生者はみんな君の声も聞こえるの?」「どうかな?」「聞こえるな」「あら、そうなのね」「リリムによると転生者の使命は生き残ることなんだってさ」
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この先生きのこるために

 畑に来て最初にルダーが行ったのは土を舐める事。  いや、ドラマなんかではよく行われる行動だったりするけど、実際どうなの?  いやいや、現世の父ちゃんもやってたなぁと思い出せばどうという事はないか。「うん、なかなかいい土が出来てる」「全部耕すのか?」 ジャスがルダーに聞いてくる。  この村は元々三十人ほどの集落だった。  現在の村人は八人。  実に三分の一以下で、しかも畑を耕すのはヘレンさんを含めて四人だけ。「いや、物理的に無理だし、そもそも買い付けた種がそんなにない。そうだな、四分の一ってところにしよう」「残りは休耕?」「それもどうかしら」「どう考えても手が足りない。木が生えない程度に手を入れておくことにしよう」 話し合っていても解決手段は出てこないし、仕方ないのでルダーの提案通りに耕すことにする。  黙々と鋤鍬で畑を耕す。  今年蒔くのはフレイラとポモイト。  どちらも主食用の穀物だ。  フレイラは通常秋にまくのだけれど、去年の秋まきフレイラは野党に荒らされていてぱっと見で絶望的だったから、買い付けた半分を今から蒔こうってことになってる。  収穫した分はそのほとんどを種もみにすると宣言された。  ポモイトの方も今年の分は三分の一が来年の種用だとルダーは言っている。  当分穀物は無理だな。 畑を耕しながら僕は、今後のトゥドゥリストを考える。  喫緊は畑と家づくり。  それと並行して食料確保が最重要だ。  とはいえいつまでも古代人生活を続けるわけにいかない。  依然として田舎暮らしで情報が少ないからなんともいえないんだけど、前世の時代区分に照らしてみればこの国は少なくとも中世以降の文明水準には達している。  この先生き残るために出来れば近世レベルの文明水準を手に入れたい。  野望的には小さな村だけど独立自治を求めたい。  なんてぐるぐると考えを巡らせた結果、とりあえず短期目標は村を村として機能するまでに整備することに決め
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鍋を囲んで親睦を深めるのこと

 まずは夏までにみんなの住む家を建て、今の先史時代生活から古代文明水準に戻ることを目標にしよう。  そして冬までに野盗に襲われる前の生活レベルをとりもろす。  中期目標は前世的には三年計画か五年計画のことだった。  こっちはある程度腹案は考えたけど、みんなと話し合う必要がある。  短期目標は自分自身に直接影響があることを扱う場合が多いので考えるまでもないことが多いけど、中長期目標は自分の生活とは一見直接関わりのないことに思えるものが多いから理解できても納得できない場合がある。  前世ではよく上司の無理難題で進めるプロジェクトを部下に納得させるのに手を焼いた。 一日の終わりもミーティング。  こっちは晩御飯を食べながら今日あった出来事などを話すことにしている。  人間関係を円滑にするには大事なことだと前世知識が訴えてる。  確かに前世でも「昭和くさい」と部下に言われていたけれど、プロジェクトを滞りなく進行させるには情報収拾は大事だ。  畑の方は概ね順調。  今日のルンカー作りは成型作業だけをしたそうだ。  農作業の帰りに立ち寄って見た感じだと一週間続けても家一軒分になるか判らない感じだった。  手が足りないのは百も承知だったけど、短期目標達成も危ない感じだな。「種まきさえ終わってしまえば、オレたちもルンカー作りを手伝えるから大丈夫でしょ」「うん、ジャスにはルンカー作りを手伝ってもらうけど、全員がルンカー作りってわけにもいかないからどうだろう?」「他に何をやるつもりなんだ?」「食料確保」「ああ……」 実際肉体労働者が八人で鍋を囲んで仲良く食べると瞬く間に食料がなくなっていく。「他にも作らなきゃいけないものがいっぱいあるし、どう役割を振り分けようかと考えているんだ」
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田舎じゃ文明の進化は感じにくい

