All Chapters of 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Chapter 41 - Chapter 50

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実は結構八方塞がりだったりする?

「選択肢は考えてるんだろう?」「まぁ、確かに腹案はいくつか考えている」「言ってみろよ」「まず、おとなしく従う」「そんな気ねぇだろ」「確かにね。この村の状態でそんなことできるはずがない」「次は?」「村を放棄して逃げる」「村の再興を始めた段階でその選択肢もないな」 だよね。「こっからが本題で、大前提は独立自治ってことなんだけど……」 どう言う手段で独立自治を勝ち取るかってことが問題なんだ。  A案は野盗に襲われて村がなくなったって情報を秋までに領主のところに届けるもの。  村そのものを放棄、ないものとして扱ってもらい隠れ里的に暮らしていく案だ。  本当はキャラバンにお願いできてればよかったんだけど、これ考えたのは村の復興を始めてからだからまぁ後の祭りってやつだ。  B案は武装蜂起。  こっちはこっちで現在総人口八人の村で可能なのかどうかって言うそもそも論になる。  どっちも今の所現実的な解決策がない。「そりゃあ、悩むな」 だろ?「ルダーはどうしたい?」 聞かれてルダーは腕を組んで低く低く唸るだけ。「あー……そろそろ寝ようか」 ラチがあかないのでそう提案すると、「む? ああ、そうだな」 そういってルダーは自分のテントに入っていく。  僕は月明かりを頼りに自分の小屋へと戻る。  小屋のそばには窯があって今はルンカーを焼いている。  火の番はジャリがやっているようだ。  軽く挨拶をして小屋に入ると、寝床にはクレタとカルホが寝ている。 …………。 仕方ないけど。  仕方ないんだけど、今この小屋は一時的にってことで炭がうず高く積まれていていつもの寝床以外にスペースがない。  そのスペースに気持ちよく寝ている姉妹を起こして自分が寝るわけにもいかないし、ましてや姉妹と一緒に寝るなんて(前世倫理的に)論外だ。  小屋を出た
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村人たちの日課

 種まきが終わり、家の建築作業が始まった。  畑仕事が一段落つけば、同時進行でいろいろなことを行えるようになる。  クレタとカルホは引き続きルンカー作りを続けている。  焼成ルンカーは手間がかかって大量生産が思うようにできないので半分は日干しルンカーにすることになった。  内壁なら日干しでもいいだろうっていう妥協だ。  さすがに窯焼きの時はジャリが手伝っているけれど、それ以外の工程はすべて二人でやっている。  泥遊びみたいなもんなのか、とても楽しそうだ。  ヘレンは午前中アニーと一緒に食物採集。  安全のためジャリとジャスが毎日交代でついていく。  時々ラバトをとってくるあたり二人ともそれなりに目端が利くようだ。  ルダーは午前中を畑仕事に費やす。  「雑草取りや水やりのタイミングを見るくらいは一人で出来るから」とか言ってるし、実際種まきが終わってしまえば忙しくなるほどの作業はない。  僕はといえば、午前中は猟に出る。  と言っても罠を仕掛け、罠にかかっていないか見て回る簡単なお仕事だ。  この間久しぶりに大物のデヤールがかかっていた。  ラバト一匹程度じゃ全員の腹は満たせないけど、デヤールなら腹一杯食べてもまだ余る。  その日は新鮮なデヤールで焼肉パーティをして残りは部位ごとにハムだったりベーコンだったり干し肉だったりを作り、皮はジャリと一緒に鞣す。  職人志望と言っていただけあって手際も良くいい革が出来上がった。 …………。
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ありがたい来訪者

