Semua Bab 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Bab 11 - Bab 20

20 Bab

時々浮かぶ前世のカケラ

飯を食った後、水車小屋で泥のように眠った僕は、翌朝も無事に迎えることができた。「おはよ」「おはよう!」 リリムは朝から元気だ。  煮炊きに使っている穴に籾殻を入れて、昨日作ったかまどの中をほじくり返して火種を探す。  よかった、残ってる。  それを籾殻に乗せて息を吹きかけると煙がもくもくと上がる。  なかなか火が移らない。  咳き込みながら悪戦苦闘の末に着火に成功した僕は、今日の飯作り。  飯を作りながら今日することを枝で地面に書き出す。  前世でよくやったトゥドゥリストってやつだな。  今日の作業は大きく二つに絞る。  一つは薪集め。  これには午前中いっぱい使おう。  できれば二、三日しのげるほど集めたいけど一人で午前中だけってのはまぁ、難しいな。 いいとこ明日の分までだろう。  薪をストックするには向こう十日くらい毎日午前中まるっと使って、その先十日分用意できるかできないかってとこだろうな。  午後は縄張り作業だ。  といっても縄がないので地面に線を引くわけだけど。  そのそばに板を並べて「数が足りない」だの「尺が足りない」だの言いながら何度もやり直す。  ところで『尺』ってなんだ?  あやふやな前世知識ってことで収めとこう。  ちなみにこの世界の長さの単位は親指の第一関節までの『スンブ』と手首から肘までの長さで測る『シャッケン』が基本だ。 …………。 ああ、尺ってシャッケンのことか。  そのスンブとシャッケンを使って木組みのホゾを作ったり柱を立てて組み立てたり。  そんなこんなを十日ほどかけてようやく土間を囲っただけの掘っ建て小屋が出来上がった。  うん、このままだと冬が過ごせない。  けど、板はもうない。  さて、どうしたものか……。  現世知識は無学の百姓の小せがれ十五年分。 …………。 いい案は浮かびそうにない。  前世知識はDIY好き、歴史オタの四十半ばのおっさんのもの。  なん
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-04
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それは役に立つ?

前世知識は現世の知識に邪魔されているのか、簡単に引き出せないようだ。「参ったなぁ……」「何を参ってるのよ?」 僕は、かくかくしかじかと喫緊の問題である現状を説明する。「で?」「あー、うん。前世の知識がなかなか出てこなくて」 するとリリムは僕の目と鼻の先に浮かんで腰に手をやり、坊主の説教というか先生ができの悪い生徒に言い含めるような話し方でこういった。「前世の知識はあくまで前世知識なんだから、引っ張り出すには前世の記憶をたどんなきゃだめよ」 なるほど、現世とリンクしてないから記憶を辿って知識を現世の頭にダウンロードしなきゃなんないんだな。 ところで坊主とかダウンロードってなんだ?  いやいや、今は横に置いといて前世の記憶だな。「……っつーか、記憶ってそんな完璧に思い出せないだろ」「ところが神様が言うにはね」 と、神の御使いたる天使なのか見た目通りの妖精なのかわかんないやつが説明するには、記憶ってのは逐一脳に記録されるんだとさ。  ただ、インデックスが追いつかないんで記憶が散逸した状態になるんだそうだ。  それがいいのか悪いのか、転生する際に全ての記憶が新しい脳にコピーされる過程でインデックスが作られる。  だから意識的に考えれば大抵のものが引っ張り出せるんだと。  試しに気になった単語である『坊主』『ダウンロード』『インデックス』に『コピー』を脳内検索したところたちどころにいくつかの記憶とともに知識が現世の僕に定着する。「ほぅ、こりゃあ便利だ」「でも、あくまで記憶にあるものだけだよ、呼び出せる知識は」「大丈夫。僕の前世は中学の頃からのオタクだから、覚えてないだけで相当膨大な量の資料を調べてきた記憶を蓄えてる……はず」「……ちなみに、何オタ?」「歴史とアイドルと漫画アニメ特撮」「…………」 …………。「役に立つ?」 ど、どうでしょう?
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-04
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先人の知恵(ただし、前世世界の)