「ジャンは何を作ろうとしているの?」 カルホが疲れからか満腹からかは判らないけれど眠そうに目をこすりながら聞いてくる。「最初のルンカーで焼き窯を、その焼き窯でより強度の高いルンカーや食器なんかを作る」「食器?」 今世の村では食器は木製だった。  今使っている食器もみんなが持ち寄った木製の皿だ。  匙も木製。  もっとも、僕のは冬の間に自分で作った不恰好なものだけど。  これは推測だけれども陶磁器が生まれていないか普及していない文化水準であるということだ。  作れるなら商売になる。「俺は作れないぞ」 …………。「期待してたのに」「無茶を言うな」 確かに磁器作りには高い技術が必要で、日本では安土桃山時代、朝鮮に出兵した際に職人を連れてくるまで作ることができなかったと言われている。  でも、土器なら今すぐにでも作れる。  粘土をそこらへんで野焼きしても出来るんだから。  実際、僕も前世の小学校の体験授業で土器は作った。  じゃあ陶器ならどうだろう?  と、思ったんだ。  まぁ、この辺は素人考えなんだけど。「土の器なんて使えないだろう」 と、ジャリがいつものように反論してくるところを見るとこの地域にも土器は存在しているようだ。  そりゃそうか、前世世界では先史時代の土器が発掘されている。  日本でも一万年以上前から使われていたことが判っている。  この辺はすでに鉄器文明によって鍋釜は金属器に置き換わっているけれど、食器が木製なのは一考の余地がある。  でも、今のところ試行錯誤をしている余裕はないみたいだからひとまず諦めるしかないな。「ルンカーはどこで焼けばいい?」 考えてなかったぞ。「炭ができているはずだ。入れ替わりであの炭焼き窯を使えばいいさ」 名案だ。「ついでに炭でルンカーを試し焼きしてみたらどうだ?」 ルダー冴えてる。「…………そう
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窯の入れ替え

 一人で出来る事はたかが知れている。  僕が冬の間にやっていたことといえば、食うことと寝ることとリリムを相手に冬の夜長に時間を潰すことだけだったと言っていい。  まさに生きるのに精一杯ってやつだ。  協力者が増えると出来る事が増える。  たった七人増えただけで出来る事は飛躍的に増えた。  けれど人間にできる作業量ってのはやっぱりたかが知れていて、やりたい事はたくさんあるのに時間がない。  そこで大切になるのが作業に優先順位をつけて時間を管理する事なわけだ。 二日目の農作業は午前中に切り上げて、午後からは炭焼きの窯から炭を出して空いた窯にルンカーを並べて焼く作業にあてる。「これが炭ってやつか」 ジャリが炭を運びながら興味深そうににおいを嗅いだりしている。  この辺りの住民だとせいぜいが木材が燃え残った消し炭くらいしか知らないだろう。「水に濡らしちまうと、火付も悪くなるから雨露しのげる場所にしまわなきゃならないぞ」 とりあえずの保管場所は僕の住む小屋。  今回の分は入り切るだろう。  他に保管場所がないから仕方ないけど、自分の部屋が自分のもの以外に占領されるのはちょっとモヤっとする。  まあ、炭には脱臭効果があって最近こもってきた臭い対策になるかと期待するのも気休め程度。  ほんと、寝るスペースしか残りそうにない。  地震なんか来て炭が崩れてきたら間違いなく下敷きだな。 …………。 そういえば、現世で地震にあったことがない。 窯から炭を出した後は役割分担だ。  ルダーとジャリでルンカーを窯の中に積み、残りは炭を小屋に運ぶ。  小屋の中で積むのは僕とヘレン。  この作業が夕暮れ時までかかって、ヘレンとクレタがそれぞれに一抱えの炭を持って村に晩飯作りに戻ってもルンカーの方はまだ終わらない。  窯の中は狭いから手伝いたくても邪魔になるだけと、手持ち無沙汰の僕たちが水車小屋での片付けなんかをしていると、低く長く森の奥から音が聞こえてきた。
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まさかの前世は現世より時間差があった

「な・何?」 カルホがプルプルと小刻みに震えながらジャスにしがみつく。「森の主だよ」 と、僕は答える。  時々ああやって鳴くのだ。  僕も一人暮らしになった頃はビクビクものだったけれど、主は絶対森から出てこない。  雑木林という人間のテリトリーにも出てこない。  主は領域さえ侵さなければこちらに危害を加えないんだ。 …………。 あの鳴き声は一種の危害かな? 日が完全に沈む頃、ようやくルンカーを積み終えて火入れ。  小屋から種火を持ってきて炭に焚きつけたらようやく晩飯だ。  今日は夜通し火を焚く予定だそうで、明日の農作業が待っているルダーと僕が、ジャリが食べ終わるまで火の番をすることになった。「明日は一日中農作業ができそうだね」 小屋の囲炉裏で沸かした野草茶を手渡し、ルダーに話しかける。「やりたい事はいろいろあるのだろう?」「まぁね。でも、作物は時期を逃すと育たないじゃない?」「フレイラは全て秋に回してもいいんだぞ?」「せっかく二期作できるのにしないのはもったいないよ。食糧生産はなるべく早く軌道に乗せないと」「なんだろうな? 一見堅実なようで、反面どこかに焦りがあるようだぞ」 なんか、さすが年の功って感じだなぁ……。「ルダーって前世いくつまで生きてたの?」「俺か? 還暦は過ぎてたな」 あ・やっぱり。「そういうジャンはいくつまで生きてた」「四十半ば」「そりゃ、なかなか」 いやいや、含みのある笑いすんなよ。「前世に心残りはあったの?」「心残りがあったとすれば、あと半年足らずで新世紀ってところで亡くなったことかな」 なんですと!?
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失われた○○年とはまだ呼ばれていなかった