 …………。 あれ? 転生の際ちょっと優秀にしてもらったんじゃなかったっけ、僕。  ま、それ以来ラバトの革など黙っていてもジャリが鞣すようになった。  午後は建築だ。  まずは中央広場を囲むように四軒の家を建てることにした。  一軒目はヘレンとアニーの家。  クレタとカルホも一緒に面倒見てくれるということで、リビングと寝室ふた部屋という平屋の家を最初に建てることにした。  僕が縄張りをして男たちで柱を立てる。  ルンカー積みはルダーの指示で始まった。  ルンカーで作るのは壁と暖炉、屋根はルンカーをタイルにしたもので葺いた。  窓はガラスなんかあるわけもなく単なる開口部で、ジャスがのこぎりで頑張って板にしたものをはめ込む。  ドアも同様木製で、内側から閂で閉めるようにルダーが作ってくれた。  最初の一軒が出来上がるのにおよそ一ヶ月。  二軒目も同じ構造の家をジャリとジャスのために作ることになった。  慣れると早いもので最初の一件よりハイペースで作り上げているところにキャラバンがやってきた。  それはこの村に来る三隊のキャラバンのうち不定期にやってくる一隊だ。  若い商隊長は開口一番こう言った。「なんにもなくなっちゃってるなぁ。家が建ってなかったら引き返してたぜ」「ジョーさん!」「久しぶり。どうなってるんだ?」 「かくかくしかじか」と、僕は作業をルダーたちに任せてこれまでの経緯を説明する。「なるほどな。災難だったな」 ジョーは心底哀悼の意を表してくれる。「何か手伝えることはあるか?」「相談に乗ってくれると嬉しいな」「お安い御用だ。しばらく滞在してうちの奴らを手伝わせよう」 なんてことも言ってくれる。  ありがたいじゃあないか。  キャラバンは旅支度を一度解き、まだ陽の高いうちから炊き出しを始めだす。  その中からジョーが三人呼び出して、僕に引き合わせてくれた。「右からザビー・タン、ガー
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願ったり叶ったり

「お前たち今日からこの村の住人な」「え!? ちょ、待てくださいよいきなり」 と、抗議の声をあげたのは紅一点のオギンだ。  判る、判るよ。  いきなりはやっぱダメだよね、心の準備くらいさせて欲しいよね。「──っていうか、こっちも事の成り行きに戸惑ってるんですけど」「ああ、そうだな。こっちの事情も説明しなきゃいけないよな」 と、前置きして話してくれたのはおおよそこんな経緯だ。  放浪のキャラバンとはいえ、拠点というのは存在していたんだけど、僕らと同じで運悪く拠点にしていた街が襲われて壊滅してしまったという事だ。  僕らと違うのは野盗に襲われたんじゃなく、軍による略奪だったらしい。  ひどいことする軍隊だなぁ。「で、俺たちも新しい拠点が必要になっているわけだ。できれば内乱で無法化し始めている国内で、比較的安全な拠点が欲しい」「ここは去年野盗に襲われた村ですよ。安全ですか?」「比較の問題だよ。そりゃあ街場の方が利便がいい。けれど富が集まっていることが判っている場所は略奪しやすい場所ってことでもあるからな、敵対勢力の支配地への攻撃ってのは少しずつ増えてて安全とは言いにくい」 そんな状況になってるんですか?  この国は。「でも、この村だって僻地とはいえズラカルト男爵領なわけで、隠れ里ってわけにも行きませんし……」「じゃあ隠れ里にしちゃえばいいんだよ」 簡単に言ってくれるよ。「正式に棄村・廃村手続きをとってしまえばいいんだろう?」 え?「できるんですか!?」「たぶんね」「願ってもない!」「お? なにか考えがあるんだな?」「なんというか……独立自治を考えていまして」 僕が頭を掻きながら照れ臭そうに言うと、ジョーはマジで口に含んでいた飲み物を吹き出した。「たった八人の集落で独立自治ぃ!?」 ニタニタ笑いながらそう言うジョーは、けれども楽しそうに呵呵大笑する。
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思惑と実益

