麻奈は沙雪を見つめた。真っ白な肌。鼻筋が通り、形の良い唇から笑みが溢れている。ここに見える仕草だけでも、品の良さが伝わる。それを裏付けるように、白いレースに縁取られた若草色の柔らかなワンピースが、沙雪の体を包んでいた。「……最初はね、どきっとしました。沙雪ちゃん、こっちに来たのかなって」 中田はスマートフォンを覗き込んだ。「でも、すぐに人違いだってわかりましたよ。ほんとにごめんなさい。こうやって見ると、麻奈さんは全然違いますね」「……いいえ……」 麻奈の目は沙雪ではなく、蒼生に注がれていた。沙雪を見つめるそのまなざしに。……優しい……目。私が……大好きな、蒼生の……目。「それでね。これが間宮と沙雪ちゃんの結婚式」 中田は、写真をスクロールした。そこには、早野が引き出しに隠していたあの写真があった。「間宮と沙雪ちゃんの実家の方で式を挙げたから、俺がSNSに載せたんですよ。蒼生も、あんなに仲が良かったのに仕事があるって出席しなかったし」 中田は懐かしげに写真を見ていたが、やがて麻奈に目を向けるとにこりと笑った。「沙雪ちゃん、綺麗でしょ。変人で、研究室に籠りっぱなしで、ろくに人付き合いもしなかった間宮がよく結婚できたな、って」 中田はくすくす笑った。「沙雪ちゃん、俺たちのアイドルだったのに」「……蒼生は……沙雪さんが……好きだった……?」 写真から顔を上げた麻奈を見て、中田は笑いを少し抑える。「蒼生だけじゃない、俺たちみんな狙ってましたよ。優しくて、いい子で、綺麗だし彼氏もいなかったから」「……でも……この間宮さんと結婚した……?」「そう、七不思議」 中田はまた笑った。「間宮の奴、どこでどうやったんだか、大学を出てすぐに結婚しちゃった。元々同級生だったけど、あいつのアドバンテージってそれしかなかったのに」 麻奈はもう一度写真を見た。ウェディングドレスを着た沙雪の顔は喜びに輝いていた。間宮は照れくさそうな、だが誇らしそうな顔で並んでいる。……沙雪さん……間宮さんのことがほんとに好きだったんだな……。 麻奈は唇を噛んだ。……私の……
最終更新日 : 2026-09-12 続きを読む