レセプション会場を後にしてレストランへ向かうときも、麻奈は蒼生の腕をしっかり握っていたし、「何でも好きなものを食べたらいいよ」と蒼生に言われてお腹いっぱいに肉や魚を詰め込んだ後、レストランを出るときもまた蒼生の腕を求めた。 「お風呂に入って来るね」 自宅へ戻り、麻奈が浴室へ消えると、蒼生はネクタイを緩めてソファに体を投げ出した。 「……保守的な世界だからな。新参者を嫌う」 天井を見上げる。 ……可哀想に。俺がもっとしっかりそばにいてやらなきゃいけなかったのに。 ——蒼生、お前が沙雪を守れるんなら、俺は喜んで預ける。 ため息をついたとき、間宮の声が聞こえた。 ……ふざけるな。俺じゃダメなんだよ。沙雪にはお前しかいなかったんだ、間宮。お前だけ。生涯に……一人。 蒼生は目を閉じた。だいたい間宮、お前が思ってるほど楽な世界じゃない。今日みたいなことはいくらでもある。 ふと腕に麻奈の温もりを感じて、蒼生はそこに目をやった。今夜は、ずっと俺の腕を欲しがっていた。あんなふうに理由もなく侮辱されて。どれほど悔しかったか。俺の不注意で麻奈が傷ついた。 ……麻奈。俺がお前をこの世界に連れて来た。だから守ってやる。せめてもの……責任として。必ず。 閉じた瞼の奥でバーガンディの色が揺れた。翻るドレスと、きらめくゴールド。深いバラの色に塗られた唇。 「蒼生?」 目を開けると、麻奈が覗き込んでいた。白いナイトガウンを羽織って、束ねた洗い髪は背中に垂れている。 「……あ……ドレス、脱いじゃったのか」 少し残念そうな顔をして起き上がった蒼生に、麻奈は笑って体を預けた。両腕を首に回して、蒼生の胸に頭を預ける。 「お風呂に入るって言ったのに」
最終更新日 : 2026-08-23 続きを読む