静かにハーブティーをのむ東雲さんの横顔に、私は思わず見とれてしまう。 胸の奥になんだかざわめきを感じてしまうけれど、これはいったいなんだろうか。 いつも通り穏やかで優しい東雲さん。 顔立ち、いいよね。会社の社長で、でも家にいる時はそんな様子を見せなくて。 さくらちゃんの良きパパで。 けれど、なんだか今日の彼はいつもと少し様子が違うような気がする。 私を見る目にどこか、違和感があると言うか。熱っぽく見えるのは何故だろうか。 勘違い? それとも……「東雲さん……?」 唇から零れ落ちるように彼の名を呼ぶと、ハッとしたような顔をしてこちらを向いた。その瞬間、視線がしっかりと絡み合う。 東雲さんは誤魔化すように笑って、 「あ、ええと……すみません、ぼーっとしてしまって」 と言って、照れくさそうに笑い、手にもつマグカップをテーブルに置いた。 その手がなんだか少しだけ震えているように見えて、私はまばたきを繰り返す。 やっぱり東雲さん、様子がおかしいような。 何だろう。私の思い過ごしなのか。それとも……? 疑問に思った時、静かな声が響いた。「有藤さん」 名前を呼ばれ、私の心臓が小さく跳ねる。 とても真剣なまなざしが、私を射抜いて、さらに鼓動が早くなっていくのを感じた。 どうしよう。私、今何を感じているんだろう。 戸惑う私に、東雲さんは穏やかな笑顔で続けた。「俺、有藤さんがここに来てくれてから、毎日がすごく変わったんです。さくらの笑顔が増えたのはもちろんですけど……俺自身も、家に帰ってくるのが楽しみになりました」「東雲さん……」 東雲さんの告白に、身体の奥が熱くなるのを感じる。 すごく嬉しい。 私がいることでそんなふうに思ってもらえるなんて。思わず笑みがこぼれてしまう。「だから、その……元旦那さんとのことが解決しても、有藤さんがよろしければその……」 そこまで言って、東雲さんは急に黙り込んでしまい顔を伏せた。 よろしければ、なんだろう? 不思議に思って私は首を傾げ、彼に尋ねた。「あの、よろしければ、何ですか?」 私の問いかけに、東雲さんはばっと顔を上げてなんだか赤い顔で首を横に振る。「す、すみません! 今のは……その、家政婦さんとして、という意味で、その、変な意味じゃなくて」 慌てて手を横に振る東雲さん。 家政
最終更新日 : 2026-09-09 続きを読む