All Chapters of 魔葬少女【連載版】: Chapter 11 - Chapter 20

88 Chapters

第十一話

第十一話────────「先輩の手って温かいですね」「テメェが冷てぇんだろうが馬鹿ガキが」「先輩に怒鳴ってもらえるのもこれが最後なんですね…………寂しいな」「んなこと言うな!! オレがテメェを死なすわけねぇだろうが、そんなに怒鳴ってほしいならいつでも怒鳴ってやる。……だからオレの前からいなくなるな」「……せっかくなら、録音してればよかった。……最後に一ついいですか」「最後とか絶対に言うな!」「……一人称を僕に変えてもう一回聞かせてください」「……また変なこと頼みやがって馬鹿ガキ…………絶対に聞き逃すなよ」オレは彩花(あやか)の頼みに答えた。だが、これで最後にさせるつもりははなからねぇよ!「録音……出来……た」彩花はどこまでいっても……彩花だった。何が録音だよ、こんなことでいいなら僕がいつでも言ってやるよ。「おい…………おい、返事しろよ。何死んだフリしてんだよ、おい……馬鹿ガキ!!」僕がどれだけ起こそうとしても馬鹿ガキはまぶた一つ動かしゃしねぇ「……あれが最期の言葉かよ。……っとに彩花(あやか)は馬鹿だよな。……僕より先に死ぬんじゃねえよ」彩花が死んで少し経った時、僕は身体の異変に気づいた。「なっ、なんだよこれ!!」僕の肉体が溶け始めたのだ。「まさかこれって美琴(みこと)のとこで起きたやつと同じ現象かよ!!」僕はこんなところで死ねねぇんだよ「僕は彩花との約束を、絶対に守らねえといけねぇんだよ!」僕と彩花の約束、それは絶望をこの世界から無くすこと。それを叶えるまでは、死んでられねぇんだ────────「二人のせいで無駄なことを思い出した。二人とも、いちゃついてないでとっとと行くぞ」「「いちゃついてなんてない!!」」アイツにどこに行くのか問い詰めると訓練所とだけ言って僕たちを置いていった。訓練所と言われても僕も利根島さんも場所を知らない、なのに置いていかれても困るんだけど、ほんとにアイツは……もういいや、香澄さんに聞こう。僕は利根島さんを香澄さんと初めて出会ったコンビニに連れて行った。ピロピロピロピロン「いらっしゃいませ〜」やっぱりこの時間にはいないか。僕と利根島さんは休憩ついでに飲み物を買うためにレジに並んだ。レジの店員さんは僕と利根島さんの顔を何故かじーっと見てくる。「次の方どうぞ」「「お願
last updateLast Updated : 2026-08-04
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第十二話

第十二話「二人ともお待たせ〜」水本さんは手のひらサイズのぬいぐるみを持って走ってきた。「見てよ二人とも、これさ今コラボしてる"まほアン"のグッズなんだよ! 二人分も買ってるからね」まほアンとは日曜日の午前九時に放送されているアニメ『魔法少女アンラクシー』で世間でもだいぶ賛否両論分かれている作品だ。ニチアサに放送するにはダークすぎる内容と多数登場する豊富な属性の美少女キャラ、放送コードすれすれの描写が賛否を分けているアニメだ。……父さんが原作として関わってる作品だから見たことはあるけど、今の僕たちの状況とだいぶ似てる部分があるから複雑な気持ちになる。「そういえば私さ、このアニメ見てて思ったんだけど、魔葬少女の状況に似てる描写あるから感情移入が出来すぎるんだよね〜二人なら分かってくれるよね!」僕は水本さんの質問にこくりと首を縦に振った。利根島さんはよく分からないと言いたげな顔で僕を見つめてくる。「もしかして利根島さん見たことない? ならこの後家で三人で見ようよ。私の魔法のことも教えるからさどう?」僕は利根島さんに行こうと合図し、利根島さんも応えてくれた。「そいうことなら早速、お二人さんを我が家へご招待〜」水本さんの案内で僕と利根島さんは水本さんの家に向かった。「たっだいま〜。友達連れてきたよお姉ちゃん!!」扉を開けてすぐ水本さんがものすごい声量で僕たちの耳は一時的に機能しなくなった。僕はすぐさま回復魔法を利根島さんに使った。今まで忘れていたことがある。一度だけ水本さんのお姉さんは僕たちの体育祭にきたことがある。その時に水本さんのお姉さんの名乗った名前、それは水本愛海(みずもとまなみ)だ。可能性があるのなら、香澄さんの恋人ということになるのではないか?かなり強引なこじつけなのは分かっている。正式な魔葬少女になるためには僕も朱莉も強くならないといけない。感情を削ることになったとしても。僕が考え事をしていると利根島さんは僕の耳を治してくれた。その後開かれた扉の向こうで僕たち三人が見たのは、香澄さんと水本さんのお姉さんの愛し合う光景だった。「ごめんお姉ちゃん今すぐ出て行くから、楽しんでね!!」まあ恋人なんだしそういうこともするよねとは思いつつ……訓練所のことを誰に聞こうと思い悩む僕であった。「さっ、さささてお二人さん…
last updateLast Updated : 2026-08-05
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閑話

