槍めいた雨が窓を打つ音で、春香は、ゆっくりと目を開いた。体に被さる布団の重さ。腹の辺りにも、何かがある。頭を起こすと、金髪の少女が体を預けていた。 「リズ」 力の抜けきった声と、生気のない顔で、彼は呼びかける。リズは飛び退くように体を動かし、困ったような笑みを浮かべる。 「ごめんなさい、あんまり眠れなくて」 赤い着物の左袖が、空しく揺れる。喉には赤い火傷の痕。春香の口が、外れたように開いた。上体が起きる。脇腹に走る痛みも構わず、軽くなったリズの体を抱きしめた。 「俺が、弱かった!」 何かを探し求めるにも似た動きで、春香の指はリズの背中を何度もなぞる。 「俺が、油断してしまった。カガリもピジョを警戒しろと言っていたというのに、俺は、俺は!」 背骨をへし折らんばかりの抱擁だった。 「く、苦しいです、春香さん」 その言葉は耳に届かない。 「俺は、何をすればいい」 息か、声か。その判断さえできない程に、細い声だった。 「どうすれば、俺は償える。君の左腕の分に、何をすれば釣り合う」「……いいんです」 小さな右手が、春香の背を優しく打つ。 「近くにいてください」「俺の責任なんだぞ。俺が、一撃を許したから、その左腕が……」「でも、春香さんがいなかったら、私はここにいません」 フッ、と春香の腕から力が抜けた。 「春香さんがあの場に立っていたなかったら、私は
Last Updated : 2026-09-18 Read more