「諦めるもんですか」 教会の扉を睨みつけながら呟くと、来た道を戻る。教会に来る途中、喫茶店の前を通った。そこで次の作戦を考えるつもりだ。 十字路を曲がり、人気のない細道に入る。寂れた建物の間にあるこの道は、薄暗くて気味が悪い。(こんな道、はやく抜けよう……) 人通りのある道に出たくて、千夏は歩を早める。だが1メートルも歩かないうちにヒールのかかとが外れ、バランスを崩して倒れてしまう。「きゃあっ!? ったた……。あーもう最悪!」 イラ立ちながらヒールのかかとを持って立ち上がろうとすると、誰かに背中を強く押され、アスファルトに突っ伏してしまう。「ヤラせろ!」 野太い声で発せられた言葉に、ゾッとする。初めての相手が強姦魔だなんて、冗談じゃない。「嫌! やめなさい! 離して!」 必死に抵抗して男の腕を引っ掻くも、後ろ手で手錠をかけられてしまった。無理やり仰向けにされ、乱雑にブラウスを破られる。男の顔を見ようとしたが、目出し帽で分からない。「いいカラダしてんじゃねーか」 馬乗りになると男は舌なめずりをし、控えめな千夏の乳房を揉みあげる。「いやあぁっ! 痛い! やめてってば!」「うるせぇ!」 潰れるんじゃないかと思うほど強く揉まれ、痛みのあまり大声を出すと、男は千夏の頬を平手打ちした。 数秒遅れてくるじんわりとした痛みに、自分がどれだけ屈辱的なことをされているのか再確認させられ、ポロポロと涙が零れ落ちる。(もう、死にたい……) 絶望感に打ちひしがれていると、男が悲鳴を上げて上半身を起こした。何事かと顔を上げると、男の後ろに人が立っている。逆光で顔は見えないが、見慣れたシルエットで誰だか想像がつく。「うちの先生が可愛いからって、みっともないことしないでよね」「末安さん!?」 茶化すような声が、頼もしく聞こえる。「邪魔すんな!」 男は立ち上がると成也に殴りかかる。成也は右にズレてかわすと、足を引っかけて男を転倒させた。「顔見せてよ、卑怯者さん」 成也は目出し帽を引っ張ると、スマホで写真を撮った。「クソ!」 男は負け惜しみのように喚きながら成也を突き飛ばすと、引き返した。「大丈夫?」 成也は千夏の横にしゃがむと、彼女を抱き起こした。千夏は震えながら何度もうなずく。「よかった、間に合って。って、何これ、手錠? しかもブラウス
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