 と、とりあえずDIYの知識を呼び出さなきゃ。  っつーか、先に思い出しとけばもっとマシな小屋が建てられたんじゃなかろうか?  ジト目ってやつでリリムを見ると満面の笑顔を返してくる。  チッ! こいつ、妖精らしく顔だけは可愛いんだよな。  まぁいい。  小屋は大体八畳一間サイズ。  天井高七シャッケン半ってとこか。  出入り口は今んとこ戸板立ててるだけだけど、これは蝶番なんて便利なものは再現が難しいから引き戸にするか。  でも敷居と鴨居を作るのって大変だよなー。  きっと立て付けの悪い戸ができあがるぞ、きっと。  これ、ほっとくか?  イヤイヤ、雪が降るこの地で立て掛けるだけの戸なんてヤバすぎるでしょ。  ムムム……。  僕はDIY関連の脳内インデックスから生まれ育った北海道のインデックスに知識を漁る場所を変える。  北海道には玄関フードっていう文化があった。  正式名称「風除室」玄関の前に一見無意味に作られた小部屋だ。  結構重要な部屋で、屋内と屋外の緩衝空間としての役割がある。  無菌室に入る前に滅菌する部屋があるようなものだと極端に考えてくれてもいい。  あれ? そういえば、玄関フードみたいって思った家があったな。  あれは確か……そうだ、アイヌの家だ。  そうか、あれを参考に作ればいいんだ。  あれこそまさに寒冷地における先人の知恵。  記憶によると僕はネットでチセの検索を何度かしている。  チセの構造は一間の家で中央に炉が切られ、セムと呼ばれる物置兼玄関が別に作られている。  やっぱりこのセムが玄関フードに似ていると思ったのが検索し始めた動機っぽい。  そして、ありがたいことに寒さ対策についてのヒントもあった。  炉で火を焚き続けると土間が熱を蓄えてくれるらしい。  蓄えた熱を逃げないようにする工夫が必要らしいけど、ここは前世の子供時代を過ごした北海道ほど寒くない。  いける
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-05
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一人でできることなんてたかがしれてる

 ということで、僕は早速作業に取り掛かる。  まずは炉を切ってそこにカマドから火を移す。  本格的な冬場は火力を調節しないといけないっぽいけど今は燃えてればとりあえずいい。  炉に薪を突っ込んどいてから、斧を持って雑木林に入る。  一本切り倒して小屋まで持ってくる。  これで丸一日仕事。  それをとりあえず小屋の横に置いといて今度は雑木林から草を刈ってくる。  前世知識によれば、葦だの茅だの蒲だのといった植物の名前が出てくるわけだけど、異世界で植生の違うこの辺にそんなものはなく、一応それっぽいものを選んで持ち帰った。  それを土間に敷き詰め、茅っぽい硬めのもので格子状に編んだものを上に乗せる。  チセではその上にさらに敷物を敷くわけだけどそんなものがホイホイとできるわけがない。  事実、すげぇ荒い格子状のものを編むのに三日もかかった。  それも自分の寝るスペース分編むだけでだ。  切り倒してきた木は斧で枝を切り払い、適度な長さに切りそろえて二本を柱として入り口前に立てる。  玄関フードの柱だ。  これに切り払った枝を縦横に組んでその周りを茅葺き。  「茅」じゃないけどね。  そんなこんなで小さな掘っ建て小屋をとりあえず住める、冬を越せるものにするのにひと月近くかかった。  ああ、ちなみにこの世界にも満ち欠けする月があって、朔から次の朔までの約二十五日をひと月と数える。  年の概念もあって一年は通常十二ヶ月。  うるう月のある年が何年かに一度ある。  ここら辺は前世世界で過去に使われていた太陰暦みたいなもんだ。 さて、一人(と、一匹?)のサバイバル生活もひと月過ぎたら季節もぐっと深くなってそろそろ雪が降るんじゃないかって季節だ。  玄関フードには吊るした干しピサーメとダリプ。  干しピサーメは渋い方の実を使うのがいいと言ってたのでそうしている。美味い方は旬が過ぎたのでもう食べられない。  ダリプはそのままおやつ代わりに食べてるけど、一部は保存用にこれも干しダリプにしてる。  本来は大人たちのお酒の材料であまり食
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-05
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サバイバルミッション・ツー