閑話今日は美月を焼肉にお誘いいたしましたわ!今回こそは少しでも仲良くなってみせますわ!!「繰り返し言いますが、美月これはあくまでもコンビとして戦いを有利に進めるため仕方なくですわよ」「分かってる。楽しみにしてる」「みみみ美月が楽しみにしてるって……夢かしら? ……痛いですわ。美月今楽しみにしてるって言いましたか!?」「言ったよ。どうしたの?」これは大きな前進ですわ、あの美月が楽しみと言ってくれるなんて……これは良いことが起きる予兆ですわよね〜。「葵、ニヤけすぎ。顔がだらしない」「私、そんなに顔に出ていますの!? 気をつけますわ」ニヤけすぎないように気をつけていたら「もうついてしまいましたわ!?」私が予約した焼肉屋は他の焼肉屋よりブロッコリーが美味しいお店なんですのよ!「いらっしゃいませ、何名様ですか」「二名ですわ!!」私と美月は奥の座席に案内されましたわ。「美月が先にメニューを決めていいですわよ。来る前から私はもう決めていますから」「それなら、そうさせてもらおうかな」私はブロッコリーを注文することは予約時点で決めておりました。美月が注文したのはホルモンでしたわ「美月って噛みごたえのあるお肉が好きなのですか?」「どうだろう? 前に食べた人は歯応えがあったけど」「そうなんですのね、前に食べた人…………人? 私以外の誰かと食べに行きましたのね!!」「そういうことでいいよ」「いつ行きましたの!?」私が美月に質問すると「三ヶ月ぐらい前」という答えに、少し寂しくなってしまいました。「……ねえ美月、誰と食べに行きましたの?」「柊さんとだけど」「誰ですの?」しかし私以外に美月をご飯に誘う人が居たのですね。「どこに行きましたの? 次はそこに二人で食べに行きますわよ!」「どこって霜月邸」「霜月亭ってあの料亭ですわね。その柊さんって方分かってますわね」「葵にそのことを謝りたいと思ったの」「謝る、どうしてですの? 美月に友達がいるのは良いことだと思いますわよ」「そうじゃなくて、私が葵のお母さんをこ」コト「ホルモン、ブロッコリーお待ちどう!! 今ならご飯無料ですよぉ、どうされますか!」「当然食べるに決まっていますわ!! 美月も食べますわよね」「う、うん」今日の美月はよく話してくれますわね。美月が母上と知り合い
last updateLast Updated : 2026-08-06
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第十三話

