あまりにも突然のことで、重い体が覆いかぶさってきたとき、梨沙はまだ何が起きたのか理解できなかった。「あなた......」大きな手で口をふさがれる。暗闇の中で海渡の顔が迫ってきた。吐息は焼けつくように熱く、全身が燃えているかのようだった。「梨沙......」かすれた声で名前を呼びながら、驚くほど強い力で押さえつけ、片手で彼女のパジャマを引き裂こうとする。さらにかすれた声が耳元で響いた。「もう我慢できない......」梨沙は必死に抵抗した。足で蹴り、両手で押し返す。しかし男女の力の差に加え、今の海渡の様子は明らかに尋常ではない。どれほど力を込めても、わずかに動かすことさえできなかった。梨沙が着ているのは、肌をほとんど見せないパジャマだった。引っ張っても破れないと分かると、海渡は手の向きを変え、そのまま下へ滑らせた。彼女の腰に触れ、熱い指を服の内側へ入れて、パジャマをまくり上げようとする。梨沙の心臓が止まりそうになった。嫌悪と恐怖が、氷水のように頭から一気に降りかかる。その瞬間、目の前にある海渡の顔が、あの夜の二人の誘拐犯と重なった。梨沙は、すべてを投げ打つような必死さで抵抗した。ようやく片腕を引き抜く。バシッ!乾いた音とともに、平手が海渡の頬をまともに打った。その音は、暗闇の中でひときわ鋭く響いた。海渡は呆気に取られ、腕の力を一瞬緩めた。梨沙はその隙を逃さず、勢いよく膝を突き上げる。海渡は瞳を揺らし、とっさに体をひねってかわした。梨沙はすぐに起き上がろうとしたが、海渡に手首をつかまれ、力任せにベッドへ投げ戻された。再び彼女の上へ覆いかぶさる。熱に浮かされたような目には、危うい光が宿っていた。「梨沙、俺たちは夫婦だ。これは妻としての義務だろう」梨沙は肩で大きく息をしながら叫んだ。「放して!これ以上、憎ませないで......!」海渡はそこで、彼女に自分の声が聞こえていないことに気づいた。ベッド脇の棚を探り、梨沙の補聴器を手に取る。不慣れな手つきで彼女の耳に装着すると、声を落として告げた。「梨沙、君が欲しい。今すぐ君を抱きたい......」梨沙は瞬きもせず、海渡を見つめていた。二筋の涙が目尻からこぼれ落ち、髪の中へ消えていく。まるで最
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