月落ち星散り、恋絶え想い尽き中村千穂(なかむらちほ)が18本目の研究論文を発表したとき、またも「盗作」の疑いが持ち上がり、ネット上で大きな炎上が起きた。
怒った人々は彼女の家に押しかけ、「常習的な盗作者め!」と叫びながら石を投げる者もいた。投げられた石が当たり、千穂は怪我をした。
血だらけで倒れ、危険な状態だった千穂を助けたのは、加藤勇輝(かとうゆうき)だった。勇輝は千穂を、兄の加藤海斗(かとうかいと)が働く病院に運んだ。
はっきりしない意識から少しずつ回復してきたところで、千穂は勇輝と海斗の会話を耳にした。
そして、今までのすべての出来事の裏に、彼女が最も愛していた人が関わっていることを知った。