そんな父の思惑などつゆほども知らず、ハウエルは元気いっぱい。「出てこい! レイヴン・アクイール!」自ら馬に乗り、百の騎兵と二百の歩兵を引き連れてアクイール邸をぐるりと取り囲む。「出てこないのならば踏み込むぞ!」偉そうに胸を張れば、頭頂部を隠すカツラがずるりとずれる。「くそ、やっぱり安物はダメだな、一刻も早く最高級カツラを手に入れねば!」憤慨するハウエルの前に、斥候に行かせていた兵士が駆け戻ってきた。「報告します! 中には誰もいないようです!」「ふふふ、俺に恐れをなして逃げ出したか、臆病者が!」「そういうわけではないかと……」「どこに逃げようと無駄なこと、これだけの兵が居れば、さしもの奴も敵うまい!」ハウエルは片手をあげ、並びいる兵士たちに号令を出した。「いくぞ! レイヴン・アクイールを追うのだ!」と、兵士を率いたハウエルが探し求める相手、レイヴンは――「ルナ、走ると危ないぞ」「じゃあ、手を繋ぎましょうですわ、おにーさま!」ルナリアとラブラブ城下町デート中であった。「おにーさま、あれはなんですの!」「大道芸だな、見ていくか?」少し遅れて二人に追いついたガイストが、声を上げる。「待てお前ら、何か忘れてないか?」「何か忘れていましたかしら?」「忘れて……いるか?」「城に行くんじゃないのかよ、城に……いま思い出しました、みたいな顔をするんじゃない!」軽い精神的疲労を感じて、ガイストは道の端に腰を下ろした。「頼むからさあ、真っ直ぐ城に行って、さっさと用事を済ませちまおうぜ」「でも、道草は旅の醍醐味なんですわ!」「旅が道草のおまけになってんだよ、お前の場合!」レイヴンが無表情のまま、「まあまあ」とガイストを宥める。「急がば回れ」「急ぐ気すらない奴がそれを言うのか!」正直、もう帰りたい、とガイストは思った。だが二人は大事な幼馴染、ここで見捨てて帰るのはちょっと良心が痛む。「まず目的を確認、ルナリア、何しに城に行くか覚えているか?」「もちろん覚えていますわ、アナ・デンバーをゾンビ化して、隷属の術をかけて、お家で飼いたいという、ガイストの変態的欲求を満たすためですわ!」「違うわ! おばか!」ガイストはフーッと息を吐き出して、遠く空を見上げた。思い浮かぶのは悪女然とした真っ赤なドレスのアナの姿だ。「そもそも、
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-10-13 อ่านเพิ่มเติม