「その言い方だと亡くなったのは1999年?」「2000年だよ」 そうか、2001年から二十一世紀か。  ……という事は、戦中派?  そりゃ、百の姓を地でいけるワケだ。「ジャンは時代が違うのか?」「ああ、僕は2017年だった」 てなことでそれからはジャリが戻ってくるまでの間ずっと「二十一世紀がどんな時代だったのか」を根掘り葉掘り聞かれたワケだけど……そうよね、すっかり暗くなっちゃうよね。  ルダーの前世はまだバブルの名残が残ってて世紀をまたげば不況も終わると思ってたかもしれないもんな。  僕もなんとなくそう思ってたもん。 ジャリがクレタとカルホを連れて戻ってきたので僕たちは村に戻り、遅い晩飯を食べる。  ヘレンは、炭の火力に感動したらしく、いかに早く湯が沸いたかとか、「ホラ、まだ火が残ってる」なんてことを僕たちに話し続けた。  僕らから見ればまだまだ質の悪い炭だ。  窯で炭をくべていた時に随分と煙に燻されて大変だったからルダーも納得がいかなかったらしくすぐにでも再挑戦したそうだった。  もちろん畑仕事優先だって理解しているから口には出さなかったけどね。「ジャスは?」 と、僕が聞けば「明日は遅れた分の畑仕事を頑張るからってもう寝たよ」 と、ヘレンが答える。  なるほど、いい心がけだ。  意外と真面目で仕事熱心だよね。  ジャスもジャリももっとこう……不良系の匂いがしたのだけれどな。「わたしもそろそろ寝てもいいかしら?」 娘のアニーが舟を漕いでいて今にも膝から落ちそうなのを気にしている。「いいよ、おやすみ」「おやすみぃ……」 眠さで舌足らずな挨拶をしたアニーを抱えて自分のテントにヘレンが戻っていく。「……さて、さっきは脱線しちまったけど、今後の方針の話をしようじゃないか」 望むところだ。
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別世界の人間が呼ばれる理由

 僕とルダーには前世の記憶がある。  それもここよりずっと文明レベルの高いと思われる世界の記憶だ。  しかも、リリムによれば転生する際の仕様によって余すところなく思い出せると言う恩恵を受けている。  その前世知識でもって、この世界を生き抜くと言う神様から与えられた使命をまっとうしなきゃならないわけだ。  確かに進んだ文明の知識はこの世界を生き抜くためのアドバンテージにはなるだろう。  だけど、知識だけでは意味がない。  実用化できなければ知識だって宝の持ち腐れってやつだ。「俺たち前世記憶を持った転生者の使命はこの世界で生き抜くこと……だったな?」 その質問にはリリムが答える。「そうよ。世界のバランスが神様の思惑から外れかけているから、異世界から転生者を呼んでバランス調整をしようって話」「生きてるだけでバランスが調整できるってのはどう言う仕組みなんだ?」「さぁ」「さぁ……って」「それについては僕にちょっとした推察があるよ」「ほぅ。聞かせてもらおうか」 これまでの情報からざっと考察したところ、転生者を呼び込むことそれ自体バランスを崩す要因になる。  これはリリムが最初に話してくれたことだ。  崩れかけたバランスを戻すのにそれまでの秩序、法理法則は役に立たないことがある。  それまでの常識が通用しないわけだから全く新しいアプローチを試みるのは前世では問題解決の割とよくある手段だった。  とはいえまったく新しいアプローチってのはそれまでの常識の中にいたものにとってはなかなか出来ることじゃない。  そこでよくあるのが外部の人間を入れると言うやり方だ。  物事を当事者としてみていない第三者視点というのは時に見落とされている問題点を指摘したり、およそ考えもつかない解決方法を提示できたりする。「つまり、神様の思惑で行くと俺たちはただ生きているってだけじゃない状況になるってことか?」「もうなってるし」「……ああ、そうだな」「で、この先考えられるのが
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