「それにしたってオレたちは三人で一組なんですよ。弟のいない間に勝手に決めないでくださいよ」 ジョーとの話に割って入ってきたのは、なんの相談もなく村人に指名されちゃった三人の一人、確かザビーって言ったっけ。「ん? 心配すんな。イラードもお前らと仲のいいザイーダも戻り次第こっちに来てもらうから」「そう言う問題じゃありゃあせんぜ、旦那」 ガーブラも不服そうだな……。「じゃ何が問題なんだよ?」「定住出来なくてキャラバンに入ったワシらにする仕打ちじゃないぞい」「そうか? キャラバンにいるよりも退屈しないと思うんだけどなぁ」「どうしてそう言えるんです?」「ん? んーん……これは俺の勘なんだがな? 二、三年後にはここが騒乱の中心地になるぜ?」 …………。 やばい。  この人、ここを騒乱の中心地にする肚づもりだ。  きっとそうに違いない。  そして、やめろ。  三人ともキラキラした目でジョーを見るな。  僕は出来るだけ平穏に暮らしたいんだ。 …………。 中期展望聞いたら誰も信じてくれそうにないだろうけど。「判りました。でも、必ずイラードとザイーダは呼び寄せてくださいね」「ああ、約束するよ」 と、三人に頷いた後、彼は僕に向き直ってこう付け加えた。「他にも道中良さげな人材がいたらスカウトしとこう。さしあたって村の規模はどれくらいを考えているんだい?」「え?」 考えてなかった……。「八人でやりくりすることしか考えてなかったんだけど……」「じゃあ、次に来るときまでにあと四、五人見繕っとこう。今年はとりあえず村の復興ってことで冬までに三十人規模の集落にするってのでいいか?」 三十人規模といえば村が野盗に襲われる前と同程度だ。「じゃ、じゃあそうすることにしようかな?」「決まり。じゃあ、三人は今から彼の指示に従うんだ……ああ、村長は君ってことでいいん
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お主も悪よのぅ

「僕らも欲しいものがいっぱいあるからここで商売してくれると助かるよ。物々交換になると思うけど」「物々交換はいつものことさ。今年はデストロじいさんの干しピサーメとかショカばあさんの漬物がないのが残念だよ」 心底残念そうだ。  確かにどちらも絶品だった。「ま・一番残念なのはダリプ酒なんだけどな」 ジョー曰く(というかまぁちょっと考えれば判ることだけど)、「酒はどこでも高値で売れる」そうで、ダリプ酒はこの村の主要な商品であり貴重な収入源だったそうだ。「ダリプの木は残ってるのか?」「ええ。僕はお酒は仕込めないので干しダリプにして食べてますけど」「そいつはいい。ここのダリプは酒造りに適しているからな。うん、酒の仕込めるやつを見繕って連れてこよう。干しダリプも残ってるなら買おう」 ええ、ええ、売りますよ。「他にはどんなものがある?」「この間獲れたデヤールの革やハム。まだ品質が良くないんですけど、炭も焼いてます」「炭!?」 お! やけに食いついたぞ。「はい、煮炊きに使うように作ってみたんです」「どうやって作った? 伏せ焼きか?」「あ・いえ、焼窯を作って……」「ってことは荒炭か……」 さすがと言っていいのか、随分詳しいな。  でも、惜しいんだな。「いえ、黒炭です」「黒炭!? ……質が良くないと言ってたがどの程度なんだ?」「完全に火が熾きるまで煙が出るのと、たまに爆跳するんですよね」「普通だろ?」 そうなのか?  現世では使ったことなかったから、そこらへんの品質については前世基準なんだよね。「炭は貴重品だ。大量生産技術も確立されていないから、特権階級と一部富裕層以外で日常的に使われることはない。そうか……ふふふ、これは金になるぞ」 なかなかに悪徳感のある笑いを洩らしているジョーに越後屋が重なる。  ともあれ、いい取引が出来そうだ。 その日は日暮れ
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村長の朝は早い

