二週間後の地域文化センターでは、次のワークショップの準備が進められていた。 澪はいつものように花材を並べ、ひとつつひとつ丁寧に状態を確認していく。「白石先生! おはようございます」 田中が嬉しそうに澪に手を振った。「おはようございます」 澪も笑顔で頭を下げる。「今日は、新しくボランティアスタッフさんが来てくださるんですよ」「そうなんですか?」「はい。人数が増えると準備も片付けも助かりますから」 そう話していると、入口のほうから明るい声が聞こえた。「おはようございまーすっ」 澪の肩がぴくりと震えた。聞き慣れた甘い声。嫌な予感に、振り返る体が強張った。「……美羽」 今日も柔らかなワンピース姿の美羽が、にこにこと手を振っていた。「あ、お姉ちゃん! じゃなくって、澪先生」 まるで、ここにいることが当たり前であるかのような笑顔。 田中が嬉しそうに二人を見比べる。「驚きました? 美羽さん、自分からお手伝いしたいって来てくださったんですよ」「本当に助かりますよねぇ」と、無邪気に続けた田中に、澪は小さく笑顔を作った。「……そうですか」 美羽は嬉しそうにバッグの中からエプロンを取り出すと、それを身に着けた。「今日はいっぱい頑張りますね!」 その小首を傾げるように笑った美羽の笑顔から、澪はそっと目を逸らした。 ◇ イベントが始まると、美羽は驚くほどよく動いた。「受付はこちらです」「名札はこちらになります」 笑顔。気配り。丁寧な言葉遣い。 子どもが転びそうになれば駆け寄り、高齢の参加者には椅子を引く。「美羽さん、本当に助かります!」 田中が何度も笑顔になる。「そんな、全然です」 美羽は照れくさそうに
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