手紙を握り締め、私は捨ててしまいたい衝動を何とか抑える。私の手から九条征哉が優しくその手紙を離す。「これは俺の方で保管しよう」そう言われて私は九条征哉の手を握り、言う。「えぇ、そうして」私が溜息をついてソファーに寄りかかると、九条征哉はその手紙を日下部さんに渡し、私の肩を抱く。「それで、美織はどうしたい?」そう聞かれて私は笑う。「別に、何も。こちらが何か行動を取るのが一番、華瑛を喜ばせるわ。それが怒りであっても不安であっても」こんな薄っぺらい手紙一枚で、まだ私をコントロール出来ると思っている華瑛に少し笑う。「さっきの廊下での命令のような声かけもそうよ。私をまだコントロール出来ると思っているのよ」自分で言いながら、以前の私だったら、あんな激しい命令のような呼ばれ方をしたら、何をおいてもすぐに駆け付けただろう。そしてどれだけ理不尽な事を言われても、反論する事無く聞き入れていたのだ。「もうお人形ごっこに付き合う気は無いわ」私がそう言うと九条征哉は私を見ながら目を細め、その口角を少しだけ上げる。「本当に美織は美しいな」そう言われて私は笑う。「そう?」聞き返すと九条征哉が満足そうに言う。「俺は強いものが好きなんだ。ただ守られているだけのお姫様に興味は無い」そう言いながら九条征哉は私の髪を梳く。「一番最初に美織が九条邸に来た時、お前はその瞳に強い炎を宿していた。復讐の炎だ。俺はそれに惹かれたんだ」私は九条征哉に寄りかかりながら言う。「復讐の炎、ね」九条征哉は私の肩を抱き、その肩を撫でながら言う。「さっきの廊下でのウィンクは可愛かったぞ」そう言われて私は笑う。「その余裕の返しと、余裕のある態度は、美織が自身の手の平の上で華瑛を転がしていて、すごく魅力的だった」九条征哉に寄りかかりながら私は九条征哉のジャケットの下に手を入れてその胸を撫でる。「あなたが居てくれるからよ」そう言うと九条征哉は自身の胸を撫でている私の手を握る。「俺はいつでもお前の傍に居る」そう言って私の手を取り、その手に口付ける。まるで誓いを立てるように。◇◇◇一ノ瀬家に戻り、私は和久井が戻って来るのを待った。和久井は上手く手紙を美緒自身に渡しただろうか。あの手紙を読めば、美緒だって黙っていない筈よ。あの子は一ノ瀬美緒なんだもの。家族という呪縛から
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