 村長の朝は早い。  二日酔いの頭を抱えて用水路の水で顔を洗う。 …………。「リリム」「何?」「前の井戸は使えないよなぁ?」「どうかしら?」 襲撃の後、井戸を確認した際、サタンちゃんが投げ込まれて浮いていたのを確認している。  水質的に問題なくなっていたとしても心理的に飲みたくないよなぁ……。  そういえば、前世記憶が蘇る前で気にならなかったけど、サタンって前世世界では悪魔のことだったよな。  僕は「悪魔ちゃん」って呼びかけてたわけだ。 …………。 なんかモヤっとするな。「でもなんで突然井戸のこと聞いてくるわけ?」「あー……人数が増えると水汲みも大変になるだろ?」「それもそうね」 また一つやること増やしちゃったか。  仕方ないけど。  水汲みって重労働なのよね。  ここ(水車小屋と僕の小屋のある場所)は、集落(予定地)から歩いて片道十五分ほど。  僕が朝、村へ行く時に三十ラッタほどの水を汲んで持って行くほか、炭焼きやルンカー焼くのにやってくる人も最低一往復水を汲むことになっている。  今まではそれでなんとか足りていたけど、これからはそうもいかなくなってくるだろう。  たかだか片道十五分とはいえ毎日となると時間のロスもバカにならない。  三十人の集落が井戸ひとつで賄われていたくらいには地下水が豊富に流れているんだ。  改めて井戸を掘るべきだよな。  問題は井戸の掘り方だ。  僕の前世記憶には、井戸掘り職人が海外の村人と協力して井戸を掘るTV番組の記憶がある。  けど、あの井戸掘り装置を作るには鉄器を作れる環境が必要だな。  デヤールの革でできた水袋を背負ってそんなことを考えながら村に戻ると、もうキャラバンの人たちも起き出していた。「おはよう、村長」 ジョーに肩書きで呼ばれた。  村長になって初めてかも。  ……照れる。
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こんなトントン拍子でいいのかしら?

「で、今作っているのは?」「ジャリとジャスが住む予定の家で二人の寝室の他にジャリが使う作業部屋も作っています」「なんの作業をするんだ?」「さぁ? 彼は職人志望なんだそうで、ルンカー作りも彼が親方ですし……あ・ホラ、この水袋。皮を鞣すところから彼がやってくれたんです」 と、まだ水の入ったまんまの背負い水袋を見せる。「なかなかいい仕事してるじゃないか」「でしょ? 高値で取引してくださいね」「村長もなかなか商売上手だな」 ……照れる。 朝食が始まる。  今日は山菜スープだ。  食べながら今日の予定を話し合う。  昨日から村人になった三人とジョーも打ち合わせに参加する。  今日の午前中はヘレン親子とジャスが食物採集。  これにはオギンもついていくことになった。  畑はルダーとガーブラが、今日から火入れのルンカー作業にはユーミン姉妹とジャリが行く。  ザビーは僕と僕の小屋から商材を運び、ここで商談を手伝ってくれることになった。  午後はルンカー組以外は二軒目の建築を予定しているのだけれど、ここでジョーがこんな提案をしてきた。「昨日ジャンにはちらっと話したんだが、俺たちのキャラバンの拠点をここに移す計画なんだ。で、村の再建計画と合わせた戦略会議を開きたい」 おっと、「戦略会議」なんて言葉はちょっと大仰な気がするけど、一度みんなで話したいと思ってはいたことだから、その提案は渡りに船だ。「今日からルンカーの火入れだから誰か火の番が必要だぞ?」 と、ジャリが言う。  ジャリも参加したいよね。「じゃあ、うちの連中二、三人貸そう。会議の間火を絶やさなければいいのだろう?」 そうしてくれるのならば村人組に異議はない。「じゃあ、今日はそう言うことで……今日も一日頑張りましょう!」 「こう言うところ、前世サラリーマン時代の影響よね」と、僕は心の中で苦笑する。  みんなはその辺りの心の機微など知る由もなく、後片付け
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今必要なのは武器より情報かな-前篇-

