「真子ちゃん、これは一体…」 すっかり様変わりした部屋に、小森は目を丸くした。 あれだけあったはずのクマのぬいぐるみが跡形もなく消えている。 その一方で部屋の隅にはいくつものゴミ袋が置かれていた。 小森に抱かれた真子は、その腕の中でばつの悪い表情を浮かべる。 あのゴミ袋の中には、小森がプレゼントしてくれたぬいぐるみもいくつか入っている。 罪悪感はあった。 それでも結局、真子はそれらを捨ててしまったのだ。 小森が何も感じないわけがない。 現に、ゴミ袋を目にした小森は、黙ったまま何も言わない。 そんな沈黙に耐え切れなくなった真子は、おずおずと口を開いた。 「悠介くんごめんなさい、私…」 だが、そんな真子の言葉を小森が遮った。 「ここに不燃物のゴミ袋もあるけど、もしかして、次は不燃物のクマさんグッズを捨てるところだった?」 真子は眉を下げると、 「ごめんなさい…」 消え入りそうな声で、そう小森に謝った。 腕の中で縮こまる真子に、小森は、 「容赦無く捨てていっていいのかな?」 「え?」 驚いて顔を上げた真子に、小森は微笑む。 「あれらの処分はお兄さんに任せなさい。その間、真子ちゃんはソファに座って待っててね」 小森は二人掛けのソファに真子を降ろすと、スーツの上着を脱いで、Yシャツの袖を捲った。 床の不燃袋を拾い上げると、何かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡している。 「悠介くん?」 「お、あったあった」 小森はカゴの中から新聞紙を取り出した。 「真子ちゃん、まだ早朝の新聞配達もやってるんだっけ?」 しげしげと新聞紙を眺めながら、小森が何気ない口調で聞いた。 唐突な質問に、真子は、 「え、あ、うん」 真子の答えに、小森は、「そっか…」と言って、どこか切なそうな顔になる。 「ーー悠介くん?」 真子の呼びかけに、小森は振り返って、 「真子ちゃん、何よりも自分を大事にね?」 「え?」 戸惑う真子に、小森はニコリと笑いかけると、サッと前に向き直って作業へと取り掛かった。 彼は食器棚からクマの描かれたカップやお皿を取り出すと、一枚一枚新聞紙に包んでゴミ袋へと入れていく。 小森の流れるような手つきを見つめながら、真子は先ほど小森に言わ
Huling Na-update : 2026-09-05 Magbasa pa