奇しくも。瑛理香が流産をし、退院するのが一週間後。そして九条征哉主催のレセプションパーティーがその三日後。つまり、あと十日で九条征哉主宰のレセプションパーティーが開かれる。(今頃、瑛理香は病室で外商でも呼んでいるのかしら)私はそう思いながら、自ら選んだドレスの、最終的な選定を九条征哉に任せていた。九条征哉は私が選び出したいくつかのドレスを吟味している。「気に入ったものはあった?」そう聞くと九条征哉はドレスを手に取りながら言う。「どれも最高級品、美織に合わせて作ってあるものだ。しかも」そう言って九条征哉が私に振り返る。「美織を公の場所に連れて行く、初めての機会だからな」そう言って微笑み、またドレスの選定に戻る。(九条征哉がこんなに甘い男だったなんて、思いもしなかったわ)思えば私はここへ怯えながらやって来た。大雨の振る夜、雨に打たれながら私はここへ来て、体中の痛みを堪えながら九条征哉と対面していた。九条征哉はどこまでも冷たく、そして冷徹に私を見定めていたけれど。私がこの身を差し出す契約を取り付けた直後。意識を失っていくあの直前の、私の名を呼ぶ九条征哉は、今にして思えば、幻などでは無かった。ドレスの選定を楽しそうにしている九条征哉を見ながら思う。この人はきっと最初から、私を愛していた。そう感じ取る事が出来る程に、今、私に対しては甘い。「これにしよう」九条征哉が一着のドレスを手に取る。「分かった」私がそう言うと、九条征哉は他のものを見ながら言う。「残りもドレスルームに入れておけ」日下部さんが微笑み、頷く。「かしこまりました」九条征哉はソファーに座っている私の隣へと座り、私の肩を抱く。「瑛理香は今頃、病室に外商でも呼んでいるのかしらね」私がそう言うと九条征哉が笑う。「外商なんて呼べないさ、一ノ瀬瑛理香が入院している部屋は一般病棟の狭い個室だ」そう言われて私は九条征哉を見る。「一般病棟の狭い個室?」そう聞くと九条征哉が笑う。「あぁ、そうだ」そう言う九条征哉を見て察する。「あなたが手を回したのね?」そう聞くと九条征哉は上原さんが入れたコーヒーを一口飲みながら言う。「俺は別に何も。ただ院長に確認はしたが」そう言われて私は聞く。「確認?」そう聞くと九条征哉はコーヒーカップをテーブルに置き、言う。「特
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