 こちらから提供する商品は「黒炭」「デヤールの革」「デヤールの毛皮」「ラバトの毛皮」「ファルクスの毛皮」「干しピサーメ」「干しダリプ」「デヤールのハム」「デヤールのベーコン」「デヤールの燻製」「ラバトの燻製」それに「デヤールの角」「干しピサーメは食うだけならいいけど、売り物にはならないな」 あ、やっぱり。「さて、欲しいものはなんだ? それなりのものが買えるぞ」 まずは野菜の種。  二週間から一ヶ月で収穫できる葉物野菜や根菜をいくつか見繕う。  それから大工道具、着替えを作るための生地と裁縫セット、それと調味料。「──それと、護身用に武器が欲しいんですけど……」「さすがに人数分は無理だな。武具防具は考えている以上に高価なもんだからな」 うん、知ってる。「それに扱えるのか?」 他のみんなは知らないけれど、僕はこう見えて前世で剣道の有段者だった。  今の体では子供の遊びでチャンバラごっこをやっていた程度で、一度もちゃんとした稽古をしていないからすぐすぐ戦えるようになるとは思えないけど、それなりに格好はつくようになると思う。  もっとも道場剣術が実戦でどれだけ使い物になるかは判らない。  そして、今すぐ必要なものでもない。  けど、いずれ戦う場面はやってくる。  その日のために準備しとかなきゃと思っているだけだ。「何本買える?」「そうだな、剣なら二本ってとこだな。おまけしてだぞ」 まじか。 …………。 待てよ?「他の武器ならもっと揃えられるの?」「戦闘用じゃない手斧なら三本、短剣で五本てとこだな」 む・いいんだか悪いんだか。  考えどこだけど得物ってのは手に馴染むまで振り込むのが基本で、体の一部にまで溶け込むと今度は別の武器になった時に感覚が狂うもんだ。  適正ってのはとっても大事だからな……。「ザビーたちは……」「彼らはそれぞれに自分の得物を持っている」 あ・やっ
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今必要なのは武器より情報かな-後篇-

 僕はちょっと腕組みをして考える。  僕の使命はこの世界で生き抜くことだ。  生き抜くのに絶対必要なのは衣食住、これは今回の取引で目処がついた。  次に必要なのは……情報か。  戦国時代(もちろん前世世界)の武将は、どれだけ早く正確な情報を手に入れられるかが生き残りに直結していた。  さて、今の僕にはどんな情報が必要だ?「正確な地図が欲しい」「ほう」「それから周辺の情勢?」 ジョーは豪快に笑いだす。  な、なんだなんだ?「ものの考え方が昨日今日『大人』になった男のものじゃないぞ」「そ、そうかな?」 まさか「前世が……」なんて気楽にカミングアウトできる性質のものじゃないから適当にお茶を濁す。「地図は次までに用意しよう。近隣の詳細な勢力図を書き込んでな」 それはありがたい。「手習いセットも用意してやる」「え?」「読み書きは出来るに越したことがないだろ?」 確かに。  この国の文字が読み書きが出来れば文献に当たって情報を得られる。「ありがとう!」「なんもなんも」 ???「どうした?」「あ・いや、今……」「取引残額で手習い帳といくつかの書物を用意しよう」 昼になり、村人がポツリポツリと戻ってくる。  最初に戻ってきたのはヘレンたち。  今日はラバトを二羽仕留めてきたみたいだ。  野草もカゴいっぱいに摘んでいる。  次に戻ってきたのはジャリたち。  火力が安定した段階で引き継いできたらしい。「ルダーはまだ戻っていないのか?」 ジャスがみんなを見回して言う。「じゃあ、私が呼んできてあげる」 いうより早く駆け出して行ったのはカルホ。  いやはや、ちっちゃい子は体力が余ってんのね。 …………。 僕も十五歳だからまだまだ体力はあるよ、うん。
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