「秋明様は、基本的1階で過ごすそうなので、2階は共同の寝室以外は好きにしていいとおっしゃっていました」「どの部屋が共同寝室なのかしら?」 質問をしてから、何故この話を1階でするのか疑問に思う。2階で話せばスムーズなのに。「好きに決めてくれて構わないとおっしゃっていました」「そう」 納得しながら返事をし、2階に行く。一部屋ずつ見ながら、どこを作業部屋にしようか考えると、年甲斐もなくわくわくした。 デザイナーという職業柄、常にスケッチブックを持ち歩き、どこでも描けるようにしてはいるが、自宅に作業部屋がほしいとずっと思っていた。 秋明は2階は共同寝室以外なら好きにしていいと言ったのだ。それなら、作業部屋を作っても問題ないだろう。 もちろん不安は未だに消えないが、せっかくだ、楽しまなくては損だろう。思い切って財閥の夫人という立場を楽しむのも悪くない。きっと秋明といれば、一般人では見れないようなものをたくさん見たり、触ったりできるはずだ。これはデザイナーとしての審美眼を磨くチャンスでもある。 いくつかドアを開けていくと、浴室があって驚く。浴室とトイレは1階にあった。トイレならまだしも、浴室までふたつあるだなんて、考えてすらいなかった。「すごい、お風呂がふたつあるだなんて……」「百合、あなた専用のお風呂じゃないの?」 藤子にそう言われ、ここでの生活を少しだけ想像してみる。疲れて帰宅して、2階に着替えを取りに行き、また1階の浴室に行く……。きっと風呂から出た時点で力尽きてしまう。 だがこの家には、2階にもある。疲れて帰宅してきても、すぐ風呂に入れるのだ。それだけじゃない。休日は1日中ずっと、2階に引きこもることもできるかもしれない。夢のような生活だ。「うん、いいかも……」 百合はスマホを出し、近い未来に来るであろう優雅な2階生活を夢見て、どの部屋に何を起きたいか書いていく。 すべての部屋を見て、どの部屋をどんな用途に使うか決め終える頃にはもう、12時を少し過ぎていた。「そろそろお昼にしましょうか。何かリクエストはありますか?」「そうね……」 顎に手を添え考える。昨日から今朝にかけて高級なものばかり食べていたせいか、少しジャンキーなものが食べたい。例えば、たこ焼きやお好み焼きなどの粉もの。ハンバーガーやポテトなどのジャンクフード。スーパーのお
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