「……契約妻っ?!」「声がデカいぞ」「だって……まさか3回もそんなこと繰り返すなんて思わなかったから」アパート火災で紅を背負って出てきた俺は、京香が呼んでくれた救急車で病院に来た。すぐに紅の処置をして、その後軽い火傷をした京香の手当てをしながら紅との関係を問い詰められ……しかたなく本当のことを話したところだ。「……まぁ。出会っちゃっだんだから、仕方ないよな」俺だって、紅でなければ3回目はなかったかもしれないと、最近思う。ちょっといい女だと思った。どこかミステリアスで、物事を見抜くような強いまなざしを、気づけば目で追っていた。だが、契約結婚を匂わせたらすぐに乗ってきたから、これまでの女と同じだと思ったんだ。……結局、知らぬ間に復讐をされていたところを見ると、やはり俺の目に狂いはなかったというわけだ。「……私と結婚させられるの、そんなに嫌だったの?」「別に京香が嫌だってわけじゃないが、院長の言う通りになりたくなかったんだよ」「私とでも契約できたのに!1年で離婚してくれれば、お金なんかいらなかったよ?」承諾も紹介もなく結婚して1年で離婚して、それを2回繰り返した時、継父である院長は俺に言った。3回目は谷村京香と結婚しろ、と。「悪評がつかないように京香を使いたかったんだろ。別に俺を守るためじゃなく、病院の評判を気にしてのことだ」「だとしてもさ。言い方悪いけど、片桐さんの戸籍に離婚っていう傷をつけたのよ?これから普通に結婚していくだろう人に……」「趣旨は全部説明した。彼女もこの先結婚するつもりはなくて、戸籍が傷つくとか気にしてなかったんだよ?」……だとしても、と食い下がる京香に言ってやる。「京香こそ、戸籍に傷をつけたくないだろ?……颯真、帰ってくるみたいだしな」「……その件についてはノーコメント」「怒ってやれよ、思いっきり。どうして自分を連れて行かなかったんだ、って」京香とは同い年で、実家は院長の邸宅のごく近所だった。母の連れ子としてあの家に住むようになってから、よく顔を合わせるようになった幼なじみだ。 品行方正で、いわゆるお嬢様学校に進んだ彼女は院長のお気に入りで、両親と一緒によく家に呼んでは、俺や颯真に相手をさせた。そんなことから、京香は兄妹のような間柄で家族に近い。「付き合ってたんだろ?颯真と」「……いいよもう、そ
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