まさに間一髪というそのとき、倉庫の分厚い鉄扉が外から激しく蹴破られた。礼都は逆光を背に、抜き身の刃のような鋭い佇まいで入口に立っていた。その身から放たれる凄まじい威圧感は恐ろしいほどで、切れ長の目には氷のように冷たい殺気が宿っている。二人が反応する間もなく、目の前を冷たい風が駆け抜けた。次の瞬間、凄まじい悲鳴と命乞いが、がらんとした倉庫に響き渡った。礼都は格闘技の心得があるらしく、その動きは残像しか見えないほど速かった。繰り出される拳は容赦なく、確実に相手の体を捉えていく。余計な言葉は一切なく、響くのは骨が砕ける鈍い音だけだった。わずかな時間で二人は床に崩れ落ち、二度と動けなくなった。そこへ唐沢がボディーガードたちを引き連れ、一斉に倉庫へなだれ込んできた。目の前の光景を見た唐沢は、あっけに取られた。「え......もう片づいたんですか?」礼都は凄みを漂わせたまま言い放った。「後始末は任せる」そう告げると、勢いよく振り返り、梨沙のもとへ歩み寄った。すぐにコートを脱いで彼女の体にかけ、かすれた声で告げる。「もう大丈夫だ。助けに来た」聞き慣れた声を耳にした瞬間、張り詰めていた梨沙の緊張がようやく解けた。それと同時に、堰を切ったように涙がこぼれ落ちる。礼都はその場に腰を落とし、梨沙を横抱きにすると、大股で倉庫の外へ向かった。だがすぐに、彼女の異変に気づいた。真冬だというのにコートすら着ておらず、薄着のままなのに、全身が燃えるように熱い。白く柔らかな頬には不自然な赤みが差し、視線は虚ろで定まらない。普段は澄んでいる瞳にも今は薄い靄がかかり、呼吸は激しく熱を帯びていた。彼の体に触れると、無意識のうちに胸元へすり寄ってくる。礼都は足を止め、冷たい月明かりの下で彼女の様子を確かめた。迷うことなく振り返り、唐沢に命じる。「梨沙に何を飲ませたのか吐かせろ。その薬をすぐ柊治のところへ持っていって、解毒薬を作らせるんだ」唐沢はすぐさま承知した。礼都は梨沙を助手席に乗せ、車内の温度を下げた。それでも彼女は落ち着かず、何度も彼のほうへ身を寄せる。白く細い指で彼の袖をつかみ、弱々しく揺らした。「熱い......」甘くかすれた声が、苦しげに震えている。「苦しい......」梨沙はわず
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