第十三話「どうだった、面白かったでしょ!!」水本さんは勢いよく僕と朱莉に聞いてきた。朱莉は首を縦に振って示したけど、僕は内容全部知ってるから反応に困った。「秋口さんは面白くなかったの?」僕はもう正直に言って楽になろうと覚悟を決めた。「実はこのアニメに父さんが関わってるから内容全部知ってる。しかもこの先も」それを聞いた水本さんは三秒ほど動かなくなった。脳内でポクポクポクチーンみたいな音が聞こえてくる。「……えっ、マジ?」「うん、本当」水本さんは父さんについてとかアニメの感想とか……色々聞いてくるから、結構答えるのに疲れた。「……水本さんはこれで満足? 流石に疲れた」「風香ちゃん、お疲れ。何か飲み物いる?」「ありがとう朱莉、ミルクティーが欲しいかな」「うん、ミルクティーだね。美咲さんは何が欲しい?」「私はプロテイン入りのカフェオレがいい。それとチキンも欲しいなぁ。お金は私が出すから、お願いっ!」水本さんはそう言って利根島さんにお金を渡した。「行ってくるね。二人とも」「いってらっしゃ〜い」利根島さんが部屋を出てから水本さんは豹変した。「ねえ風香ちゃん、朱莉ちゃんのことどこまで知ってるの? ねえ、答えてよ風香ちゃん。朱莉ちゃんのこと好きなら分かるよね」「急に何、水本さん」「朱莉ちゃんにお姉さんがいることは当然知ってるよね」……朱莉に姉妹がいるなんて、聞いてない。「その動揺具合は知らなかったんだ。私知ってるよだって……相方だからね。私ね本当は知ってるんだ朱莉ちゃんが誘った影響で二人が魔葬少女になったことも…………」「な……んで、知ってるの水本さん」「朱莉ちゃんのお姉さんを調べる過程で見ちゃったんだ。それをお姉ちゃんとすみ姉の契約霊に伝えたら私と朱莉のお姉さんを雛にしてくれたんだ。ちゃんと朱莉のお姉さんには全部堕ちることも説明した上で同意してくれたから安心して」水本さんってこんなにやばかったの?いや魔法に使う感情が独占欲なら……これぐらいでもおかしくはないか。「朱莉のお姉さんのこと教えて」僕も随分と……この環境に慣れてしまった。大切な人の家族の命が危ない目に遭っているのに、淡々と教えてとか言えるようになってしまった。これで元の生活に戻れても僕はまともにいられるのだろうか。朱莉と一緒に元の生活に戻る。そう誓っ
last updateLast Updated : 2026-08-06
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閑話その2

閑話その2 「……はぁ、はぁ、なんの冗談なの蛍(ほたる)ちゃん!!」 「冗談? 日暮(ひぐらし)さんが願いを叶えてくれないから当然でしょ」 「当然って何よ……なんで私を殺そうとするのよ蛍ちゃん!!」 「だ〜か〜ら〜、さっき答えたでしょ。私の願いを叶えてくれなかったって!!」 「その願いってなんなのよ、私聞いてないよ」 「はっ? 何それ、私話したよね死にたいって……それを否定したのは日暮さんでしょ」 「否定なんて、してない」 「アンタは否定したのよ! 私が死にたいって言ったら『普通に生きてたら思わないよ。大丈夫だよ蛍ちゃんは普通なんだから』っさ……私の身体の傷を見てもよくそんなこと言えるよね! 私は普通じゃないんだよ……楽になりたいんだよ。こんな地獄生きてるだけ価値がない。……だから必ず死ねる魔葬少女になったの、死ぬ前に誰かの役に立ちたかったから」 「……じゃあなんで私を殺そうとするの? 私は生きたいの……弟がやっと産まれたのに、まだ顔も見れてないのに……お願いだから、殺さないで、まだ死にたくないよ」 「ここで死ぬことは決まってるの。"惑て狂いて踊りまわれ、怨念奏樹(おんねんそうじゅ)"」 「蛍ちゃん、それだけはやめて……殺すなら普通に、痛みなく殺してよ。嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁ!!」 「さて次は誰を殺そっかな〜、魔法を使ったら感情が減るって聞いたから魔法使いまくってるのに"自殺願望"が減らないじゃん。せっかくなら道連れは多くほしいなぁ……はぁ、なんで私生きてんだろ。良いなぁ日暮さんは死ねて……私も死にたい」 「ゴギァァァ!!」 「あっ、魔物だ。今度こそ私を殺して!!」 ドン……グチャ 「潰すだけじゃダメだよ。魔法が勝手に再生させるんだから。ほんと嫌になるよ死にたいって思うほど死ねなくなる魔法なんて……君は私を殺せないみたいだから、私が成仏させてあげる、羨ましいなぁ」 死にたいって言い続けたら契約霊にも見限られて結局一人……誰か私を殺して。 次は誰にしようかな、殺してくれそうな人がいいな。 確か最近顔合わせした雛がいるみたいなこと噂で聞いたけど、感情が極端に薄すぎる子がいるんだったよね。 その子なら私を殺してくれそうだなぁ、探してみよっと。 ……いつかは誰かに必要とされたい、
last updateLast Updated : 2026-08-07
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第十四話

