その日の夜。 自室で駿は、ベッドに腰掛けながら果奈と電話をしていた。◆◆◆「明日、果奈の県大会だったね。俺も部活をサボってでも見に行きたかったけど、大会を近くに控えてるから、さすがに行けないな」 すると電話の向こうから、少し強めの声が返ってくる。「もし、部活サボって大会見に行きたら、駿と別れるよ」「えぇっ!?」 思わず大きな声が出た。「そこまで言う?」 果奈は小さく笑う。「言うよ。駿が今までどれだけ頑張ってきたか知ってるし、そんな努力を自分から無駄にするようなことだけはしてほしくない」 その声は優しく、怒っているわけでも、意地悪を言っているわけでもない。 俺の夢を大切に思っているからこその言葉だった。 その気持ちが伝わってきて、自然と笑みが溢れる。「……分かった。ちゃんと部活に行くよ。」「うん、その代わりじゃないけど、ちゃんと守ったら、駿の大会、応援しに行くから」「本当に!?」 嬉しさのあまり、小さくガッツポーズを作ってしまう。 本当は来週、自分から誘おうと思っていたからこそ、果奈の方からそう言ってくれたことが何より嬉しかった。「駿がちゃんと守ったらの話だからね。あと、行けるとしたら、土曜日かな」「分かった。果奈が来るなら、もっと練習頑張るよ」 電話の向こうで、くすっと笑う声が聞こえる。「私関係なしに頑張りなさい」「はい……」「ちょっと早いけど、明日大会あるし、もう寝るね」「分かった。大会頑張って」「うん、おやすみ」「おやすみ」 通話が切れ、静かになった部屋で、スマホの画面だけが淡く光っていた。 そして、ベッドへ倒れ込むように横になる。(果奈が応援に来てくれる。)
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