「リリム」「何?」「何したらいい?」「またざっくりとした質問ね。そんなの答えられるわけないじゃない」 だよねー。  考えろ?  僕に必要なものはなんだ。  外のかまどは簡易なもので、いつ壊れても不思議じゃない。  家の中に囲炉裏を作ったからここで煮炊きもできるからいいか。  いやいや、かまどの火力は捨てがたい。玄関フードに作り直すか。  次は服だな。  着た切り雀ってやつでひと月過ごしたからなぁ。  冬用の装備にしないと外で活動できなくなる。  でも、材料が全くないな。  麻的なもので布を織るにしたって時間かかるし、防寒着にはなりそうにない。「防寒着になりそうな素材でこの辺で手に入りそうなものってなんかないかな?」「そうね、獣の毛皮なんていいんじゃない?」 なるほど。  雑木林の中には鳥や獣もいるな。「それには狩りをしなきゃダメだよなぁ」「そうね」「道具が必要だ」「そうね」「何がいいと思う?」「安全なのは遠くから獲物を狙える弓だろうけど、弓を作るのは素人には難しいし弦の材料がないわね。仮に作れたとしても弓を射るには技術が必要よ」 なるほど。「でも接近戦は難しいわね。小動物は逃げちゃうだろうし、大型獣との近接は危険だし」 うん、やりたくないね。「あなた歴史オタクなんでしょ? 何か自分で考えなさいよ」 そうきますか。  それもそうだよね。  ということで、僕は再び前世記憶を手繰り寄せる。  火縄銃……いやいや、作れません。  弓矢はダメ、クロスボウも作れない。  そういえばテレビ番組で害獣駆除に罠を仕掛けるってのがあったな。  アレをメインに手持ちの得物も用意しよう。 …………! 投げてよし振るってよしの手槍かな?  太平洋戦争末期、帝国は国民に竹槍持たせて飛行機と戦えと言
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-05
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石器時代やべー

 この世界でも石に名前がついている。  人の生活になくてはならない鉄鉱石、世界の価値基準を形作っている金銀銅の鉱石などがそれだ。  もっとも前世世界のように細かく分類されているわけじゃない。  前世で言うところの黒曜石、まずはこいつを見つけなきゃならない。  この世界の歴史がどんなものかはわからないけど、有史以前の道具としてほとんど加工せずに利用できる骨や木、石などの鉱物は利用しているはずだ。 …………。 地球的進化をしてればの話だけど。「リリム、黒曜石って知ってるか?」「何それ」 やっぱそう言う反応するよね。  僕が前世知識で説明すると、リリムはうろんな目で僕を見ながらこう言った。「叩き割ると鋭く割れる黒い石……ねぇ」「ああ、火山から出た溶岩が冷えて固まったものってことなんだけど……」「それならこの辺にはないかもね」 マジか!?  いや、待て。  確か長老が後生大事にしていた赤ちゃんくらいの大石が真っ黒だった。  村じゃ長老がなんであんな石っころを大切にしているのかって不思議がっていたけど、長老が言うには「火吹き山からの贈り物」だって言ってた。  僕は急いで村に戻って長老の家の焼け跡へ向かう。  あった!  見つけた石は誰かに叩き壊されていたけれど、断面を確認しやすくて助かる。  うん、確かに黒曜石だ。「こんな石が槍の穂先に有効なの?」「ああ。前世世界では人類が手にしたもっとも鋭利な刃物と言われてた」「これがねぇ……」 と、リリムがその角を触ろうとする。「やめといたほうがいいぞ」 と、注意しただけじゃその危険度はわからないだろうと思ったので、近くにあった燃え残りの柱をその石で削いで見せる。  カッターナイフで鉛筆削るより鮮やかに削げるもんだからリリムはビビるし僕も想像以上でびっくりした。  ヤベー。  石器時代やべー。  拾えるだけ拾ってピサーメの葉で編んだ袋に詰め
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-06
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異世界に旧石器時代あらわる

