澪に通話を切られ、聡祐は逆に興味が湧いた。多少気が強いほうが面白い。簡単になびく女では張り合いがない。聡祐は気にした様子もなく、もう一度かけた。蓮は、聡祐が何度も電話をかけていることには気づかず、声を落として彰人に言った。「澪、どうかしてるんじゃないか?征司に見せつけるために、陸原さんと付き合おうとしてるのか?」彰人は顔を曇らせたが、何も言わず、少し離れた場所にいる征司に目を向けた。征司はソファにもたれ、いつもと変わらない冷ややかな表情で、隣にいる紗耶の話に耳を傾けている。澪のことなど、まるで気にしていないように見える。澪は離婚を後悔し、征司の気を引くために、わざと聡祐と付き合おうとしているのだろうか。だからといって、そこまで自分を粗末にする必要があるのだろうか。「征司、止めなくていいの?」征司の隣に座っている紗耶が、声を潜めて尋ねた。そして、困ったように息をついた。「澪、少しやりすぎじゃない?」一応姉なのだから、心配する姿勢を見せておくのも不自然ではない。征司は長い指でグラスの縁をつまみ、軽く揺らした。「止めるって、何を?」澄んだ瞳は静かなままで、何の感情も浮かんでいない。紗耶が何を言っているのかさえ深く考えていないようだ。紗耶は口元に笑みを浮かべ、征司とグラスを合わせた。澪の話はそれ以上を続けなかった。「あとで海辺を散歩しない?二人だけで」一方、聡祐は何度も切られても、諦める様子はない。引き続きビデオ通話をかけながら、隣の誰かとグラスを合わせて酒を飲んでいる。ホテルの部屋では何度切っても鳴り続ける着信音に、澪もとうとう作業の手を止めた。彼女はペンを置き、知之と顔を見合わせてから通話に出た。画面に映ったのは、薄暗いバーの個室で、音楽は騒がしくなく、むしろ落ち着いた雰囲気だ。聡祐は澪が通話に出たことに気づかず、隣の誰かと話し続けている。「陸原さん?」澪が呼びかけたが、聡祐には聞こえないようだ。澪は通話を切ろうとしたその時、聡祐が何気なくスマホを動かし、カメラが偶然向かい側を映した。画面には、並んで座る紗耶と征司の姿が映っている。紗耶は一度こちらへ目を向けて、笑顔で征司の耳元に何かを囁いた。征司もわずかに顔を寄せ、その声を聞いている。二人の間には、周
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