第十四話「葵、危ない。今すぐ避けて」「なっ、なんですの美月、そんなに慌てて」慌てる、美月が慌ててるですって!?「明日は嵐かしら」「そんなの言ってる場合じゃない。葵、アイツを見て」美月が指を指した先にいたのは女の子でした。「あら、可愛らしい少女じゃないですか。何が危な……」私が近づこうとした時、彼女のおどろおどろしい怨念のようなものがハッキリと目に見え、襲ってきましたの。「アイツ、自分が魔物に堕ちてるのに気づいてない」「そういうことってありますの?」「ある。普通は魔物に作り変える過程で身体と精神が溶ける。だけど抱いた未練と感情によっては精神だけ溶けないケースもある」「それで人型なのかしら?」「アイツの場合は…………人間として、死にたい……って」美月の様子がおかしいですわね「どうされましたの?」「いや、似たようなことを最近感じたから」……美月がものすごく喋りますわね。中身が誰かと入れ替わったのかしらと疑問に思いたくなるほど、お喋りになりましたわね。焼肉以降お喋りになってきたとは感じていましたが……良いですわねぇ!本当に良いですわ、こんなにお喋り出来る日が来るなんて……思いもしてませんでしたわ。「何を泣いてるの葵?」「……美月とこんなにお喋りが出来る日が来るなんて私、思ってもみなくて感動致しましたわ!」「そういうのは後、今は目の前に集中」「それにしても美月は魔物に関して詳しいのですわね?」「まあね、私が魔物だから」「……今なんて仰いましたか?」「私が魔物だから、分かるって」とうとう美月の頭がおかしくなりましたわ。「美月が魔物であろうがなかろうが、私にとっては些細なことですわ! 今はこの方を私たちで成仏させてあげましょう!!」「……葵、ありがとう。それから…………本当にごめん」「何について謝ってるのか知りませんが、美月が仰ったのですわよ、目の前に集中と」「そうだったね」なんだか、これこそコンビって感じがして最高にワクワクしますわ〜!!「葵、今はワクワクしないで。彼女に失礼」「わっ、分かりましたわ。彼女の望みとかは美月の方で分かるのですか?」「うん、彼女は死にたがってる。……彼女は死ぬために魔葬少女になったみたいだから」「……死ぬために魔葬少女に、一体どんな人生を送ってきたのかしら。でしたら美月と私で
last updateLast Updated : 2026-08-07
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第十五話

第十五話私は葵に隠していることがある。葵が魔葬少女になったきっかけであり、魔法の感情の飢えを作り出したこと。私は葵のお母さんを殺して喰らったこと。葵にお母さんのあんな残酷な姿を私が見せてしまった。あの頃は感情が無に近かった、だからなんとも思わなかった。そんなのただの言い訳だと、分かっているのに今になって胸が苦しくなる。"人間らしく扱ってもらいたい"私の未練を葵が満たしてくれた。そのおかげで少しずつだけど、感情を取り戻してきているのが実感としてある。葵には私の過ちを知った上で今まで通り接してほしい。だから私は焼肉の時に葵に伝えようとした。葵は私が魔物だと言っても些細なことと言ってくれた。私にとってその言葉が感情を取り戻してくれる。葵を堕とさせるわけにはいかない、絶対に。たとえ私が再び感情の無い魔物になっても、葵だけは私が守る。そして最期は葵に成仏させてもらう。葵以外は受け入れない。「美月、魔を取り込みすぎではなくって!?」大丈夫、葵のためならこれぐらい「なんともない」葵は私がお母さんを殺したことを知ったら……どうなるのかが分からない。受け入れられなくても葵が私にしてくれたみたいに、私から少しずつ歩み寄ろう。「蛍っていうんだね。安心して、貴女の願い通り私が殺すから。"傀儡の心(マリオネットゲミュート)"」今なら私がどの感情を使っているのか理解出来る。"期待"だ。傀儡のように心のなかった私に葵が心を与えてくれた。葵なら私の知らない世界を見せてくれる。たとえどんな形でも満たされることは今の私でも理解出来る。「この痛み、ようやく……ようやく願いが叶う。やっと……やっと死ねる」蛍の最期の言葉を私はメモに残した。彼女が精一杯生きた証になればと考えたからだ。考えたから……ね、人間みたいになったけど、肉体は魔物なのは変わらない。人間を裂くことだって造作もないほどの身体能力だってある私が人間らしくなった。おかしな話だ。葵と一緒に蛍を成仏させた私はある提案をした。「葵、ご飯食べに行かない?」その時の葵の表情ときたら、餌を求めて口をパクパクさせる鯉みたいで……葵の言葉で言うと愛いかった。「みみみみみみ美月から、ごごごごご飯のお誘いですわ!! ふぁあ」バタン「葵!?」葵は私に誘われたのが嬉しかったようで気絶した
last updateLast Updated : 2026-08-07
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第十六話