 さて、まずは砕けた黒曜石を大雑把に大中小と分けて使い物にならないのは用水路に流す。  むーん。  これから先色々なものを作っていくわけで、収納棚が欲しいな。  手に余るサイズが三個、握りこぶし級が七個、他に切片になってるようなのとか鏃なんかには使えんじゃないかってのがそれなりにありまして、小さなのを三個と中くらいの一個を残して水車小屋にしまう。  黒曜石ってのはガラスの一種だって言う事だから家の中で作業するのは危険だと思い、用水路のそばにある積み石のところで作業することにした。  作り方は打製石器と磨製石器の二種類。  槍づくりは喫緊の課題だし、道具も満足にない状況で磨製石器はないだろう……ってなわけで打製石器を作ることにした。  小さなの二個と中くらいの一個をダメにして完成したのが一スンブくらいの鏃みたいなのと二スンブの穂先。  これを小屋の横に積んである枝の中からできるだけまっすぐなものを選んで用意した棒の先に取り付ける。  枝にナイフで切り込みを入れてそこに小さい方を差し込み……完成?  いやいや、これじゃすぐ抜けちゃう。  道具がないって不便だなぁ。  寝床を作るのに使った草の茎を紐がわりにくくりつける。  多少はマシになったでしょ。  とりあえずこれと手斧を持って雑木林の中へ入ることにする。  次の日、僕は雑木林の中へと入っていく。  罠を仕掛けるのはいいけど、罠を作る道具がない。  落とし穴に引っかかってくれるのなんか人間くらいだ。  せめて紐だけでもあればくくり罠ができるのになぁ……。  なんて思いながら歩いていたら、ばったり出くわしたのがラバト。  でもラバトは臆病な生き物でささっと茂みの中に逃げていく。  くそっ! ラバトうまいのに。  午前中いっぱい歩き回ってラバトやファレクスは何度も発見したけど収穫ゼロ。  小さいのは臆病だからなぁ。  そろそろ一休みしようかと思った矢先に出くわしたのが僕の背丈ほどもあるオスのデヤールだ。  草食のくせして角生やしてるんだ。  あ・いや
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-06
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初めての狩り

 とっさに槍を構えたけど、こんな大きなデヤールの突進を受け止められる自信ないぞ。  でも、ここで逃すわけにもいかない。  僕は、黒曜石の槍の威力を信じて槍を構える。  これでも僕は前世で剣道有段者だ。  デヤールの突進力を槍の攻撃力にそのまま利用するために槍の尻を地面に落として、頸動脈があるあたりに狙いを定めて突き刺す。  微妙に角度をつけた槍は突き刺さるんじゃなく首の皮を切り裂いた。  狙い通りに頸動脈が断ち切れたらしく、盛大に血がしぶく。  この成功の代償に槍の柄がポッキリ折れたのはまぁ仕方ない。  穂先を手に取りデヤールの血抜きを始める。  これは現世で経験がある。  父ちゃんたちと狩をした時に教えてもらった。  一人でやるのは初めてだけど、何度かさせてもらった経験がある。  あの時は父ちゃんたちが弓矢で仕留めてたっけ。 …………。 感傷に浸っている暇はない。  血の匂いにひきつけられて肉食のファレクスやナルフ、冬ごもり前のバヤルがきたら大変だ。  僕は、村の作法に則って前足一本切り落とし、森の捧げ物としてその場に残してデヤール担いで雑木林を後にする。  用水路からこちらに渡ってくれば一安心。  今の所用水路からこちらは人のテリトリーという暗黙の了解があって動物たちは滅多にこちらには来ないからだ。  もっとも、僕以外に人がいなくなった今、この暗黙の了解がいつまで有効に作用するかは未知数だ。  陽の高いうちに戻ってきた僕は、用水路で血を洗い落として玄関フードへ。  槍に使わなかった方の黒曜石をナイフとして利用する。  デヤールの解体作業の開始だ。  前世の自分なら「グロ」とか騒いでいるんだろうけど、現世では日常の一コマだ。  一人で解体するのはもちろん初めてだし記憶をたどりながらの作業なのですげぇ苦労したけど、何とか皮を剥ぐことができた。  次は肉の解体だ。  これも黒曜石のナイフで部位ごとに切り分けていく。「なぁ、リリム」「何?」「現世知識
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-06
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知識があっても

