でも、ほかの子はみんな、パパかママが来てるのに……澪は胸が締めつけられた。玲衣はいつも自分の気持ちを後回しにしてしまう。こんなささやかな願いさえ、恐る恐る口にするほどだ。「うん、約束する」彼女は胸の奥がやわらかくなる一方で、切なさも込み上げた。「ふん。なんだよ、あの悪い女じゃないか。あいつの親って、お前なんだ?」すぐそばから子どもの声が飛んできて、澪は眉をひそめ、そちらへ視線を向けた。律樹はすでに退院している。少し痩せたようにも見えるが、もともとの体格が大きいため、ほとんど分からない。回復も人よりずっと早いのだろう。今も澪の前で、いい気になって胸を張っている。澪は玲衣に尋ねた。「この子、同じクラスのお友達?」玲衣はこくりとうなずいた。「うん」まさか同じクラスだとは、澪も思っていなかった。征司が律樹を再びこの園に入れたと知ったとき、まさか顔を合わせることはないと思っていたが、よりによって同じクラスになるとは。澪は彼を相手にせず、玲衣の手を引いて少し離れた場所へ移った。さりげなく周囲を見回すと、玲衣に声をかけた。「玲衣、ママとゲームしない?」「いいよ!」玲衣は目を輝かせた。今日の保育参観に、律樹の保護者として誰が来るのかは分からない。念のため、澪は玲衣に言い聞かせた。「じゃあ、今から参観が終わるまで、ママって呼んじゃダメなゲームにしよう。最後までできたら、ママが一日休みを取って遊園地に連れて行く。どう?」玲衣はたちまち張り切った。「絶対に勝つ!」ママと二人きりで遊べる機会はめったにない。だからこそ、絶対にやり遂げたいと玲衣は思う。澪はようやく少し安心した。律樹と鉢合わせたのは想定外だった。あと一日で離婚が成立する。ここまで来た以上、慎重な澪にとって、少しの行き違いも許されない。玲衣の手を引いて教室に向かおうとしたとき、目の前にひときわ目立つ「家族三人」が現れた。大勢の保護者の中でも、征司の姿はひときわ目立っている。初めて来たとは思えないほど自然に紗耶と二人で律樹の両手をそれぞれつないでいる。律樹は誇らしげに胸を張り、得意げな顔をしている。覚悟していたはずなのに、征司と向かい合った途端、澪はどうしようもない後ろめたさと恐怖に襲われた。彼女は何も言わず、玲衣の手を
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