「君たちをここへ誘導したのは――俺だ」 榊の言葉と同時に、ノアの身体が硬直した。《NOAH拘束率:42%》「ノア!」「近づかないで……ください」 美香が榊を睨む。「ユウキの仲間だったんでしょう?」「ああ」「だったら、どうして!」 榊は唇を噛んだ。「俺には家族がいる」 端末に一枚の写真が映る。 妻と、小さな男の子。「ORACLEに言われた。NOAHを渡せば家族には手を出さない。拒めば危険人物として登録する、と」「そんな……」「俺はユウキみたいに強くなれなかった」 榊が拳を握る。「四年前もそうだ」 ノアが顔を上げた。「四年前?」「ユウキがORACLEの不正を告発しようとしていると――俺が報告した」 美香の表情が凍る。「じゃあ……ユウキが殺されたのは……」「俺のせいだ」「違います」 ノアが即座に否定した。「あなたは情報を渡した。しかし、ユウキさんを殺害する決定をした者は別にいる」「慰めてるのか?」「事実を分類しています」 ノアは苦しそうに、それでも榊を見る。「ですが、あなたが裏切った事実も消えません」「……そうだな」《拘束率:71%》「ノア!」 美香が彼の手を握った。「美香さん、離れて」「嫌!」「私が停止すれば、あなたまで――」「また一人で背負う気?」 その言葉にノアが黙る。「ユウキもそうだった。榊さんも家族を一人で守ろうとした」 美香はノアを見つめた。「だから、あなたまで同じことしないで」《拘束率:86%》 榊が目を伏せる。「……本当に似てるよ、美香さん」 次の瞬間。 榊が拘束端末を床へ叩きつけた。《CONNECTION LOST》 ノアの身体が自由になる。「榊さん……?」「二度も同じ人間を裏切ったら」 榊は苦笑した。「もうユウキに会わせる顔がない」 研究所のロックが解除される。「地下通路から逃げろ」「あなたは?」「時間を稼ぐ」「一緒に来てください!」 美香の言葉に、榊は首を振った。「まだ俺にできることがある」 警報が鳴り響く。《緊急命令発令》《自律型感情AI・一斉回収》 ノアの表情が変わった。 研究所だけではない。 街中のネットワークに同じ命令が流れている。《対象AI:発見次第、強制停止》《抵抗個体:廃棄許可》「これは……」 榊
最終更新日 : 2026-09-05 続きを読む