「ちょっと!ロロ……っ!」 (どうしてそんな脅しに乗るの!) 思わず上げた声は、ロロの手に口を塞がれ止められる。彼は、優しい瞳でこちらを見つめていた。「俺の主はリーエだけだから、安心しろ。少しだけ、この女の話を聞いてくる。リーエは兄君と待っていてくれ」 「でも!」 「ジュリエッタさんお願い!返して、なんてもう言わないから……ちょっとだけ、一緒に踊ったり、お話ししたいだけなの!お願い……!」 また大袈裟な態度で、アリサが目に涙を浮かべ、がばりと頭を下げた。「聖女様に頭を下げさせるなんて」 「余程アリサ様が憎いのか……」 その様子に、周囲の貴族まで、こちらに聞こえるような声量で悪口を囁き始めた。 ロロは、不機嫌な顔でアリサが縋り付いている腕をぐいと引く。「もういいだろう。話なら聞いてやるから、リーエを貶めるような真似はするな」 「はいはい。……じゃあ猫ちゃん!あっちで一曲踊りましょう!私、ちょっと下手なんだけど……いいよね?」 アリサを伴って、ロロがダンスフロアへと歩いて行く。 踊り始めたふたりを、周囲の貴族達は口々にお似合いだなんだと褒めそやした。(ロロ……私が悪く言われないように、守ってくれたんだよね) そう、頭ではわかっていても、ふたりが踊り、周囲に注目されるその場に居続けるには、口の中が苦すぎた。 「全く。ウォルター兄様ったら、どこにも見当たらないんだから……」 居心地が悪すぎて、一旦会場を離れようと思ったのだが、警備をしているはずのウォルターを見つけられなかった。アルトも貴族達と交渉中のようで、結局ひとり、会場を出てきてしまった。 招待客に解放された中庭は、微かにホールのざわめきと音楽が聞こえる中、ちらほらと見える数人が、人目を避け過ごしているようだ。(……ここなら、静かに過ごせそう) やっと一息ついて、美しく整えられた花の庭園をゆっくり散歩することにした。今日の装いならば、散歩も苦にならない。シンプ
최신 업데이트 : 2026-09-18 더 보기