第十六話美月からご飯を誘われたのですから、いつも以上に張り切りますわよ!!きっと今ならお好きな食べ物の質問すれば詳しく答えてくれますわよね!!「こほん、美月の好きな食べ物を教えてもらえませんか?」「そんなに改まってどうしたの?」「口数の増えた今ならもっと詳しく聞けると思いましてね」その質問に美月がお肉以外を答えてくれたのですわ〜!!「カリフラワーかな」「惜しいですわね!!」「惜しいって何? ちゃんと答えたでしょ」「そこはブロッコリーですわよね!! カリフラワーが美味しいのは認めますわよ、否定はしませんわ。もしかしてですけれど美月は甘いものが好みなのですか?」カリフラワーはブロッコリーより甘いですし、もし他にも好きな食べ物が甘いものでしたら……私とも好みが合いそうですし…………やっぱり嬉しいですわ!!会話が増えたのもそうですが、美月から話してくれることもご飯に誘ってくれることも……共にいられるこの時間そのものが幸せというものなのでしょうか。ですが、やはり……母上ともこんな時間をまた過ごしたいですわ。母上を殺した輩を絶対に許しませんわよ、必ず地獄を見せた上で殺してやりますわ、母上から頂いたこの霜月葵の名にかけて。そのために私は魔葬少女になったのですから。母上を殺した輩がどこにいるのか分からないですし、美月とのご飯を楽しみますわよ〜!!探すのはその後に致しましょう。「カリフラワー以外には何かあるのですか?」「ホワイトチョコとか好きかな、甘すぎるのは苦手だけどね」「甘すぎるのは苦手と……メモメモ。他には何かございますか? 今美月が言える範囲でよろしいので教えてくださいませんか?」楽しいですわ。お友達とご飯に行くこと自体あまりありませんでしたし、誘っていただいたのは今回が初めてですわ!「時々お酒も飲むよ」「……お酒ですって!? 美月貴女一体何歳ですの!?」「二十四だけど(十八歳の時に魔物に堕ちたから人間としては飲んだらダメなんだけどね)」「にににに二十四ですって!? てっきり歳下かと思ってましたわ。私より五つも上だったとは……今までの数々のご無礼な言動・行動をお許しくださいませ」まさか歳上だったなんて思ってもみませんでしたわよ!!これだと今まで通りにしても良いのか分かんないじゃない、もう!あら、いけませんわね。少し口
last updateLast Updated : 2026-08-08
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第十七話

