―― 一週間は、本当にあっという間だった。 毎日フワフワのパンケーキを食べ、美味しいデザートに、海の幸をふんだんに使った夕食に…… ……うん、これはもう餌付けだと思う。 でもどうやらローザ様とは食の好みが合うらしい。 クロイツ家オリジナルのバターに感動していたところ、それはローザ様の好みに合わせて作られたものだと教えてもらった。 香草と荒く砕いた岩塩が混ぜられた風味のよいバターは、クロイツ小麦のバゲットにぴったりで。 料理長もその反応が嬉しかったのか、 次から次へと“ローザ様仕様”がテーブルに並んだ。 ホットチョコレート、絶品だったな。 好みが合うと言えば―― 別邸の奥にある小さな書庫に案内されたときは、思わず息をのんだ。 海風の通る窓と、木の香り。 壁一面に本が並んでいて――(ふふ、でも、ローザ様の雑さが出ちゃってたのよね) 魔法理論書の隣にお菓子のレシピ本。 その下には恋愛詩集と領地経営の実務書。「ローザ様……これ、分類……どうなってるの……?」 思わず聞いてしまった。「え?分類?読み途中の本は特にしてないわ。 ……あら、これはもう読まないわね」「いや、欲しい本、見つけるの大変じゃありません?読みかけの本、多すぎでは」「確かにそうねぇ。 でも基本的に一度読んだ本は読まないから、大丈夫よ。多分」 多分て。 思わず私は袖をまくった。「ちょっと片付けてもいい? 魔法理論はこっち、歴史は上段、レシピ本は……はい、この棚」 本をひとつ動かすたびに、棚に“秩序”が戻っていく。「まぁ……すごいわリリィ。棚に“意味”が生まれたわ」 「意味は最初からあったはずなんだけど……」 ――まぁ、この“混沌”具合がいかにも天才という感じもする。 多分、ローザ様の頭の中ってああいう感じなんだろうな。 その他にも、美しく
Zuletzt aktualisiert : 2026-10-07 Mehr lesen