翌朝。 佳苗は朝食の準備をしながら、 昨夜のことを思い出していた。 雄吾の表情。 あの冷たい目。 何かあったのは間違いない。 けれど。 聞いても教えてくれなかった。 そのことが少し気になっていた。 味噌汁を温めながら考えていると。 背後から声がした。「早いな」 振り返る。 雄吾だった。「先輩こそ」「仕事だ」 いつもの返事。 佳苗は少し笑う。 その時。 雄吾が静かに言った。「昨日の件だが」 佳苗の手が止まる。 やっぱり。「管理会社から映像が届いた」 胸が重くなる。 雄吾はテーブルへスマホを置いた。「見るか?」 佳苗は迷う。 見たくない。 でも。 知らないままも嫌だった。「……見ます」 小さく頷く。 映像は数十秒だった。 マンションのエントランス。 そして。 帽子を深く被った男。 悟だった。 佳苗は息を呑む。 見間違えようがない。 何度も見てきた後ろ姿。 悟は周囲を見回し。 そのまま建物へ入っていく。 しばらくして。 何かを持たない状態で出てきた。 紙袋だ。 佳苗は画面から目を逸らした。「……本当に」 声が掠れる。 本当に来ていた。 夢でも思い込みでもない。 現実だ。「前にも来ていましたけど……」 佳苗は唇を噛む。「まさか、また来るとは
اقرأ المزيد