 「鞣し」って知ってるかい?  そのままだとすぐに腐っちまう動物の皮を道具として利用するための工程のことさ。  僕は今、デヤールの肉の保存と並行してこの作業に追われている。  ちなみに昨日は新鮮なデヤール肉のステーキを食べた。  果物以外で久しぶりに食べた生鮮食品だった。  うまかった。  まず、肉の処理だけど鍋釜かき集めて塩水にじっくり浸す。  「塩はどうした?」って? 山奥の村だって塩を手に入れる方法はいっぱいあるもんさ。  どうもこの辺は昔海だったらしく(前世的地学知識)岩塩が取れるんだ。  で、これを干して熟成させてを繰り返せば干し肉の出来上がりだ。  ポイントは脂身が少ない肉の方がうまいことと、空気が乾燥している今時期(秋から冬にかけて)に作ることだ。  一部は炉の上にぶら下げて燻製にする。  ざっくりいって生ハムだ。  僕の生まれ育った村はなぜか干し肉だけでハムをつくる風習がなかった。  燻製工程ができなかったからだろう。  炉の上に吊るすなんてのは日本の知恵だからな。  脂身の多いところはベーコンにする。作り方は実は生ハムとそんなに違わない。  保存用の肉の加工は実は手間はそんなに多くない。  熟成だとか燻製だとかで時間がかかるだけなので、その合間に皮をなめす。  まず、洗濯。  この作業は水車くんにお任せ。肉を塩漬けしている間にじゃぶじゃぶ洗ってもらった。  次に柔らかくなった皮に残ってる脂や肉をこそげ落とす。  そんなこんなをしている間に渋ピサーメを雑木林から採ってくる。  なめしにはタンニンという成分が必要ってことでタンニンって渋のことだよなぁ……と泥縄ながらタンニン作りを始めたわけだ。  ピサーメを叩いて潰して水に浸す。 …………。 なんか忘れてる。  僕は慌てて脳内検索をかける。  確かにこの作り方でタンニン作れそうなんだけど、発酵して熟成するまで二年くらいかかりそうだ。「
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-07
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ジャンはサバイバーレベルが上がった

 僕が作ろうとしていたのは前世でいう柿渋なわけで、柿渋ってのは防腐、殺菌効果があって平安時代から染色に利用されていたものなんだけど、皮のなめしにわざわざ柿渋を使う必要はないわけだ。  ああ、なんで勘違い、なんて早とちりなんだ。  タンニンさえあればいいんじゃないか! さて、気を取り直して皮なめしを再開する。  確か塩を混ぜてこの『なめし液』に皮を浸し時々撹拌する。  この作業を五日から十日繰り返す。  多分塩を入れるのはなめし液が腐らないようにだと思う。  けど、タンニンも皮も生物由来だからあんまり長く浸しておくと腐るんだろう。  念の為七日浸け込んで再び水車で洗濯。  これを乾かせばとりあえず完成なはず。  でも、前世では時々油をなじませてたな。  息子のグローブとか仕事用の革靴とか。  けど、そんな便利なもの手元にない。  一人原始時代生活は思った以上にサバイバルだ。 革ができるまでの間、僕はデヤールの骨角器作りを並行して行った。  これも(前世世界の)人類が最初期から手にした道具の一つだ。  まずは大雑把に角をそのまま使うハンマー。  脚の骨で銛と槍。  肋骨でなんちゃって日本刀。  刀はそこまでの切れ味はないけど、武器がないよりまし。  銛を作ったことで用水路にいる魚を獲ることができるようになった。  ハンマーをゲットすることで黒曜石の加工が飛躍的に精度が上がるようになった。  そして、黒曜石の鋭いナイフができたことで革で服を作るための骨の針と、釣り針も作れるようになった。  てってれー♪  僕はサバイバーレベルが上がった。 …………。 虚しい。  とりあえず話し相手はいる。  やることはいっぱいある。  けど寂しい。  雪がちらつき始める頃、僕はなんとか革の上着と靴を手に入れた。  一張羅が二張羅になった。  その毛皮の服と靴で雪の中、雑木林に狩りに出る。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-06-07
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