しばらくクローゼットを探し回り、大学時代に思い切って買った十数万円のウールコートをようやく見つけ出した。それは、暁と付き合い始めて間もない頃、彼と一緒にパーティーへ出席するために買ったものだった。以前も暁や莉愛の付き添いで上流階級のパーティーへ参加することはあったが、その頃は何も考えず、他人の目など気にしていなかった。だが、その時だけは違った。莉愛から電話がかかってきて、こう言われたのだ。「今日は白川家の令嬢の成人祝いなんだから、しっかり着飾ってきてよね。ただの友達だった時は適当でもよかったけど、今は暁の彼女なんだから。あんたの服装ひとつで、暁の顔に泥を塗ることにもなりかねないのよ」莉愛はそう言った後、わざとらしく残念そうな笑い声を漏らし、こう付け加えた。「あ、ごめんなさい。ブランドのドレスなんて買えなかったわね。大丈夫よ、暁に買ってもらえばいいじゃない」星音は人一倍負けず嫌いだった。ただの友人だった頃は何を着ても気にしなかったが、関係が変わった今、自分と暁が対等であるかどうかをどうしても気にしてしまうようになった。莉愛にそんな風に言われてしまった以上、暁が買ってくれた服を着るわけにはいかない。星音は歯を食いしばって決心し、長い間貯めてきたお小遣いとお年玉をはたいて、そのコートを買ったのだった。だが、結局それを着たのはその一度きりだった。汚れるのが怖くて、それ以降はもったいなくて着られなかったのだ。そして翌年の冬に静真の事故が起き、星音は着飾る余裕などなくなり、現実から目を背けるように、家に閉じこもる日々が続いた。あれから、もう何年も経ってしまった。久しぶりに袖を通してみて、星音は自分が驚くほど痩せてしまったことに初めて気がついた。元々ぴったりだったコートが、今では少しだぼついている。星音は自嘲するように笑い、最近ネットで流行っている病み系ファッションみたいだと思った。時間が迫っていたため、星音はバランスを取るためにマフラーを適当に巻き、家を出た。樹と待ち合わせたのは、この前安珠と買い物に行ったあのショッピングモールだった。最上階にある個室のカフェに星音が着いた時、樹はすでに個室で待っていた。「樹先輩、お久しぶりです」星音は彼の変貌ぶりに少し驚いた。「一瞬、誰か分かりませんでした」目の前にいる男
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