その日の夜。 子供たちが寝静まった頃、私は東雲さんのリビングで動画を見ながらお酒を飲んでいた。 ここにきてお酒を飲むのは初めてだ。 それくらい私は今日、イラっとしていた。 昼に自分でケーキを作って、動画見て自分のご機嫌をとったものの、イラッと感はおさまりきっていない。 そんな私の隣には、お茶を飲む東雲さんがタブレットを片手になにか作業をしていた。 私は梅酒が入ったグラスをテーブルに置いて、大きく息をつく。「会いにいくなと言われているはずなのに、なんで会いに来るのかしら?」 呆れたように私が言うと、東雲さんが苦笑する。「そうですね。そういう話、ネットで見かけますけど実在するのにある種の感動を覚えるというか」 東雲さんも呆れた声で言い、タブレットから顔を上げて私の方を見た。「確かに私も感動しましたけれど。そういうのは現実にいらないです」 言いながら私はぐい、とチューハイを飲んだ。 彼女の顔を思い出したらイライラが増してきた。「だいたいおかしくないですか? 浮気したのは郁人の方なのに。なんで私がこんな不快な思いしなくちゃいけないの?」「そうですね。まさか探偵雇ってこちらを探しだすなんて。なかなか行動力がある」「ねー。彼女、お金はあるみたいだからそれくらいやるんでしょうけど。だからって私が浮気したみたいなの酷いと思う!」 そして私はまたチューハイを飲んだ。 飲んでいたら何か食べたくなってきた。 夜に食べるの、よくないけど。 何かあったかな。 思わずキッチンの方へと目を向けると、東雲さんがタブレットを置いて立ち上がった。「あ、何か食べますか? 持ってきますよ」「え? でも」 チューハイが入った缶をおいて立ち上がろうとする私を、東雲さんが片手で制する。 そしてニコッと笑って言った。「もうお仕事の時間ではないですから、俺が用意しますよ。手の込んだものは作れませんが」「え、作ってくださるんですか?」 驚く私に、東雲さんは頷いて答えた。「はい、すぐできますから待っていてください」 と言い、彼はキッチンのほうへと向かっていった。 何を作るんだろう。 気になるけれど、見ないようにする。 玉子を割る音と、かき混ぜる音。そして、何かを焼く音が響く。 どうしよう、チューハイもうすぐ飲み終わっちゃう。せっかくつくってくれてい
最終更新日 : 2026-09-21 続きを読む