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第199話

Autor: 霧乃吟
自分は、征司が愛する女とのデートの合間に、ついでに相手をされていただけなのだ。

花火でさえ、紗耶と見るために用意されたものを、ついでに譲られただけだ。

澪は呆れて笑った。

征司はよくここまで手が回るものだ。

その見事な時間のやりくりには、拍手を送りたいくらいだ。

自分の誕生日を祝うと言っても、美佐子の前で体裁を整えるためだけだ。

もし澪が本気にしていたら、きっと途中で置き去りにされるだろう。

幸い、最初から何も期待していなかったから、今もさほど心を乱されずに済んでいる。

「何をぼんやりしている?」

背後から声がした。

振り返ると、征司は伏せ気味の目で澪を一瞥し、インターホンのモニターに視線を移した。

聡祐は立ち去る気配を見せない。どうやらこのドアが開かない限り、彼は諦めるつもりはないようだ。

扉ひとつ隔てた向こうには、聡祐と紗耶がいる。今ここで開ければ、一気に面倒なことになる。

少し考えた末、澪は単刀直入に言った。「ちょっと隠れて。しばらく寝室にいて」

もうすぐ離婚が成立する今になって、二人の関係が人に知られるような面倒事には巻き込まれたくない。

森宮夫人
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