あのあと私たちは、露店を覗いて、クレープを半分こして、流行りのお菓子を買って……ときおり、まるで本物の姉妹みたいに手をつないで歩いた。それがなんだか嬉しくて、気付けばもう夕方。まずい、寮の門限!と焦った私に、ローザ様はさらりと微笑んで言った。「ふふ、今日は我が家に泊まるのよ。学園の寮には、もう連絡してあるわ」そうして、両手いっぱいの戦利品を抱えて公爵家に戻ったのだった。「そういえば、ローザ様とジュリアン殿下って、幼馴染なんですよね」ふわふわのネグリジェに身を包み、ローザ様の広いベッドに横になりながら、ふと思いついて尋ねてみる。「あら、殿下から聞いたの?」「はい。以前、ローザ様が呼びに来てくださったときに」「ふふ、そうね。年も近いし、“ご学友”ってところかしら。 気づいたときには、よく王城で一緒に遊んでいたわ。 ……まぁ、婚約者候補の素行を見極める狙いもあったんでしょうけど」「婚約者候補……」その言葉に、私はどきりとした。「その……ローザ様は、王太子妃になりたいと、思っていらっしゃるんですか?」我ながらおかしな質問だった。けれどローザ様は、長いまつげをゆっくり瞬かせて、小さく首を傾げる。「そうねぇ……そこに私と殿下の意志が関係あるのかどうかを考えたことはあるけれど……実際にどうしたいのかは、あまり考えてこなかったわね」「ローザ様……」「ふふ、あなたも同じでしょ、聖女様?」「いえ。私は神殿のイベントも、学園行きも、できる限りのことをして拒みましたよ。無駄でしたけど」「ええ!? 本当に? やだ、リリィってば、真面目かと思ったら、意外とじゃじゃ馬だったのね」「……その言い方。ローザ様も、意外と破天荒ですよね」「うふふっ。そう言ってもらえて嬉しいわ」「嬉しいんですか?」「ええ。両親以外に、初めて言われたもの」「……殿下には言われたこと、ないんですか?」「あ、あったかもしれないわね。小さい頃は、今より自由に接していたし」「……殿下の片思い、か……」「ん? どうしたの、リリィ?」(……殿下は、私になんて見向きもしなかった。 ここからどうしたら、私とローザ様が“恋のライバル”になるっていうのよ?)ゲームでは、まずすべての攻略対象との個別イベントをこなしたあと、全員が私に好意を抱いた状態で“全員合同イベント”が発生する。
Zuletzt aktualisiert : 2026-09-20 Mehr lesen