黎月への復讐を始めたばかりの頃へ。この時なら、黎月も、柚乃も、誠もまだ生きている。――まだすべて間に合う!治正は一瞬も迷わず、用具室へ駆け出した。たどり着くと、数人の男子生徒が黎月へ次々とバレーボールを投げつけていた。ボールは容赦なく脚や腹にぶつかり、黎月は部屋の隅で体を丸め、頭を抱えて身を守ることしかできなかった。一瞬の隙を突いて、黎月は落ちていたボールを拾い、先頭にいた男子生徒の顔へ思いきり投げ返した。顔面にまともに受けた男子生徒は怒り狂い、黎月へ迫った。「このクズ女、よくもやりやがったな!」そう怒鳴ると、スパイクを履いた足で黎月の細い腕を踏みつけようとした。逃げ場のない黎月は、恐怖に凍りついた。その瞬間、誰かが男子生徒を勢いよく蹴り飛ばした。男子生徒は怒鳴り返そうとしたが、相手が治正だと気づくと、たちまち勢いを失った。「治正さん、俺たちはあんたの代わりに、この女を懲らしめてやってたんだ」治正の目が黎月に釘づけになった。治正は息を呑んだ。黎月は床にうずくまり、制服のスカートから伸びた白い脚には、青紫色の痣がいくつも浮かんでいた。治正と目が合うと、黎月は怯えたように視線をそらし、小さな体をさらに隅へ寄せた。「消えろ!」男子生徒たちは顔色を変え、慌てて逃げていった。治正は部屋の隅まで歩み寄り、手を差し伸べた。だが黎月は反射的に頭を抱えた。わずかに身を引くその姿が、治正の胸を深く抉った。喉を詰まらせながら呼びかけた。「黎月、ごめん。遅くなった」拳が落ちてこなかったことが信じられないのか、黎月は驚いた顔で治正を見上げた。「治正、今度はどうやって私を傷つけるつもり?」治正は黎月を抱き上げ、声を上げて泣いた。「もう二度と傷つけない。これからは、誰にも傷つけさせない!」治正の目には、強い決意が宿っていた。腕の中の黎月を、強く抱きしめた。黎月は全身をこわばらせた。これも治正が思いついた新たな復讐だと思っていたのだ。その拒絶も震えも、治正には痛いほど伝わってきた。それでも、まだ間に合う。時間をかけて謝り、罪を償えばいい。治正は全校生徒の前で、黎月は無実だと宣言した。それでも黎月は、治正が優しくするたびに身構えた。数日後、刑務所から出てきた誠が迎えに来て、ようやく黎月は、これ
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