第十七話葵と一緒に予約した店に向かっているのを、柊さんに見つかってしまった。「あれ〜二人とも、あたしを置いてどこ行ってるの?」「どこって、そんなの決まってますわよ。ご飯ですわ!!」「そういうことだよ、ひ……」ちょっと待って、今柊さんと呼んだら葵に焼肉屋の話そうとしていた件で気づかれてしまう。あのことはちゃんと私自身の口で言いたい。「私と葵はご飯を食べに行くだけだから気にしないでミコト」……そもそも柊さんにとって私の感情が戻ってきているのは、柊さんの計画に好都合なのではないか。「ふーん、そういうことなんだ。面白いことになってるじゃん」「何が面白いのですかミコト?」葵それ以上はやめた方がいい、その言葉が喉元に詰まって出てこなかった。柊さんは私を見て満足した笑顔をしていた。私はその意味を理解して柊さんを全力で殴った。「もう美月危ないよ、身体無くなっちゃったじゃん」「ミコトが口を開くとろくなことがない」「心外だなぁ、そんなに元相方のことを信用出来ないの」「っだから口を開くな!」「何よそれ、美月……何かの冗談ですわよね?」「うん、そうだよ冗談だから安心して葵」上手く嘘がつけているか分からない。感情を取り戻してきたのに、なんで葵に嘘をつかないといけない。「事実なのですわね、美月の顔を見れば分かりますわ。まっ、まあ美月が魔物なのでしたらあり得る話ですわよね」「へー、そこまで話してるんだ。それなら葵、これは知ってるの?」まさか……ダメ、それ以上は。「葵は復讐相手に会えないって嘆いてたけど、実はもう会ってるんだよ」柊さんのこの言葉を聞いた葵の表情は今まで見たことのないもので……私は伝えるのが恐ろしくなった。「そいつは今どこにいますの、今すぐ教えなさい!!」柊さんは、私を指差し「そこ」とだけ答えた。私を見た瞬間の葵は柊さんのことを信じてなかった。「美月がそんなことするわけありませんわよ。ついていい嘘といけない嘘の区別もつきませんの?」私は、葵の信用に応えられない。葵のお母さんを殺した事実は絶対に消えない。「あたしは嘘なんてついてないよ。最初に伝えたでしょ『契約すればお母さんを殺した相手に復讐出来る』って、だから美月を連れてきたんだよ」「アンタそれ以上美月のことを貶める言葉をほざいてみなさい、私が殺すわよ」「貶めるな
last updateLast Updated : 2026-08-09
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第十八話

第十八話 水本さんの家での出来事から一日が経ち、僕と朱莉は学校にいる。 そんな僕と朱莉は今、盛大に困っている。 なぜなら新聞部の琴桐沙知(ことぎりさち)さんに問い詰められているからだ。 「風香くん、朱莉くん、君たちはここ数年に目撃情報が増えている化け物の正体を知っているね」 琴桐さんの出す新聞には僕も興味を示すものが多い。 普段なら右から左に流すオカルト関係のものでさえ……不覚にも面白いと感じたことがある。 「風香くんと朱莉くんは知ってるのだろう。変身までしているのだから」 琴桐さんは僕たちについてどこまで知っているのかという疑問を利根島さんも抱いたようで僕より先に琴桐さんに質問した。 「琴桐さんはどこまで知ってるの?」 利根島さんの質問に琴桐さんは顔色ひとつ変えず僕たちの秘密を話し始めた。 「どこまでって言われてもあまり知らないよ。二人が魔葬少女だとか雛だとか顔合わせをしたとかは知らないよ」 それを言われて知らないよが通じるわけがない。 水本さんといい琴桐さんといい僕と利根島さんの秘密を知りすぎ。 これからは他にも知っている人が大勢いると仮定して行動した方がいい。 しかし琴桐さんの人脈や情報網があればこの状況を変える"何か"が得られる可能性がある。 その何かで朱莉と元の生活に戻れるかもしれないのなら僕はそれに賭ける。 「琴桐さんは僕たちのこと大体知ってるってことであってるよね、だったら協力して……僕の知ってる情報で伝えられる範囲なら伝えるから、どう?」 たとえ伝えては行けない情報だとしても、朱莉を失わずに済むのなら僕はそれでも構わない。 琴桐さんは納得いかないといいだけな顔で口を開いた。 「それだけだと弱いかな。交換条件にしたいなら風香くんのお父さんを取材させてよ。それが出来るなら協力してもいいよ」 父さんは魔法少女アンラクシーで描いたように、僕たちに似ている何かを知っていてもおかしくはない。 その時は『友達が父さんのことを知りたいんだって』とでも言って話をさせよう。 巻き込む形になるかもしれないけれど、父さんは許してくれるはず……無理な場合は僕が父さんのネタにでもなろう。 それだけで琴桐さんの協力が得られるならと僕は父さんの許可なしで取材を了承した。 「風香くんは自分のお父さんのことってどれぐらい知っているのかい
last updateLast Updated : 2026-08-10
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